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J1 3時間前

「PK練習しろ」松長根悠仁のもとに届いたLINE。川崎フロンターレで争うCBの座。PKは得意なはずが…「自分もそっちの気持ち」【コラム】

シリーズ:コラム text by 江藤高志 photo by Getty Images, Editors
川崎フロンターレDF松長根悠仁
【写真:Getty Images】



 明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド第2節、ジェフユナイテッド千葉対川崎フロンターレが15日にフクダ電子アリーナで行われた。試合は0-0でPK戦に突入し、8-9で川崎に軍配が上がった。福島ユナイテッドへの育成型期限付き移籍から復帰した松長根悠仁は、開幕から2試合続けて先発の座を射止めている。(取材・文:江藤高志)[1/1ページ]
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悔しがる松長根悠仁。その理由は…

松長根悠仁は福島ユナイテッドで2シーズンプレーした
松長根悠仁は福島ユナイテッドで2シーズンプレーした【写真:Getty Images】

 百年構想リーグ開幕からの2試合に、連続で先発出場した松長根悠仁は、無失点で終わらせたことよりも自分たちのサッカーができなかったと悔しがる。

「立ち上がりから、あんまり自分たちのサッカーができなかったので。90分通して(難しい)っていうゲームかなと思います」

 とは言え松長根のプレーが悪かった訳では無い。川崎フロンターレはチーム全体の攻撃が機能不全を起こし、攻撃の形を全く作れず。防戦一方の展開の中、松長根はゴール前で奮戦しシュートブロックを繰り返した。

 献身的なプレーぶりは称賛されて然るべきだが、松長根の表情は暗かった。0-0で臨んだPK戦において松長根は川崎の選手として唯一失敗してしまったからだ。


 PK戦は共に5人ずつが成功してサドンデスに突入。それでも決め続けた両チームの選手たちに対し、先攻千葉9人目の日高大が失敗。川崎の9人目が松長根だった。

「ヒーローになるのが見えてたんですけど」と、決めるイメージを持って臨んだPKを松長根は「真ん中狙って」蹴って失敗。聞くと、ボールの下に足が「もったり」入ってしまったとのことで、浮いた弾道のPKは枠を捉えられなかった。

 決めれば勝利だっただけに悔しさが残る松長根だったが、PKが苦手だということではない。

意外だったPK失敗。過去に大一番で見せた勝負強さ

川崎フロンターレに復帰した松長根悠仁
育成型期限付き移籍から川崎フロンターレに復帰した松長根悠仁【写真:編集部】

 松長根は川崎U-18の主軸選手としてクラブ史上初昇格して臨んだ高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2022に出場していた。初昇格にしてEAST初優勝を成し遂げた川崎は、WEST優勝のサガン鳥栖U-18とプレミアリーグファイナル2022で対戦している。

 日本一を決めるこの大一番に先発フル出場した松長根は、前半44分に川崎U-18に与えられたPKを決めて貴重な先制点をマークしていた。

 当時のキャプテンで、現在のチームメイトでもある大関友翔や、現水戸ホーリーホックで、当時のエースストライカー五木田季晋といった攻撃的な選手たちを差し置いてPKを蹴り、これを確実に決める勝負強さを持つのが松長根という選手だ。だからこそ、千葉とのPK戦で外したのが意外だった。


 ちなみにプレミアファイナルのPKを引き合いに出し、PKは得意なのでは?と質問したところ「自分もそっちの気持ちでいたんですけど」と苦笑い。

 両チームの選手が次々と決める展開を横目に「なんか回ってきそうな感じはあったんで。準備はしてたんですけど」と気持ちも整っていたという。だからこそ、外してしまったのは松長根自身にとっても意外な出来事だったようだ。

 ヒーローになりそこねた松長根は、チームメイトから慰められており、千葉の10人目、小林祐介のPKをスベンド・ブローダーセンがセーブした瞬間は見ていなかったとのこと。そして決めれば勝利の川崎の10選手目、家長昭博に対し「アキさん、ほんとにお願いしますって感じで」静かに応援した。

 そのかいあってか、家長が決めて勝利した川崎は、勝ち点2を手にした。「チームメイトに感謝してます」とPK戦勝利の結果に安堵の表情を見せる松長根は、PKを外した直後も試合後も泣いてはいなかったとのことだ。

試合後に届いたLINE「PK練習しろ」

川崎フロンターレに復帰した松長根悠仁
育成型期限付き移籍から川崎フロンターレに復帰した松長根悠仁【写真:編集部】

 なお、柏との開幕戦後には同期の高井幸大を始めとして「LINEがいっぱい来ました」と話していたが、千葉戦直後のLINEはお母さんからのものだけだったという。内容は「PK練習しろ」というものだったとのことで、反省の表情で教えてくれた。

 待望の無失点試合を達成し、勝ち点2を加えた川崎の最終ラインで先発フル出場した松長根の前途は多難だ。沖縄合宿中に負傷しリハビリが続いていたフィリップ・ウレモヴィッチがこの試合からベンチに戻ってきており、今後先発争いが厳しさを増すことになる。もちろん松長根は簡単にポジションを明け渡すつもりはないと宣言。


「結果を出していくしかないと思うんで。毎試合勝って、ずっと出れるように頑張りたいです」

 そう力強く口にした松長根の肩を、少し強めに揉んでウレモヴィッチがミックスゾーンを通過していった。

 勝利の祝福とPK失敗に対する叱咤とが込められたライバルのフランクな接触を「一緒にやってて、負けたくないと思います」と返す松長根だった。

(取材・文:江藤高志)

【了】

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【了】

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