川崎フロンターレの大島僚太が帰ってきた。明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第6節、川崎は鹿島アントラーズと14日にメルカリスタジアムで対戦し、0-1で敗れた。大島僚太の復帰戦の相手の指揮官は、奇しくも川崎で8年間師事した鬼木達監督。ピッチに帰ってきた大島を見た鬼木監督は、何を思ったのだろうか。(取材・文:江藤高志)[1/2ページ]
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恩師の前で復帰
このタイミングで復帰するとは思っていなかった。
百年構想リーグ第6節の鹿島戦にて、大島僚太が先発に復帰した。
ここ数年ケガがちの大島は昨年10月8日に行われたYBCルヴァンカップ準決勝第1戦の柏レイソル戦で復帰直後に再び負傷。長期の離脱を余儀なくされていた。
戦線離脱中に同学年で盟友とも言える存在だった車屋紳太郎が「絶対サッカーの神様がリョウタに微笑んでくれるじゃないかなと思います」との言葉を残し引退するという“事件”も起きていた。
長谷部茂利監督はその大島の起用について聞かれると言葉少なで対応し、聞きようによってはメンバー入りに消極的なのではないかとも思えるほど。だからこそ発表されたメンバーリストに驚いた。
およそ半年ぶりに戻ってきた大島は、首位鹿島との大一番で先発。大ケガから復帰するベテラン選手であれば、おおよそこのくらいであろうという66分間の出場の中で随所に大島らしさを発揮した。
大島僚太の溢れ出る涙は止まらず
その大島に鬼木達監督が「やれっから!自分を信じてやることだ!」と力強い言葉を投げかけたのは、鬼木監督が川崎で最後の指揮を執った2024年12月8日のアビスパ福岡戦後のロッカールーム。そう告げられた大島は溢れ出る涙が止まらず、うずくまるような仕草を見せるほどだった。
そんな指導者が率いる鹿島戦で、約半年ぶりに大島が復帰するのだから、運命の巡り合わせは数奇だと思った。サッカーの神様の粋なはからいとでも言える出来事だった。大島が出場していた時間帯でのスコアは0-0。もちろんこの間、両チームに決定機はあったがスコアは動かなかった。
昨季の鹿島との2試合に大島は不出場。つまり敵将としての鬼木監督と対峙したのはこの試合が初めてのことだった。だから鬼木監督に聞いてみたかった。相手チームの選手として見た大島僚太という選手について。鬼木監督がまず口にしたのは、嬉しいという感情だった。
「単純に一緒に戦ってきた仲間ですし、復帰自体がね、すごくやっぱり嬉しく思います」
鬼木監督の言葉の背後にあるのは繰り返してきたケガと戦う大島と、その絶望に寄り添ってきた麻生での日々だったはず。大島の復帰を心から喜ぶ鬼木監督は、続く言葉で彼の特別さを次のように表現した。
大島僚太へ贈る最大限の賛辞
「なかなか日本にいる選手ではないので、ああいう、なんだろうな、頭を持って、技術を持ってて」
サッカーIQと技術の両方を兼ね備えているという最大限の賛辞に続くのは、日本のサッカーのためにも輝き続けてほしいという祈りにも似た言葉だった。
「相手チームではありますけども、やっぱりそういう選手が輝いていくことがすごくサッカー界にとっても大事なことだと思います」
そんな大島のプレーについて「本当1個1個のスキルみたいなものは、随所に見られましたので」と褒めていた。
ただ大島は試合を動かすところには関与できず。そのことについて「相手チームのことは、なかなか言いづらいですけども」と前置きして「でも、もっともっとやれるかなというふうにも思うので(笑)。」と笑顔で叱咤激励した。



