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コラム 9時間前

CL権争い中に何を…。ローマで起こっている内部対立の真相。ラニエーリVSガスペリーニの引き金になったものとは【コラム】

ローマ
クラウディオ・ラニエーリ(左)とジャン・ピエロ・ガスペリーニ(右)【写真:Getty Images】



 来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いの真っただ中にいるローマ。ここから一致団結し、目標へと突き進まなければならないが、大きな不安がある。クラウディオ・ラニエーリとジャン・ピエロ・ガスペリーニの首脳陣による対立だ。OBからは「今やるべきことではない」と非難の声もあるが、一体なぜ、彼らのバトルは勃発したのか。その真相を、現地の報道などを基に探っていく。(文:佐藤徳和)[1/2ページ]

ガスペリーニはファーストチョイスではなかった

 永遠の都、ローマに激震が走った。それは、4月11日にオリンピコで開催されたピサSC戦を前にした出来事だった。

『DAZNイタリア』のジャーナリスト、エドアルド・テストーニと元ユヴェントスのエマヌエーレ・ジャッケリーニに挟まれてインタビューに応じるASローマのシニアアドバイザー、クラウディオ・ラニエーリは、ジーンズに、ボンバージャケットのラフな服装だった。

 その後方では、戦いを前に、選手たちがウォーミングアップを黙々とこなしていた。

 ジャン・ピエロ・ガスペリーニとの関係を問われたラニエーリは、強い口調でこう言明している。



「我々は夏に5、6人の監督をリストアップし、そのうち3人は来ず、最終的にはクラブが決断した。我々はガスペリーニがアタランタで若手と共に成し遂げたことを理由に彼を選んだ。私と彼で一緒に選手を選んだのであり、彼が承認していない、あるいは加入を知らされていなかった選手は一人もいない。

 我々がやろうとしたことのすべては、昨季チャンピオンズリーグにあと勝ち点1差で迫ったチームに、多くの成長させるべき若手を加えたチームを監督に与えることだった」

 ガスペリーニが、ファーストチョイスではなく、4番目の選択であったことを明かし、昨夏の補強は、ガスペリーニとともに熟考した上での獲得であったことを強調した。

 実は、この試合の前日の公式会見の場で、ガスペリーニがこのように発言していた。

ラニエーリが不満を抱いたある発言

「『Transfermarkt』を読んだところによれば、ローマはこの2年間で30人の選手を獲得したが、そのうち現在プレーしているのは4、5人に過ぎない。おそらく別のターゲットが必要だ。

 ローマでは重要なチームや重要な選手たちを見てきたし、観衆はそれを見分けることができる。私は30人よりも少数の選手の方を好む。これが私の考えだ」

 恐らく、この発言に対して、ラニエーリは強い不満を抱いたのだろう。

 さらに「もし私が続けることを好むなら、続ける。もしアドバイスを求められるなら、続ける。もし求められないなら、私は去る。私は誰かの保証人になるためにここにいるのではない。私はローマを愛している。監督の時と同様に、シニア・アドバイザーとしても身を引く準備はできている」と激白し、辞任の用意があることまで述べた。

 ASローマは、ボローニャFCとのUEFAヨーロッパリーグ(EL)・ベスト16に敗れ、インテルには2-5と惨敗を喫していただけに、ピサSC戦の勝利が絶対に必要不可欠だった。

 幸い、ドニエル・マレンのトリプレッタの活躍により、ASローマは、3-0と勝利を手繰り寄せた。

 その試合の会見後、早速記者から、ラニエーリの発言に関して質問が及ぶ。



 ガスペリーニは笑みを浮かべて「君も見たか」と返し、時折り笑顔を覗かせながら、時には「強く訴えてきた」とテーブルを叩いて、自身の見解を強調した。

「私が知らない選手については、自由に選んでもらっていた。私は重要な選手を2人だけ指名し、そのうち1人が加入した。最初から、私にとっては攻撃面に取り組むことが重要だった。

