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「話にならない」日髙華杜は屈辱のデビュー戦を乗り越え、清水エスパルスで3戦連続スタメン「このサッカーでSBをやるなら…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 榊原拓海 photo by Getty Images
柏レイソル戦でJリーグデビューを果たした日高華杜
柏レイソル戦でJリーグデビューを果たした日高華杜【写真:Getty Images】



 清水エスパルスは2月14日、明治安田J1百年構想リーグ・地域リーグラウンド第3節でヴィッセル神戸と対戦し、1-0で勝利した。今季、法政大学より加入した大卒ルーキーの日髙華杜は、開幕から3戦連続でスタメンの機会を勝ち取った。しかし、そこに至るまでにはいくつかの逆境があった。(取材・文:榊原拓海)[1/2ページ]
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屈辱のJリーグデビュー戦

清水エスパルスDF日高華杜
【写真:榊原拓海】

 満足を知らない。逆境を力に変える。それが、DF日髙華杜という選手だ。

 2025年6月28日の柏レイソル戦で、当時は法政大学に在学していた日髙は、特別指定選手としてIAIスタジアム日本平のピッチに立った。翌年の加入が内定していた清水で、SBやWBを本職とする選手たちにアクシデントがあり、当時の秋葉忠宏監督は、練習参加していた日髙をスタメンに抜擢した。

 こうして日髙は大学在学中にJリーグデビューを飾ったが、プロの舞台は甘くなかった。1点ビハインドで迎えた23分、対峙したMF小屋松知哉に縦突破を許すと、彼のクロスボールから2失点目を喫した。試合前には「サイドでの対人には自信を持っている」と口にしていたが、デビュー戦にして早速、プロの壁にぶつかっていた。


 もちろん、当時の日髙にはエクスキューズもある。法政大の選手として臨んだ開幕戦で肉離れに見舞われ、その後は長らく戦線を離脱。実戦から離れたまま、2025明治安田J1リーグで優勝争いを繰り広げていた柏との一戦に臨んだわけだから、うまくいかないことがあっても当然ではある。

 だが、日髙が言い訳をすることはなかった。「来年からこの舞台で戦うのに、こんな不甲斐ないプレーをしていては話にならない」と自らに対して厳しい言葉を発し、「自分を見つめ直して、この経験を無駄にしないようにする」と未来を見据えていた。

日高華杜に立ちはだかる次なる壁

柏レイソル戦でJリーグデビューを果たした日高華杜
柏レイソル戦でJリーグデビューを果たした日高華杜【写真:Getty Images】

 今季に入ってから、日髙に当時の経験について聞かせてもらったことがある。柏戦で得た学びが、今の自分に繋がっている部分はあるのか。日髙の返答はこうだった。

「一瞬の隙を見せたり、距離が少しでも離れているとやられてしまうのは、あの時に感じたこと。距離を詰めて、たとえ相手が仕掛けてきても、足に当てられるくらいの間合いは、大学に戻ってからもずっと意識してやってきたので、そこは少しはいい形になっているのかなと思います」

 柏戦で悔しい経験をした後、法政大に戻ってからは、チームのキャプテンとして関東大学1部リーグ昇格に貢献した。

「法政を上げることが、今後の自分に何か影響を与えるわけではありませんが、後輩のことや法政の歴史を考えても、2部に居続けていいチームではないと思っていました。僕としても今後、日本一になれるチームだと思って入学したので、1部昇格を置き土産に清水に来れたのは、本当に良かったなと思います」


 自らがトップチームに絡むようになってからは、2部での厳しい戦いが続いたが、大学サッカーにおける“宿題”も片付けて、晴れやかにプロとしての第一歩を踏み出した。

 しかしながら、ここでも日髙の進む道に障壁が生じる。吉田孝行新監督を迎え入れた清水で、横一戦からのポジション争いが繰り広げられると思われた矢先、鹿児島キャンプイン前の練習中にケガに見舞われた。

 このケガの影響で、キャンプは大半の時間を別メニュー調整で過ごした。キャンプ終盤に復帰したものの、最終日に行われたジュビロ磐田との練習試合で違和感を覚え、約15分間の出場で途中交代。清水に戻ってからは、再び別メニューでの調整を強いられた。

直前の復帰でも開幕節で活躍できた理由

清水エスパルスDF日高華杜
【写真:榊原拓海】

 予期せぬアクシデントによって行く手を阻まれたことにより、「チームメイトやファン・サポーターの信頼を勝ち取れる選手にならなければならない」と意気込んだ若武者SBの大卒1年目は、やや厳しいスタートになると思われた。

 コンディションが整うまでに時間がかかると予想されたことだけが理由ではない。チームは新監督の下、正しいポジショニングとやるべきことを徹底的に落とし込まれており、戦術練習に重きを置いた鹿児島キャンプの大半を別メニューで過ごした日髙は、文字通りに出遅れていたからだ。

 それでも、日髙は2月8日、開幕節の名古屋グランパス戦でスターティングメンバーに名を連ねた。最終ラインに負傷者が続出したチーム事情もあったが、他にも右SBをこなすことのできる選手がいた中で、吉田監督は日髙をチョイスしたのだ。


 練習に合流したのは開幕週の途中のこと。スタメンに入ることが確実なものとなったのは試合前日だった。それでも、守備面で組織に穴を開ける回数は皆無に近く、攻撃面でも回数こそ限られていたが、高い位置でのサポートから中央へボールを持ち出し、左足のクロスで好機を演出。その姿は、キャンプの戦術練習にフル合流していたかと勘違いさせるほどだった。

 その理由について、日髙は「今季が始動してから、ミーティングの時間が長く設定されていて、他の選手のプレーを見ながら、自分が出た時にどうするかのイメージはしていました。実際にピッチに立っても、『どうしよう?』と困ることはなかったです」と説明する。

 ケガで離脱していた時間を無駄にせず、自分の役割を整理する時間に充てたからこそ、開幕節では及第点以上のパフォーマンスを見せることができたのだろう。

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