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ウェリック・ポポは諦めなかった。「ファジアーノ岡山の雰囲気は素晴らしい」支え続けた“兄貴分”ルカオの存在【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 photo by Getty Images

ファジアーノ岡山 ウェリック・ポポ

ファジアーノ岡山のウェリック・ポポ【写真:Getty Images】



 ファジアーノ岡山は3月14日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第6節で清水エスパルスと対戦し、1-1からのPK戦の末に敗れた。負けはしたが、来日2年目で待望の初ゴールを挙げたのがウェリック・ポポだ。加入からおよそ9か月、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。(取材・文:難波拓未)[2/2ページ]

「本当に忘れられない瞬間」が背番号98に訪れたのは努力することをやめなかったから

ファジアーノ岡山 ウェリック・ポポ

ファジアーノ岡山のウェリック・ポポ【写真:Getty Images】

「ブラジルでやっていた左ウイングはサイドに張ることが多く、そこからボールを受けて、ドリブルを仕掛ける役割を担っていた。日本のシャドーは中央で起点を作ったり、味方にパスコースを提供したりしないといけない。センターフォワードやシャドーをできれば、木山監督の選択肢が増えると思う」と準備期間を活かして、戦術の理解にも励んだ。

 練習では大槻毅コーチに球離れの悪さを指摘されることもあったが、その次のプレーでは身体を使ってキープし、無理やりターンするのではなく味方にボールを預けた。

「正直に言うと私の課題だと思っているし、練習でそこを指導してくれることはありがたい」と、日常から改善への意欲を示してきた。

 自分のゴールにフォーカスしてきたポポは、チームプレーも重んじるようにマインドを変化させてきた。

 その結果、今季は懐の深さを活かしたドリブルやゴール前での鋭い嗅覚を発揮できる機会が増加。決定機に絡めるようになってきていた中で、今節も指揮官からのリクエストを頭に叩き込み、ピッチに立った。

 まずは守備のところで、2人の相手センターバックにプレッシャーをかけること。攻撃ではどんどん背後に抜け出したり、サイドからクロスが入りそうなときはできるだけ良い位置に行ったり。そういうことをしてほしいと言われました。

 その言葉通り、3バックの選手がボールを持ったときは背後に走り出す動きで、相手DFラインを押し下げ、一美が表で起点を作るスペースを生み出していた。左サイドのタッチライン沿いで相手2選手をかわし、逆サイドでフリーの味方に展開した。



 決して自己中心的ではなく、戦況を見極めた上でチームがゴールを迫るための最適なプレーを素早く判断し、実行していた。チームのためのプレー選択をしてきたことが、80分に一美のクロスを自分のところまで届けさせてゴールをもたらしたのだろう。

 うまくいかずに苛立つこともあったが、背番号98は努力することをやめなかった。チームメイトはその姿をずっと見てきた。そして、頑張りを認めている。だから、ゴール後はお祭りのように全員で歓喜を爆発させた。

 立田は試合後に「個人的にもすごくうれしかった。ここからチームを助けてくれるんじゃないかと思うし、僕らも彼の助けになれればいいかなと思います」と笑顔をこぼした。

「(ゴール後は)本当に忘れられない瞬間でしたね。日々のトレーニングではたまにトラブルがあって、怒ることもありました。

 それにもかかわらず、チームメイトは自分を愛してくれていますし、それをあの瞬間に感じました。本当にファジアーノ岡山の雰囲気は素晴らしい。これからもっともっと上にいけるように、全員と一緒に頑張っていきたい」

 嬉々として話すポポの背中を、ミックスゾーンを通過するルカオがそっと叩いた。

(取材・文:難波拓未)

【著者プロフィール:難波拓未】
2000年4月生まれ。岡山県出身。8歳の時に当時JFLのファジアーノ岡山に憧れて応援するようになり、高校3年生の夏からサッカーメディアの仕事を志す中、大学在学中の2022年からファジアーノ岡山の取材と撮影を開始。2024年からは同クラブの公式マッチデープログラムを担当し、現在は様々な媒体にも取材記事を寄稿している。メディア人として東京での2年間の育成型期限付きを経て、2026年から地元・岡山でフリーランスとして活動。モットーは、「魂を込めて、クラブや選手の魅力を伝える」こと。

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【了】
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