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J1 22時間前

なぜ…。清水エスパルスに起きた異変。住吉ジェラニレショーンが担う責任「学んでいかなければならない」【コラム】

シリーズ:コラム text by 榊原拓海 photo by Getty Images
清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン
清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン【写真:Getty Images】



清水エスパルスは3月14日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第6節でファジアーノ岡山と対戦し、1-1で突入したPK戦を4-2で制した。だが、DF住吉ジェラニレショーンの口から出てきた言葉は、ポジティブなものよりもネガティブなものが目立つ。フル出場を続けるCBは、チームに起きていた異変を感じ取っていた。(取材・文:榊原拓海)[1/2ページ]
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「やはり悔しい」勝ち点3が欲しかったゲーム

 清水にとっては、明治安田J1百年構想リーグに入ってから、4戦目にして初のPK勝利だった。これまでは3度、PK戦で涙を飲んできただけに、チームとして1つの壁を乗り越えたという見方もできる。にもかかわらず、試合後、DF住吉ジェラニレショーンの表情に緩みはなかった。

「試合全体をトータルで振り返ると、個人的には勝ち点3が欲しかったゲームです。相手陣地でサッカーをするという、自分たちがやりたいことは前半からできていたので。ただ、前半はあれだけチャンスを作った中でも0点で終えてしまった。チーム全体でわかってはいますが、やはり悔しいですね」

 住吉がこう語るのも無理はない。それほどまでに、前半45分間は清水が主導権を握っていた。ロングボールを織り交ぜながら敵陣へスムーズに侵入し、奪われても素早い切り替えで岡山に自由な前進を許さない。左インサイドハーフで先発したMF小塚和季らが背後を狙う姿勢を欠かさなかった影響も相まって、相手の陣形を徐々に押し下げていった。


 こうした展開の中で、アンカーの位置に入るMFマテウス・ブエノは高い位置で前を向く回数が増加。彼を経由しながら左右に揺さぶり、フィニッシュへとつなげる形は、これまでの試合と比べても明らかに多かった。前半の出来を受けて、岡山の木山隆之監督が試合後に「圧倒的に相手のペースで、盛り返すことができませんでした」と振り返った言葉は、決して誇張ではない。

 清水としては、前半にいくつか迎えた決定機こそ仕留め損なったが、後半の58分には、MF宇野禅斗の折り返しをFWオ・セフンが流し込んで先制に成功。前半のうちに先手を取れなかっただけに理想的とは言えずとも、ここまでは順調とは言える試合運びに見えた。

ピッチ上に生じていた異変

清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン
清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン【写真:Getty Images】

 ところが、先制点を奪った直後から、雲行きが怪しくなる。岡山に押し返される回数が増え、オープンな展開が生じると、80分にはクロスボールからFWウェリック・ポポに同点ゴールを許した。

 もっとも、同点ゴールを許した80分よりも前から、ピッチ上では異変が生じていた。住吉は「自分の中では、ちょっと嫌な時間というか、緩い時間帯が続いたように感じていました」と明かす。ピッチに立っている選手でなくとも、徐々に岡山に流れが傾いていることは感じていたはずだ。

 なぜ、順調だった試合に亀裂が入ったのか。要因を一言で表すならば、“自分たちのサッカー”を維持できなくなったことにある。


 吉田孝行監督が率いる清水は、先の住吉の言葉のとおり、相手陣地でプレーする時間を長くすることを心がけている。そのための手段として、相手によって程度に差はあるものの、前進の際にはあまり手数をかけず、ロングボールを積極的に活用する。相手が自陣から攻撃を作る際には、ハイプレスでその前進ルートを遮断し、“狩場”で奪い取ってから、前向きな状態でゴールへ襲いかかることが理想的だ。

 岡山戦でも、後半の序盤まではこのような理想的な展開に持ち込めていた。だが時間の経過とともに陣形は押し下げられ、前線からの圧力も弱まっていく。終盤に差し掛かり、スタートから出場している選手たちの運動量が落ちたことも一因だろう。

 ただし、より本質的な問題は別にあった。

本多勇喜が下がった後に起きた問題


清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン【写真:Getty Images】

 最終ラインが強気なラインコントロールを続けられず、チーム全体でコンパクトな陣形を維持しながら、前からのプレッシャーにいけなくなったことだ。「途中交代で入る難しさは自分も承知していますが、そこは相手の方が勢いがあった」と住吉。選手交代によって選手のキャラクターが変化したこと、特にDF本多勇喜がピッチから下がった影響は大きかった。

 ここまでの全試合、試合スタート時から本多とCBのコンビを組んできた住吉は、「いつもは本ちゃん(本多の愛称)がラインを高く設定してくれている」と語る。本多がピッチに立っていた際、ラインの上げ下げを管理するのは彼の役割となる。

 岡山戦でも、本多がメリハリのあるラインコントロールを見せ、住吉は相手キーマンのFWルカオを徹底的に潰す役割に集中。背番号51は「判断のところを見誤り、入れ替わるシーンもあった」と反省点も挙げるが、彼本来の持ち味は十分に出せていた。


 しかしながら、コンディションの面もあって、64分に本多がピッチを後にし、今季公式戦初出場となるDF高木践が送り出されると、この状況に若干の変化が生まれた。

 問題は高木のクオリティではない。CBの役割が曖昧になり、ラインの上げ下げにおいて“強気”な姿勢が失われたことだ。最終ラインから全体を押し上げる——。住吉はその役割を、より強く果たす必要があったと振り返る。

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