
ベガルタ仙台の古屋歩夢【写真:Getty Images】
J2・J3百年構想リーグの第2節が14日に行われ、ベガルタ仙台は敵地・ニッパツ三ツ沢球技場で横浜FCを1-0で下した。デビュー戦の衝撃的な一撃で、一躍脚光を浴びた古屋歩夢。しかし本人が見つめているのは称賛ではなく、決め切れなかった数々のチャンスだ。開幕から2試合連続で先発を任された18歳は、いまどんな思いを胸にピッチへ立っているのか。(取材・文:藤江直人)[2/2ページ]
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「本当に可愛い馬鹿なんですよ」

決勝点をマークしたベガルタ仙台の宮崎鴻【写真:Getty Images】
「自分は普通に頭が悪くて。(学校の勉強が)苦手ですね。(得意科目は)体育だけです」
屈託なく笑う古屋に、ベンチ外だった開幕戦から状態を戻し、横浜FC戦では57分から途中出場した宮崎も「ちょっと言葉が悪くなりますけど、本当に可愛い馬鹿なんですよ」と目を細めている。
実は古屋に身体の使い方を教えている一人が、チームナンバーワンの身体能力を誇る宮崎だった。
「フィジカルがすごく整っているし、身体の使い方も非常にうまい。ただ、プロの世界では相手との駆け引きがどうしても必要になってくるので、そこは自分がしっかりと伝えていければと思います」
宮崎はさらに、自身が決めた決勝ゴールは疲労困憊だった古屋のおかげでもあると感謝している。
「あいつがかなり走っていたから相手も疲れて、(途中出場の)僕もすごくやりやすかったですね」
以心伝心というべきか。森山監督も「フォワードの4人で、ゴールをひとつこじ開けた感じでしたね」と前線からの献身的な守備でプレッシャーをかけ続けた古屋と岩渕の貢献度の高さにも言及した。
ストライカーとしてゴールに執着心をたぎらせるだけではない。古屋もこんな言葉を残している。
「守備の部分でも貢献しようと思っていたので、そういう評価があるのならうれしいですね」
東京都出身の古屋はスカウトされたのを意気に感じて、高校進学とともに親元を離れて仙台ユースへ加入した。憧れの選手を聞かれると、決まってブラジル代表のネイマールをあげてきた。
もっとも理由は「ドリブルを見ていて面白いから」であり、本命は別にいる。ゴールに絡むだけでなく、身体を張ったプレーで鹿島アントラーズをけん引する鈴木優磨の背中を追い続けている。
「ああいうところを真似していきたい」
ベガルタ仙台の古屋歩夢【写真:Getty Images】
「僕は熱いプレーが大好きですし、ああいうところを真似していきたいと思っています」
公式戦の出場は果たせなかったものの、昨年9月以降にトップチームに2種登録されたときの背番号は「45」だった。念願のプロ契約を勝ち取った今シーズンは、一転して「34」を背負っている。
実は、鈴木が鹿島のルーキーイヤーも背番号は「34」だった。鈴木へ憧憬の思いを抱くからこそ、昨シーズンのJ1を戦った横浜FC戦で、宮崎が「あいつ、本当にバテていました」と驚くほど走り回った。
勝利に対してとにかく一途で、それでいて周囲の誰からも可愛がられる18歳は、百年構想リーグの目標を問われるたびに、ゴール数をはじめとする具体的な数字には言及しない。理由は単純明快だ。
「目標と言ったら、もうゴールをどれだけ取れるか、なので。取れるだけのゴールを取っていきたい」
昨シーズンのチーム得点王、郷家友太がヴィッセル神戸に復帰。再編成を余儀なくされる仙台のフォワード陣の中心で、ゴールへの飢餓感をもたぎらせる古屋が放つ存在感がどんどん大きくなっていく。
(取材・文:藤江直人)
【著者プロフィール:藤江直人】
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後の1989年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。
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