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J2 4時間前

なぜ北海道コンサドーレ札幌を選んだのか。他クラブに行こうとしていた梅津龍之介の思いを変えたもの。「まず大きかったのが…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by 黒川広人
北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学 梅津龍之介

北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学の梅津龍之介【写真:黒川広人】



 北海道コンサドーレ札幌にとって、待望の人材の加入内定が発表された。法政大学4年の梅津龍之介だ。一言で言えば、“CBらしいCB”。梅津が最後尾にいるだけで、チームに落ち着きをもたらす存在である。札幌はそんな梅津を早くから密着マーク。その熱意が実り、複数クラブの争奪戦を制し、獲得に成功した。特別指定での登録も予定されており、週末のいわきFC戦でプロデビューを飾る可能性も十分だ。注目の即戦力DFの魅力に迫る。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]

複数クラブからオファーがあった中、梅津龍之介が北海道コンサドーレ札幌加入を決めた理由

北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学 梅津龍之介

法政大学4年の梅津龍之介【写真:黒川広人】

 2026年4月中旬、梅津龍之介サイドから、北海道コンサドーレ札幌加入を決断したとの報が届くと、クラブスタッフは歓喜した。新シーズン以降、J1昇格を目指す上で、どうしても欲しかった意中の存在だったからだ。

 だが、全日本大学選抜にも選ばれるなど、対外的な評価も高かった梅津には、他クラブからも熱心なオファーが届いており、決断に至るまで梅津の心は大きく揺れていた。

「別のクラブからも熱心なオファーを貰っていて、正直最初はそちらに行こうと思っていました」

 福島県出身で東北地方への愛着も強い梅津。その選択をすることで、喜ぶ家族や親戚の姿も浮かんだ。

「親や親戚も『そうなったら嬉しい』と喜んでくれていましたし、結果が出ているチームでもあったので、そちらに行くつもりでした」

 だが、2つの理由が、その決断を変えた。



「まず大きかったのが、札幌のサッカースタイルです。(川井)健太さんが掲げているスタイルは、札幌の練習に参加させてもらった時にすごく面白いと感じましたし、自分の理想に近かった。自分の特徴を一番出せるのは札幌だと思いました。また、チームや街全体の雰囲気、ファン・サポーターの熱量も含めて、自分に合っていると感じました」

 梅津は言葉を続ける。

「あとは、札幌の強化部の方々と話す中で、自分を必要としてくれている熱意が本当に伝わってきて。他のクラブどうこうではなく、単純にここでキャリアをスタートさせたいと思い、決めました」

 急転直下の方針転換は、クラブへ伝えるわずか数日前に下された。

「決めたのはクラブに伝える3日ほど前でした。今年の札幌の試合を見てきた中で、(川井)健太さんのやりたいサッカーが少しずつ形になってきているとも感じて、自分が入れば、さらに良くできるとイメージできたのも大きかったです」

 今回の決断のキーマンとなったのが、札幌のスカウトを務める上本大海氏だ。梅津の才能をいち早く評価し、継続的なアプローチで信頼関係を築いてきた。

「チームスタイルに合う選手」梅津龍之介はどんなセンターバックなのか

北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学 梅津龍之介

北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学の梅津龍之介【写真:黒川広人】

「大海さんは毎試合のように、観に来てくれましたし、連絡もまめに取ってくれて、本当に熱かったです。決断後も、すぐに『本当にありがとう。ホッとした』と連絡をいただいたのも印象に残っています」

 中でも、梅津の心に強く残ったのは、センターバック(CB)出身の上本ならではの言葉だった。

「昨夏に札幌の練習に参加した時、プレーの連続性やスピード感、予測の部分について改善の指摘を受けました。当時、頭が止まっちゃう瞬間が多くあったので。そういった点を指摘してもらうと同時に、Jリーグでは外国籍選手と当たることが多くなるから、大学生を止めるのは当たり前にしないといけないと言われました。

 練習参加後、自分の中で意識が変わりましたし、プレー面でも少しずつ評価してもらえるようになりました。プロで長く活躍してきた方に少しずつ、褒めてもらえるようになり、率直に嬉しかったです」

 梅津はどんなCBなのか。スカウト陣も「ビルドアップの展開力と落ち着き、守備面でもハイアベレージでクレバー。チームスタイルに合う選手」と高く評価する。



 梅津自身もCBとして大切にしている流儀がある。

「CBにとって一番大事なことは、周囲から信頼される安定感だと思っています。技術やフィジカルは第二、第三の要素です。まずは、『こいつがいれば失点しない』と思ってもらえる存在にならないといけない。

 自分はミスの少ない選手ですが、特別な身体能力があるわけではありません。だからこそ、雰囲気やオーラで守れるCBになりたい。それは鹿島(アントラーズ)時代に教わってきたことでもありますし、監督のやりたいことを早く理解して、周囲に伝えることも自分の役割だと思っています」

 その言葉の通り、鹿島ユースでも法政大学でも、梅津は1年生から出場機会を掴んできた。札幌とも遠からぬ縁がある。

「(西野)奨太は同期の有名なCBという印象でした(笑)」

北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学 梅津龍之介

全日本大学選抜にも選ばれるなど、対外的な評価も高い梅津龍之介【写真:黒川広人】

 2021年のクラブユース選手権で、梅津の所属した鹿島ユースは、佐藤陽成、川原颯斗、西野奨太らを擁した札幌U-18に準決勝で敗れている。当時、梅津と西野は、2年生ながら、同じCBとしてスタメン出場し、互いに意識する存在だった。

「奨太は世代別代表にも入っていたので、同期の有名なCBという印象でした(笑)クラセン(クラブユース選手権の略)のことも覚えていたみたいで、練習参加した際に、『俺らがアントラーズに勝った』とマウントをとってきましたね(笑)今はキャプテンとして頑張っていますし、一緒に出られたら面白いと思います」

 プロ内定という節目を迎えたが、梅津にとってそれは通過点に過ぎない。

「絶対プロになれると思っていましたし、本当にここからだなという思いしかないです。大卒選手は即戦力として出場しないと一気に立場が厳しくなる」とも語り、札幌のスタイルへの適応にも自信を見せる。

「今のCB陣にないものを自分は持っています。健太さんが掲げている、“ボールを動かす”部分で、特に貢献できるイメージです。周囲にもそこを期待されているので、自分の特徴を出していきたいです」



 堅実な性格も特徴だ。

「法政は、賑やかな選手が多いですが、自分は逆のタイプです(笑)基本的に、一人か本当に仲良い数人と過ごします。誘いも極力断ります」と笑い、昨今の有望選手には珍しく、海外志向もなく、地に足のついたキャリア観を持つ。

「自分は、Jリーグで長くやりたいと思っているので、海外移籍は考えていません。自分のプレースタイルや性格的にも合わないと思うので、そこで潰れるより、Jリーグで長く活躍するキャリアを理想としています」

 イメージする未来を実現させるためにも、1年目から強い覚悟で挑む。

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