開幕3連敗となり、肩を落とす横浜F・マリノスの選手たち【写真:Getty Images】
横浜F・マリノスは2月21日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第3節で浦和レッズに0-2で敗れ、開幕3連敗となった。相手よりもチャンスを多く作りながら決め切ることができず、一瞬の隙をつかれたことで苦しい展開となったマリノス。試合後、選手や指揮官からの言葉で浮かび上がってきた課題とは。(取材・文:竹中愛美)
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選手たちの口から出てきた横浜F・マリノス今一番の課題とは?

今季初先発となった横浜F・マリノスのディーン・デイビッド【写真:Getty Images】
「ゴールが求められる中でチャンスがあって決め切れない。クオリティーが足らない、その結果だと思う」
トップで今季初先発となったディーン・デイビッドは試合後、自身に与えられた役割を理解しているからこそ、悔しさを滲ませた。
試合後に多く聞こえてきたのが、「チャンスはあったが、そこで決め切れるか、決め切れないか」という言葉。
実際に、シュート本数は横浜F・マリノスが15本に対して、浦和レッズは11本とマリノスが上回っているが、枠内に飛んだのはわずか1本だった。
試合は前半、マリノスがハイプレスから攻撃に転じた場面もあれば、ロングボールから背後のスペースを狙う場面もあり、チャンスを生み出していた。
だが、なかなか決定機らしい決定機を迎えることができず、浦和ゴールを脅かすことができなかった。
すると、後半は一転して、浦和がペースを握り、決定機を作られる。
55分、セカンドボールを奪い切れなかったマリノスは、中央から左サイドに一気に前進を許す。クロスボールから頭で合わせられ、木村凌也が一度はセーブをするが、こぼれ球を押し込まれてしまう。
84分には、自陣でビルドアップを試みるが、相手に奪われ、そのままゴールを献上してしまった。
やはり、優位に試合を進めていた時間帯でチャンスをモノにできないと、ゲームは苦しくなってしまう。
トップ下で先発した遠野大弥は、チャンスを決定づけられなかったことに対して、このように語った。
「自分たちも前半は(浦和に)何もやらせず、相手のミスを誘って、ショートカウンターができていた。そこで決め切らないと、やっぱりこういう試合になってしまうので、そこが今一番の課題だと思います。
後半の入りも意識して、みんな前でプレーできていた。あとは本当に細かい部分をやっていけないと、一瞬の隙でやられてしまうので、もう何回も何回も繰り返しちゃいけないものなので、本当にちゃんと練習からまたやっていきたいと思います」
大島秀夫監督も決定的なチャンスが少ないことに対して、自身の考えをこう述べている。
「相手の目線とかも外さないと隙は全然できない」。ゴールを奪うために必要なこと

トップ下で起用された横浜F・マリノスの遠野大弥【写真:Getty Images】
「良い守備から攻撃に転じた場面も多かったですし、相手陣地でサッカーしている時間帯も多くはあったんですけど、やっぱり最後のところ。
相手が最後のところは人数をかけて、ボックス内に下がってくるのはわかってはいたんですけど、そこでもっとライン際、ゴールまでもう1個行き切るとか、もう一回逆に展開して、もう一回そこで行き切るとか、最終的なところでチャレンジしきれなかった。中途半端な形で攻撃が終わってしまうのが多かったかなと思います」
効果的なロングボールから相手の背後を狙い、ゴールを狙ったり、相手陣地内でボールを奪い、ショートカウンターを狙ったり、マリノスが目指している“相手陣地で速く、スピーディーなサッカーをする”という戦い方を示せている部分もあったように思う。
だが、ゴールを奪うためには攻撃のバリエーションも必要になる。
遠野は攻撃のパターンに関して、「取ったボールを速くショートカウンターで攻めるのは変わらずやっていきたいんですけど、それができなかったときに押し込んでから、自分的にはサイドでもうちょっと時間を作って、人をかけて崩していくのをもっと練習の中から落としていかないと、そんな即席ではできないので、時間はかかる」と言い、より具体的なイメージを話した。
「僕も正直、ポケットに入りたい、走りたい選手なので、そこでサイドで起点になって、すぐクロスになってしまうと、どうしても早いなって。タイミングが早くて、走るタイミングも少なくてというのはある。
クロスは早いタイミングで上げるときに上げればいいんですけど、押し込んだときはどうしても相手も揃っている。そこでの相手陣の崩し方をもっと1人1人が意識して、最終的にはゴールですけど、相手の目線とかも外さないと隙は全然できないので、ボールと相手を動かして、ちゃんと自分たちが保持する時間をもっと作っていきたいなと思います」
選手や指揮官が指摘する攻撃の質とバリエーションは当然、必須だが、相手ゴールを脅かすほどに、ゴールへの姿勢が重要になってくる。
左サイドバックでフル出場した加藤蓮は後ろから感じていたことを率直にこう話した。
「結果だけ追い求めて、中身がないのが一番怖い」。試行錯誤の先で
横浜F・マリノスの大島秀夫監督【写真:Getty Images】
「質もそうですし、やっぱり強引にシュートで終わるところだったりとか、たぶん途中から入ってきた(天野)純君しか全然シュートも打っていないですし。純君が入ってきて、あれだけゴールに向かう姿勢を示してくれています。
それは前半からもっともっとゴールに直結するプレーだったりとか、遠めからでも打っていく姿勢、アグレッシブな姿勢だったりとか、そういうところはもっと求めてやっていく必要があるのかなと思います」
そして、気になったのは大島監督が会見で触れていた、「後半10分でトーンダウンしてしまったところは、ちょっと誤算でもあった」というコメント。
マリノスのようにハイライン・ハイプレスを標榜とするチームには、スタミナ面はつきまとうものでもあるが、前半の良かったペースを後半に入ってからどこまで維持できるのか。
ベンチの選手含め、上手くゲームマネジメントをしながら、強度を保っていかなければ、目指しているサッカーはできないだろう。
だが、キャンプ中に指揮官が語っていた、「メインはその先の26-27シーズンだとは思っています。この半年でどれだけそこに向かってチーム力をつけるかが1番大事だと思うし、そのときにできるチャレンジ、そのときにしかできないものもあると思います。
だから、この半年はそのような期間にしたい。その先に結果が出ればなお良い。ただ、結果だけ追い求めて、中身がないのが一番怖いので、そのようなことにはならないようにはしたい」という言葉を忘れないでほしい。
開幕からまだ3試合。試行錯誤を繰り返している途上なのかもしれないが、勝負の世界は待ってくれるものではない。
結果と内容の両輪を追うことは決して容易いことではないが、失敗を恐れずにどんどんチャレンジをしていった先で勝利を掴みとる姿を、ファン・サポーターは何より待ち望んでいるはずだ。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
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