来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権争いの真っただ中にいるローマ。ここから一致団結し、目標へと突き進まなければならないが、大きな不安がある。クラウディオ・ラニエーリとジャン・ピエロ・ガスペリーニの首脳陣による対立だ。OBからは「今やるべきことではない」と非難の声もあるが、一体なぜ、彼らのバトルは勃発したのか。その真相を、現地の報道などを基に探っていく。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]
トッティも内部問題について言及
今はフリードキン会長の介入を待つばかりだが、二人の去就がどうなるのか不透明だと『ラ・ガッゼッタ・デッロ・スポルト』のアレッシオ・ドゥルソ記者は伝えている。
ラニエーリが退任することになれば、フレデリック・マッサーラ・スポーツディレクターも去ることになるとの見方が強いようだ。
その場合、フリードキン家は、クラブに欠けている“名声あるアドバイザー”としてフランチェスコ・トッティを招聘する可能性がある。
そのトッティは15日、『eBay Live』のマーケティングイベントに出演し、ローマ首脳陣の確執について口を開いている。
「ローマのサポーターとして、共通かつ最優先の目標は、クラブの内部に軋轢があったとしても団結し続けることだ。ガスペリーニもラニエーリも、ローマのファンとクラブに対して敬意を持たなければならない。我々はチャンピオンズリーグ争いの中にいる。ユヴェントスとは勝ち点3差だ。
すべての力が結集されることを望む。シーズンが終わったあとに総括すればいい。唯一の目標はローマだ。我々ロマニスタは、彼らが同じ方向に進むことを願っている。問題はどこにでもあるが、それを表に出すのは正しくない。少なくとも今やるべきではない。別のタイミングでできたはずだ」
すでに後任候補のスポーツディレクターの名前も挙がっている。
一人は元ユヴェントスのクリスティアーノ・ジュントリ、もう一人は現エラス・ヴェローナのスポーツディレクターで、ジェノア時代にガスペリーニと共闘したセアン・ソリアーノである。
一方、ガスペリーニが退任した場合も、すでに候補が挙げられている。
すべてはCL出場権にかかっている
アトレティック・クルブ監督のエルネスト・バルベルデと、元チェルシーのエンツォ・マレスカだ。いずれもラニエーリの評価が高い指揮官である。
また、ローマを葬り去ったボローニャのヴィンチェンツォ・イタリアーノの引き抜きや、ダニエーレ・デ・ロッシの再登板も噂されている。
すべてはCL出場権争いの行方に委ねられるが、19日にはガスペリーニが昨シーズンまで指揮した古巣アタランタを本拠地に迎える。
万一、この一戦を落とすようなことがあれば、チームを取り巻く空気は一段と不穏さを増すだろう。
ASローマは32試合を終えて勝ち点57の6位。4位ユヴェントスとは勝ち点3差、5位コモ1907とは同1差と肉薄しているものの、上位との直接対決はすでになく、自力での4位浮上の可能性は消滅している。
残り6試合はすべて勝利が求められる状況だ。上位陣との対戦こそ残されていないが、その中にはローマ・デルビーも含まれる。
ユヴェントスは第34節でミランと対戦し、コモ1907も第35節にSSCナポリとの厳しい一戦を控えるが、それ以外は比較的組みやすい相手が続く。
残り日程を踏まえても、ASローマが厳しい立場に置かれていることは明らかだ。
パクス・ロマーナ(ローマの平和)は、果たしていつ訪れるのだろうか。
(文:佐藤徳和)
【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru
【関連記事】
イタリア代表の崩壊はメディアの責任でもある。セリエAの外国人偏重起用問題を報じない…いや、報じられない理由【コラム】
イタリア代表の新監督はどうなる? 候補に挙がる5人とは。「再建ではない。破壊すべき」意外な大物の名前も【コラム】
セリエAなのにイタリア人がいない…。なぜ優秀な若手が育ちにくいのか。「今の限界を招いてしまった」大きな誤解とは【コラム】
【了】
