フットボールチャンネル

J1 24時間前

なぜ…。清水エスパルスに起きた異変。住吉ジェラニレショーンが担う責任「学んでいかなければならない」【コラム】

シリーズ:コラム text by 榊原拓海 photo by Getty Images
清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン
清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン【写真:Getty Images】



清水エスパルスは3月14日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第6節でファジアーノ岡山と対戦し、1-1で突入したPK戦を4-2で制した。だが、DF住吉ジェラニレショーンの口から出てきた言葉は、ポジティブなものよりもネガティブなものが目立つ。フル出場を続けるCBは、チームに起きていた異変を感じ取っていた。(取材・文:榊原拓海)[2/2ページ]
——————————

「正直、嫌な部分もある」

「践と組むのは今季初めてで、彼は今季の公式戦初出場でした。そこで自分が声を出して、全体を押し上げて、前からのプレスに行かせるところは意識はしました。ただ、実際は相手に揺さぶられてしまうシーンや時間が長くなってしまった」

 1点を追う岡山は、同点に追いつくため、パワーと突破力に秀でたルカオやポポをシンプルに使おうとする。個の力で打開できる選手たちに背後を狙われ続けることは、「正直、嫌な部分もある」(住吉)。だが、チームとして目指すべき方向を変えてはならない。ここで問われたのが、最終ラインの統率力だった。

「大前提として、相手に長いボールを蹴らせないために、自分たち最終ラインの選手たちが指示して、前の選手を動かしていかなければならない。そこでオフサイドを取れれば、言い方は正しくないかもしれませんが、後ろの選手としては楽ができます。後半途中からの試合展開を考えると、そこが必要でした」


 もちろん、1点リードという状況が心理に影響を与えた側面もある。「『守ろう』という意識で、全体が後ろに下がってしまうのは、心理的な面でもあると思う」(住吉)。だが、それによってラインが下がりすぎれば、チームが志向するスタイルそのものが失われてしまう。「終わった後に監督も『ちょっと下がりすぎだ』とは言っていました」(住吉)。

 だからこそ、住吉は自らが担うべきだった“責任”を明確に見つめる。

清水エスパルスの“完成形”と住吉ジェラニレショーンの責任

清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン
清水エスパルスDF住吉住吉ジェラニレショーン【写真:Getty Images】

「1点をリードしている終盤でも、ディフェンスラインも、中盤のラインも1つ上げて、前からのプレッシャーをかけていかないといけない。交代選手が入ったり、勝っているときの終盤は、より一層声を出して、相手陣地でサッカーをしなきゃいけない以上、DFとしてのリーダーシップがすごく大事だなとは感じました」

「チームとしては、顔ぶれが変わっても、やることは一緒ですが、選手のカラーが変わった時、自分の役割は若干変わるのかなと思っています。失点のシーンの時も、5分ぐらい前から、もっと締められたんじゃないかとは、自分自身思ってます」

 住吉は自らのラインコントロールを「深い部分で守ってしまうところがある」とした一方、「ラインで相手を切る、オフサイドポジションに置くのが、監督の求めているサッカー」と口にする。「そこの基準を満たせるように、特に、ミドルゾーンで相手がボールを持っている時の強気なライン設定は学んでいかなければならない」と今後を見据える。

 チームが1点をリードしながら、“逃げ切り”に失敗したのはこの試合だけではない。第2節の京都戦、この試合は本多も最後までピッチに立っていたが、後半アディショナルタイムに痛恨の失点を喫し、PK戦の末に黒星を喫した。だからこそ、試合の終盤こそが真価を問われる時間帯だ。運動量が落ちたり、戦い方に迷いが生まれる終盤において、住吉はチームを引き締める役割がより重要な意味を持つと考えている。


「岡山戦で1失点をした時は、全体の運動力が落ちていたタイミングでしたし、気持ち的に落ちてしまった部分。そこは自分自身ピッチで感じていました」

「もう1度、ピッチに立っている選手たちがリーダーシップを取り、たとえ追いつかれようとも、『まだ引き分けだ』と声がけをして、強気に前でプレーする意識を持たせなければならない。そこの大事さは、今回の試合で改めて感じました」

 清水加入後3年目を迎える住吉は、空中戦での強さ、カバーリングのスピードなど、彼だからこその武器を発揮する術は身につけているが、“今の彼”に求めたい役割は、それだけではない。最終ラインの中心選手として活躍を続けてきたからこそ、チームのスタイルを体現し、ピッチ全体を統率する“リーダー”としての役割も担えるはず。彼にはそんな姿が似合う。

 このサッカーをする以上は、終盤の時間帯もラインを押し上げられるかどうかが、勝ち切れるチームとそうでないチームを分ける。住吉が“基準”を体現できるようになったとき、清水のサッカーはまた一歩、完成形に近づく。

(取材・文:榊原拓海)

【著者プロフィール】
1996年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒。学生時代よりWEBメディアの編集業務にアルバイトとして携わり、2024年よりフリーランスとして活動。現在はサッカー専門新聞『エルゴラッソ』にて清水エスパルスを担当。同メディアを中心に、さまざまな媒体に寄稿している。

【関連記事】
「話にならない」日髙華杜は屈辱のデビュー戦を乗り越え、清水エスパルスで3戦連続スタメン「このサッカーでSBをやるなら…」【コラム】
「はい。すみません」清水エスパルスで初の“勝ちロコ”も。本多勇喜が「それどころじゃなかった」と振り返ったわけ【コラム】
戦力アップ成功!? 2026年Jリーグ補強評価ランキング1~5位

【了】
1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!