
首位攻防戦に勝利したマンチェスター・シティ【写真:Getty Images】
プレミアリーグ第33節、マンチェスター・シティ対アーセナルの試合が現地時間19日に行われ、2-1でホームチームが勝利した。優勝を争うゲームということもあって、2人の名将が率いる両チームの徹底した戦術がぶつかり合い、また局面での激しい“個”のぶつかり合い、火花を散らしていた。(文:前島大晟)[1/2ページ]
ホームのマンチェスター・シティが2-1で天王山を制す
1試合消化が少ないマンチェスター・シティが、勝ち点差6を離して首位に立つアーセナルをホームに迎えた天王山。
この試合で3ポイントを得たチームが優勝に大きく近づく重要なゲームで、スカイブルーのチームが白星を掴んだ。
白熱した首位攻防戦は、ホームチームの背番号10によるスーパーゴールで幕を開ける。
16分、ペナルティエリア(PA)手前でマテウス・ヌネスが奪ったボールを受けたラヤン・シェルキが、一気にPA内に侵入。
両利きを活かした細かい左右のタッチでガブリエウ・マガリャンイスとデクラン・ライスをかわし、最後はウィリアン・サリバの股を通した右足のシュートでネットを揺らした。
ただ、アウェイチームもその2分後に追いつく。
スローインを受けたジャンルイジ・ドンナルンマに、猛烈にプレスをかけたカイ・ハヴァーツが、GKのロングボールをブロック。それがそのままゴールに吸い込まれ、試合を振り出しに戻す。
その後、1-1のまま迎えた65分、ペップ・グアルディオラのチームが再び一歩前に出る。
ジェレミー・ドクとのコンビネーションでポケットに侵入したマット・オライリーが、PA内中央にパス。飛び込んできたロドリがスルーし、その奥で待っていたアーリング・ハーランドがそのまま押し込み追加点を挙げた。
そのまま時計の針は進み、試合終了。シティは、首位を走るアーセナルの背中を掴める距離まで近づくことに成功した。
2人の名将による2種類のハイプレス
今後のプレミアリーグの行方を決めるこの試合では、両チームの指揮官のそれぞれの戦術が明確かつ正確に発揮され、一瞬でも気を緩めると隙を突かれてしまうような展開が繰り広げられていた。
まず、ホームチームの方に着目してみると、守備面では[4-2-4]で構え、高い位置からのショートカウンターを狙っていた。
前線の4人のうちの真ん中の2人が相手CB2枚にプレッシャーをかけながら、背後にいるボランチを背中で消す配置を取っている。
それに対しアウェイチームは、シティのようなゾーンで構えるのではなく、マンマーク気味の守備対応でハイプレスを敷いていた。
そのため、シェルキやハーランドが自陣深い位置まで下りると、対峙するガブリエウが持ち場を離れ、近くまでついていくシーンが何度もあった。
シティが、組織的な守備形成を組むのに対し、アーセナルはチームで連動しながらもマンマークで、最終的には“個”が目の前の相手選手を潰さなければならない。
ここに、両監督の守備に対する戦術に大きな違いがあった。
組織的な崩しと“個”の力による打開
一方、攻撃面においても両チームの特徴的なカラーが見受けられた。
まず、スカイブルーのチームは、マンマークでプレスをはめに来るアーセナルに対し、中盤とディフェンスラインに空いたスペースを上手く活かし、数的有利の状況を多く作っていた。
また、先制点のスコアラーをインサイドハーフに配置し、左右どこでも顔を出す“フリーマン”的役割を任せ、必ずフリーでボールを持てる位置に立たせていた。
さらに、2点目のきっかけとなったオライリーは、左SBの位置からボランチの位置までしぼり、ドクを大外で張らせるように徹底。
どちらも背番号10と11に1対1の局面を作らせる状況を多く作っていたようにもとれる。
対するアルテタのチームは、[4-2-4]のシールドを空間を使ってはがすために前線にキープ力に長けたハヴァーツを配置。ためを作って、そこからチーム全体で前進する姿勢を何度も見せていた。
シティは、アーセナルの守備を流動的に動く“個”の力で最終局面を打開。逆に、アーセナルは、チーム全体で攻撃を組み立て、相手ゴールに迫ろうとしていた。