
FC岐阜でプレーする荒木大吾【写真:Getty Images】
明治安田J2・J3百年構想リーグ第2節が15日に各地で行われ、FC岐阜はホームにジュビロ磐田を迎えた。黎明期のJ1も知る格上相手に、J3所属の岐阜が2-1で勝利。立役者のひとりである荒木大吾は、かつて磐田でプロキャリアを始めた選手だ。試合後、“恩返し弾”に秘められた熱い想いを語った。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
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ジュビロ磐田戦を並々ならぬ思いで迎えた2人の選手

FC岐阜の本拠地・岐阜メモリアルセンター長良川競技場【写真:Getty Images】
カズ(三浦知良)の福島ユナイテッドFC、槙野智章監督の藤枝MYFCなどが同居し、明治安田J2・J3百年構想リーグの中でも特に注目されているEAST-B。そこで台風の目になっているのが、J3のFC岐阜である。
昨季の彼らは大島康明監督体制でスタートしたが、一時は最下位に低迷。それでも、7月から現在の石丸清隆監督へとバトンタッチし、そこから7連勝。目覚ましい快進撃を見せ、最終的には13位でフィニッシュしている。
そして迎えた2026年。彼らは夏開幕の2026/27シーズンでJ2昇格を果たすべく、中村駿や川本梨誉らJ1でもプレー経験のある選手を補強。2月8日の百年構想リーグ開幕・藤枝戦を2−0で快勝し、最高のスタートを切った。
この勢いを15日のホーム開幕・ジュビロ磐田戦でも持続したいところ。特に意気込んでいたのが、元磐田の中村と荒木大吾だ。
荒木の方は、柏レイソルU-18から2016年に磐田入り。2019年まで4シーズンを過ごしている。
当時は「浦和レッズで活躍していた武藤雄樹のような存在」と言われたが、J1・4年間で挙げたゴール数はわずか1にとどまる。
完全にブレイクするに至らず、2020年に京都サンガへ移籍。2024年から岐阜でプレーしているのだ。
「ジュビロは本当に大好きなクラブ」

ジュビロ磐田時代の荒木大吾【写真:Getty Images】
「ジュビロは本当に大好きなクラブだし、4年間お世話になった、愛情のこもったクラブ。勝って恩返ししたかった」と本人は特別な思いを持ってこの一戦を迎えたという。
4−2−3−1の右サイドアタッカーの位置でスタートした荒木。前半は左サイドの泉澤仁とともに大外から積極的な仕掛けを見せ、相手守備陣を下げさせた。
荒木とトップ下の北龍磨、最前線の川本は連動した動きを見せ、何度かチャンスを作っており、相手にとって脅威になっていた。
それでも前半はシュートゼロ。磐田も内容的に乏しかったものの、荒木としては「このままでは終われない」という危機感が強まったことだろう。
石丸監督も攻撃の迫力を高めようと後半頭から2枚替え。背番号8を左に移動させて、活性化を図った。
均衡が破れたのは61分。磐田の井上潮音が保持していたボールを川本が体を寄せて奪い取り、そのまま遠めの位置から豪快なミドル弾を決めたのだ。
ゴールマウスを守っていた名手・川島永嗣も左手を大きく伸ばしたが、防ぎきれなかった。
首尾よく1点をリードした岐阜。荒木の見せ場が訪れたのは、この6分後だった。
またも激しい守備から途中出場の大串昇平と川本が磐田の川崎一輝からボールを奪取。川本が持ち出し、左サイドからゴール前に飛び込んだ荒木に絶妙のスルーパスが通った。
次の瞬間、背番号8は川島の位置をしっかりと見ながら左足を一閃。見事な追加点をお見舞いしたのだ。このシーンについて、荒木本人は笑顔を見せながらこう語る。
「簡単な方が外すんですよ」

自身のゴールに喜ぶ荒木大吾【写真:Getty Images】
「梨誉はキープ力があるし、1人2人剥がせる選手なんで、自分は追い越すだけでよかった。いいパスが来て、本当に決めるだけでした。川島選手との1対1?たぶん、ああいう方が得意なんですよね。簡単な方が外すんですよ」
言葉には謙遜も滲んでいたが、世界を知るベテラン守護神も止められない鋭いコースを突いた一撃だったのは間違いない。
「僕はジュビロ時代はあんまり点を取れなかった印象なんで、成長した部分を見せられたんじゃないかな(笑)。そのあとの京都の時はいろんなポジションにチャレンジしましたし、そういう経験が今にすごく生きていると思います。
京都時代は曺(貴裁)さんからディフェンスの重要性を叩き込まれましたけど、それも今日出せたのかなという気がします」
そう言って荒木は、磐田から始まった10年間のプロキャリアをしみじみと振り返っていた。
その後、磐田の佐藤凌我に1点を返されたが、岐阜は粘って2−1で勝利。結果的に荒木自身のゴールが決勝点となった。
彼は藤枝戦でもPKで先制点を挙げているが、自身の活躍がJ2勢相手の開幕2連勝、WEST-B・3位という好位置につながっているのは、非常に意味のあることだ。
また、荒木は新指揮官が就任してからの充実ぶりと、今後のさらなる成長にも言及している。