 これが私にとってのプライオリティーで、それ以外はすべて上手く行っていた。その点について、対立は一度もなかった。そして私は常に、前線の改善とチームのレベルを引き上げる必要性を強く訴えてきた」

 怒りの表情はない。終始穏やかだ。

「その後、残念ながら非常に大きな困難があった。私はラニエーリと問題を抱えたことは一度もない。いかなる確執もない。むしろ、この点について彼も同意しているように見えた」

 監督任命が4番目と言われ、それが事実かどうか否かはさておき、誰もが不快な思いを抱くだろう。

 その点、ガスペリーニは、強い憤りを示すことなく、記者からの質問も、“ドリブル”でかわしたと言える。

 ラニエーリよりも7歳年下のガスペリーニが大人の対応を見せた。

ラニエーリの発言は必要だったのか?

“サー・ラニエーリ”の発言は、残り7試合でUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を目指す極めて重要な局面において、全く不要なものであったと言わざるを得ない。

 指揮官として、これまで幾度となくチームを救ってきたラニエーリだが、今回の判断は適切とは言い難い。

 ローマ出身で、熱狂的なロマニスタとして知られるアンドレア・ストラマッチョーニもDAZNイタリアの『フオリクラッセ』にて、同郷のラニエーリを非難。

「4月にこうした発言の必要がどこにあるのか? ラニエーリに対して大きな敬意はあるが、これは私には理解できない発言であり、小さな“オウンゴール”だと思う。今この瞬間、ローマのために、こうした言葉を発する意味がどこにあるのか?」

「ガスペリーニは、ローマの指揮官だ。こうしたことは、私の経験では、密室で行うべきものだ。私はガスペリーニを評価している。すべてを鎮めようとしたからだ。ローマは結束を保たなければならない」

 多くのファンもストラマッチョーニに同調する。



 元ローマFWのズビグニェフ・ボニエクも、ラニエーリの発言に疑問を投げかける一人だ。

「私にとっても驚きの発言だった」と語る元ポーランド代表は、こう見解を述べる。

「私にははっきりとした考えはなく、クラブ内の力学を知っているわけでもない。おそらくラニエーリの介入は、クラブの方針を表明したものだったのではないか。つまり、シニア・アドバイザーとして、ある意味でフロントの仕事に疑問を投げかけるものでもあった、監督による度重なる主張やインタビューに対して回答したかったのだ。

 しかし、私の考えでは、ラニエーリはこれほど重要な試合の前に、あのように見せつけるような形で反論すべきではなかった。内密に集まるべきだったのだ。クラウディオもガスペリーニもローマを愛しているのだから、この件は間違いなく別の方法で対処できたはずだ。イタリアという国は、何の役にも立たない“テレノヴェーラ(無駄に長引く騒動)”を作り出すのが得意だからな」

「ガスペリーニを私はとても気に入っている。彼が指揮するローマは、ラニエーリ時代とは異なるサッカーをしている。良い悪いではなく、違うということだ。彼は性格が難しいとも聞くが、私には判断材料がない。結局のところ違いを生むのは選手だ。監督が試合に勝つわけでも負けるわけでもない。

 もちろん、戦術や選手たちへの情報の提供、チームの配置という点で重要ではある。ローマはユヴェントス戦の3-3の反動を受けたと思う。もし3-1で終えていれば、さらに6、7ポイントは上積みできていただろう。そうなっていれば、今このような論争をしてはいないはずだ」

「もし自分がクラウディオだったなら、あのように反論するのではなく、試合後に直接、ガスペリーニに会って話をしただろう。クラブのためだ。だからこそ、2人には一緒にカッフェを飲みに行くことを勧めたいのだ」

 しかし、和解の兆候はなく2人の“冷戦”は続き、お茶をするどころの話ではない。

 今もトリゴーリア(ローマのトレーニングセンター)には緊張が走ったままだ。

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