清水エスパルスは3月22日、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第8節でサンフレッチェ広島と対戦し、3-1で勝利した。中でも大きなインパクトを残したのが、FW北川航也だ。今季から右ウイングという新たな役割を与えられた北川は、今季の始動から積み上げてきたものをピッチで存分に表現している。(取材・文:榊原拓海)[2/2ページ]
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「相当キツいです。ただ…」
「非常にインテンシティーが高くて、練習でも試合でも、相当キツいです。ただ、キツいんですけど、自分の足りなかったところを見つめて、ここからさらに自分が伸びると思って取り組むこともできています。早く(吉田監督が)求めるレベルまで持っていきたいと思っていますし、それ以上のものをピッチの上で表現できればなと思います」
これらはあくまで鹿児島キャンプでの取り組みの一部に過ぎないが、こうした経験が、広島戦を含めた今季の北川のパフォーマンスに直結していることは指摘するまでもない。
本人の「その場ではあまり考えていない」という発言も、キャンプ期間から積み上げてきた理解があるからこそ出た言葉だ。決して、偶然の産物ではない。
広島戦の18分に迎えた決定機も、66分にチームの勝利を決定付けた今季通算2点目となるゴールも、彼の言葉を借りれば「いるべきところにいたからボールが転がってきた」。
何よりも攻守において立ち位置を大事にする指揮官だからこそ、キャンプの際に北川は「決まった立ち位置に戻るところ、そこから出ていくことを自分は意識しなければならない」と明かしていたが、今や深く考えずとも、自然と体が動く状態に持っていくことができている。
「もっと…」エースの条件
試合をこなすにつれて、今のポジションで自らの“良さ”を発揮できる感覚も掴めている。「1トップをやっていた時は、ペナルティエリアの中で、前向きの状態でボールを受ける機会は少なかった」と前置きしつつ、「前向きの状態でボールを受けて、そこから右足、左足を使って仕掛けられるのは、自分の強みでもある」と主張する。
こうした土台を着実に積み上げながらも、彼の中には飽くなき成長意欲も宿る。「もっと点を取りたい、上に行きたいという欲が、自分を動かしてくれているのかなと思います」。日本代表にまで上り詰め、ヨーロッパへの移籍も経験しようと、今なお成長を求めるその姿勢が、彼の中での“ガソリン”となっている。
だからこそ、北川は右WGの選手として、この百年構想リーグの期間では1つの目標を掲げている。「ゴールとアシストを合わせて2桁に乗せたい」。昨季は1トップに君臨し、J1の舞台で二桁ゴールを記録したが、アシストは0だった。「自分の良さはアシストができること」と自負しているからこそ、フィニッシャーとしてだけでなく、チャンスクリエイターとしても存在感を放つことを誓う。
無意識の中でも最適解を選び取れる状態。それは偶然ではなく、キャンプから積み上げてきた役割への理解と立ち位置の徹底の先にあるものだ。そして、その基準をピッチで体現した上で、結果までをも残し続ける存在こそが、このチームにおけるエースの条件でもある。今、北川はその領域に足を踏み入れている。
(取材・文:榊原拓海)
著者プロフィール:榊原拓海
1996年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。上智大学外国語学部イスパニア語学科卒。学生時代よりWEBメディアの編集業務にアルバイトとして携わり、2024年よりフリーランスとして活動。現在はサッカー専門新聞『エルゴラッソ』にて清水エスパルスを担当。同メディアを中心に、さまざまな媒体に寄稿している。
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