明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第4節、鹿島アントラーズは2月28日、浦和レッズと埼玉スタジアムで対戦した。52,841人が詰めかけたスタジアムの大半はホームの浦和サポーター。完全アウェイの環境のなか、2試合連続で先発に名を連ねた溝口修平にとって、この一戦は試練と成長が交錯する90分となった。(取材・文:加藤健一)[1/2ページ]
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アウェイに飲まれた溝口修平
立ち上がりから浦和の圧力は強かった。5分、カウンターを受けた場面で鹿島の選手たちは渡邊凌磨を囲い込んだものの、溝口修平は不用意なファウルを犯す。直接FKからあわや失点という場面を招いた。
さらに14分、ロングボールに反応した金子拓郎がワンタッチで溝口を振り切る。ラストパスが肥田野蓮治に渡り、浦和が先制。溝口の守備対応の甘さが失点に直結した。
溝口にとってこの試合は今季3試合目の出場だった。1試合目は横浜F・マリノス戦で、試合終了間際にピッチに立った。2試合目は柏レイソル戦で先発して64分までプレーしている。
そして、この浦和戦。前の2試合と同じだったのは、スタンドの大半を赤が埋め尽くしていたこと。しかし、この試合ではそれが自分たちの背中を押す鹿島サポーターではなかった。
敵地での一戦に、溝口は入れていないように見えた。
VARによる確認の間、溝口はピッチサイドへと歩み寄り、前節まで同ポジションを務めていた小川諒也と言葉を交わした。その後、植田直通とも確認を重ねる。
「自分から聞きに行ったのもありますし、植田君からは『蹴られる時は下げていい』と。ああいうすり合わせは助かります。喋るだけでもメンタルが楽になる」
ズルズルと引きずってしまいかねない立ち上がりのミス。しかし、周囲とのコミュニケーションが立て直しの第一歩となった。
失点直後の心境について、溝口は率直に語る。
精神安定剤になった言葉「一言でかなり救われる」
「自分のミスだなとは思っていました。ただ、チームの中で『これ以上はなしにしよう』という声があった。ここで崩れないことが大事だと」
周りからの声は精神安定剤になった。
「(三竿)健斗くん含めて、本当にワンプレー、ワンプレー声をかけてくれる。『全然いいぞ』とか。いいプレーした時は褒めてくれるし、そういう一言、一言でかなり救われる」
「逆にこっちからも要求もできる関係なので。すり合わせできること以上に、テンポをつかめるというか、自分のリズムをやれてるっていう感覚をつかむっていう意味でも、コミュニケーションが取れるというのは大きい」
失点直後も、金子とマッチアップする場面は何度もあった。
「ここで引いたら相手が乗ってくる。制限をかける意味でも強く行きました」
先輩の助けを借りながら、溝口は自らの力で立ち上がった。徐々に落ち着きを取り戻し、徐々に攻撃面で存在感を示した。
「切り替えるしかないと思った。自分の武器は攻撃なので、得点に関わることがやるべきこと。小さい成功から立て直していこうと意識しました」
「本当に試合に出たい」溝口修平の本音
無理なリスクは避け、確実なプレーを積み重ねることでリズムを取り戻す。
「最初に無理をしてまたミスしたら難しくなる。ちょっとずつ掴んでいこうと」
溝口は昨季、10試合の出場に留まった。昨季の数字はキャリアハイではあるものの、ここまでのプロキャリアは決して出場機会に恵まれたとは言えない。それでも、様々なポジションをこなしながら、溝口は自らの武器を磨いてきた。
ユースから昇格し、プロ5年目を迎えた。昨季はアカデミーの1学年上でもある舩橋佑は31試合に出場。1歳下の津久井佳祐も19試合に出場して頭角を現した。同い年の林晴己も大卒ルーキーとして加入し、開幕から存在感を示している。
溝口は出番に飢えていた。
「どこでもやれる自信はあります。本当に試合に出たい。出たところでのこだわりはありますけど、ポジションにこだわりはない。チャンスを掴んだら離さないで、成長する方向にフォーカスしたい」



