
藤枝MYFCでプレーする菊井悠介【写真:Getty Images】
J2・J3百年構想リーグの第2節が14日に各地で行われ、藤枝MYFCはホームで松本山雅FCと対戦した。元日本代表DF槙野智章率いるチームはこの試合に2-0で勝利し、今シーズン初白星を獲得。キーマンとなったのは、古巣対決となった菊井悠介だ。今季から藤枝でプレーする彼は、大きな覚悟をもって移籍を決断した。親戚にあたる守田英正にも伝えていた大きな夢を叶えるために。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
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「松本での僕は『うまい選手』で終わってしまった」

2025シーズンまで松本山雅FCでプレーしていた菊井悠介【写真:Getty Images】
この2点をしっかりと守り切り、藤枝は待望の槙野監督体制初勝利を挙げた。
“ワッショイポーズ”などで観客を盛り上げる指揮官の傍らで、古巣サポーターに挨拶に行った菊井は「2点はやりすぎだよ」と声をかけられたというが、愛のある拍手や歓声に感極まった様子を見せていた。
それだけ松本山雅を離れるのは苦渋の決断だったに違いない。
彼は名波監督から主力に抜擢された大卒新人の頃から「自分は日本代表になる」という大きな夢を描き、それを守田にも伝えていた。実際、そのための努力もしていたのだ。
しかしながら、2022年からJ3での戦いを余儀なくされていた松本山雅が上のカテゴリーに這い上がれないまま、長く停滞してしまった。
J2に最も迫った2024年もJ2昇格プレーオフでカターレ富山にあと一歩で昇格への道を断たれ、昨季は15位に低迷。本人の中でも「このまま終わりたくない。どうしても上のカテゴリーに行きたい」という思いが募って、今回の移籍につながったのだろう。
新天地には、2018年FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会に参戦し、数年前まで高いレベルでプレーしていた槙野監督がいる。彼とともに新たな一歩を踏み出せたことを、菊井は前向きに受け止めている様子だ。
「松本での僕は『うまい選手』で終わってしまった。ここから『怖い選手』になっていくために、本気で日本代表に関わっていくために、もっともっと違いを見せなきゃいけない。これでは全然成長スピードが遅いですし、自分のギアを上げていかなきゃいけない。
藤枝も今、注目されていると思うんで、ここでしっかり結果を残していくことがすごく重要。槙野監督は高いレベルの経験を持っていますし、いろんなことを聞けるし、代表選手の基準を教えてくれる。それはすごく大きいですね」
新たなクラブで「菊井悠介というテクニシャンが面白いプレーをしている」と評判になれば、今後の日本代表入りも可能性が出てくるかもしれない。
30歳目前で2025年EAFF E-1サッカー選手権でブレイクしたジャーメイン良のような人材もいるだけに、菊井にも貪欲に高みを目指し続けてほしいものである。
槙野・藤枝は動向も大いに気になるが、背番号10は紛れもなくキーマン。ここからの一挙手一投足から目が離せない。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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