
ファジアーノ岡山の立田悠悟【写真:Getty Images】
ファジアーノ岡山は3月8日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第5節で京都サンガF.C.と対戦し、1-0で勝利している。今季初めての90分での勝利となったが、この勝利にはそれ以上の意味合いがあった。前回対戦時はアウェイで5-0の大敗。加入2年目の立田悠悟はそのとき負傷で欠場していただけに、リベンジに燃えていた。(取材・文:難波拓未)[2/2ページ]
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「自分もやれるな」立田悠悟の中で再び芽生えた高い目標
「チームとしてやってきていることが形になってきているし、そこで勝ちが付いたことはチームとして1つ大きいとは思いますけど。個人としては、ここ最近は勝っても『まだまだだな』という思いがある。もっと個人のところを追求してやれたらいいなと思います」
会心の出来でリベンジを達成できても、心は満たされていない。プロ10年目となる今季は、海外移籍と日本代表入りを目指して取り組んでいるからだ。
高い目標は、新たに芽生えたものではない。昨季に加入した岡山で主力としてJ1を戦い抜いた経験が再び自信を付与した。
「もともと若いときもそうやって思ってプレーしていましたけど、キャリアの中でいろいろあって、そういう目標が薄れてきた時期もあった。でも、昨季にしっかりと試合に出してもらって、自信を取り戻してきたと思う。
代表に行く選手と自分の間に差を感じた部分もあったけど、(彼らに比べて)自分もやれるなという部分もある。客観的に自分のことが見えていると思うし、伸ばしていく部分とやらなきゃいけない部分が明確に見えているので」
「個人的に自信が付きづらいタイプだとは思っていて。自信は、試合に出て自分のパフォーマンスが上がってこないと付いていかないものだと思う。そういう意味では、このチームに助けてもらった感覚がすごくあります」
高みを目指しているからこそ、悔やんだのは相手ゴール前での精度だ。
「自分の伸びしろが今は正直、良い意味で見えない」
ファジアーノ岡山の立田悠悟【写真:Getty Images】
CKでフリーになり、ダイビングヘッドで合わせたシュートが枠を捉えられなかった47分のシーンを自ら話題に上げ、「シンプルに技術がなかった。次は僕が点を決めて勝てるように頑張ります」と自戒の念を込めた。
そして、「阿部(海大)も大森(博)も攻撃が上手いので、自分も守備以外で突出したものを出していかないと競争に勝てない。
あとは、やっぱり上を目指していくにつれて、『守備だけができても…』というところがあると思う。より現代的なというか、攻撃参加も強みにできるようにしていきたい」と、後輩からも刺激を受けてさらなる進化を遂げようとしている。
「自分の中でやれる幅が増えてきて、自信を取り戻しつつある中で、やりがいを感じているし、チームに対してもっとできることもあるし、個人としての成長も感じている。自分の伸びしろが今は正直、良い意味で見えないというか。だから個人としてもすごくワクワクしているし、そういった意味ではモチベーション高く楽しめている」
百年構想リーグの出場試合数は正式には通算記録に加算されない規則だが、ピッチで戦った単純な試合数だけを見れば、27歳のDFはJ1通算200試合出場が見えてきた。
その経験値の高さは、チームを司る江坂が全幅の信頼を寄せているほど。だが、ギラギラとした選手が集まるチームにおいて、立田の天井知らずの基準の高さも頼もしいことこの上ない。
(取材・文:難波拓未)
著者プロフィール:難波拓未
2000年4月生まれ。岡山県出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生の夏からサッカーメディアの仕事を志す中、大学在学中の2022年からファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブの公式マッチデープログラムを担当し、現在は様々な媒体にも取材記事を寄稿している。メディア人として東京での2年間の育成型期限付きを経て、2026年から地元・岡山でフリーランスとして活動。モットーは、「魂を込めて、クラブや選手の魅力を伝える」こと。
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