フットボールチャンネル

J2 3時間前

北海道コンサドーレ札幌、田川知樹の進化の秘密。「それに本当に長い時間を割いている」GKの技術を向上させているもの【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images
北海道コンサドーレ札幌 田川知樹

北海道コンサドーレ札幌の田川知樹【写真:Getty Images】



 今季より横浜F・マリノスから北海道コンサドーレ札幌へ期限付き移籍で加入した田川知樹の存在感が日に日に高まっている。伸びのあるセービングと左右両足を駆使した足元の技術の高さ、驚異的なカバー範囲の広さでここまで全12試合にフル出場。現状、6月30日までの期限付き移籍での加入となっている23歳の進化の裏にあるもの、そして、札幌への想いとは。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]

明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンド第12節
北海道コンサドーレ札幌 2-1 いわきFC
大和ハウス プレミストドーム

田川知樹は普段、どんな取り組みをしているのか

北海道コンサドーレ札幌 田川知樹

横浜F・マリノスから北海道コンサドーレ札幌へ期限付き移籍で加入した田川知樹【写真:Getty Images】

「今の時点での、自分の最大のストロングは、間違いなく守備範囲の広さです」

 DFラインの背後の広大なスペースを田川知樹がカバーし、冷静に処理する姿は今や北海道コンサドーレ札幌の守備のおなじみの光景となっている。

 当初は不安も入り混じっていたスタンドの反応も、今では田川の一つひとつのプレーに対して信頼と安心感を伴う空気へと変わりつつある。

 敏捷性と足元の技術、そして、決断する勇気と適切な判断力。それらを兼ね備える田川ならではのチャレンジを楽しんでいる感覚すらある。

 そんな田川の能力を、札幌のGPの歴史を知り尽くす赤池保幸GPコーチも高く評価する。



「身体能力とメンタル。優れた要素を間違いなく持っていて、さらなる高みにいけるポテンシャルがあると思います。プロ意識も菅野(孝憲)と同じくらい高いものを持っています」

 菅野孝憲といえば、プロフェッショナルの鏡のような選手であることは周知の事実だ。

 そんな菅野と同等の意識の高さを持つとも評される田川が普段、どのような取り組みをしているのか。

 気になり、札幌の広報に「普段から入り時間が早い選手なのか」と問うと、決してそうではないという返答がきた。

 だが、そこには理由があった。

「それに本当に長い時間を割いてやっている」

北海道コンサドーレ札幌 田川知樹

北海道コンサドーレ札幌の田川知樹【写真:Getty Images】

「自分は練習の前に、自宅で全て準備してからクラブハウスへ行くようにしています。これは新しいチャレンジなんですが、試してみたら、今かなり感覚が良くて。クラブハウスに着いたときにはスイッチを入れて、すぐに練習に入れる状態で行っています」

 田川が今、最も力を入れているのが“体操”である。

「朝6時に起きて、まず30分ぐらい体をほぐします。ポールなどを使って全身を満遍なく。その後に、自分が“体操”と呼んでいるトレーニングを行います。それに本当に長い時間を割いてやっています」

 体操は練習前だけではなく、練習後も続く。

「全体練習が終わった後も、すぐに体をほぐして、なるべく早く食事を摂ります。こちらも栄養士の方にサポートしてもらっています。そのあと、帰宅して、少し昼寝で体を休めたら、夕方4時頃から6時頃までまた体操です。家では体操。時間があれば体操です」



 その“体操”とは、どのようなものなのか。

「ニューヨーク・ヤンキースの山本由伸選手が取り組んでいるトレーニングと、ほぼ同じものをやっています。もともと同じような教えをしているトレーナーの方に高校時代に教えていただいていて、自分も去年から本格的に取り組み始めました。自分には、まだ伸びしろしかないと思っていますし、もっと良くなると感じています」

 その成果は、キック力やセービングにも表れている。

「そういった要素も体操の中に含まれているんです。いわゆる筋トレで重量を扱う選手よりも、自分はダイビングの出力もキックを飛ばす自信もあります。今のトレーニングによって、キック力も“パワー”じゃなくて“体の使い方”で伸ばすという考えで僕はやっていて、感覚はかなり良いですね」

 身長180㎝とGKとしては大柄ではない田川。プロ入りした横浜F・マリノスではレベルの高さに戸惑いもした。だからこそ、一つひとつの行動や思考にこだわり抜き、未来を切り開いてきた。

いわきFCとのリベンジマッチで示した成果の一端

北海道コンサドーレ札幌

いわきFCとのリベンジマッチに臨んだ北海道コンサドーレ札幌の田川知樹(写真上段右)【写真:Getty Images】

「自分は人一倍やらないと。このゴールキーパーというポジションで戦っていくことは本当に簡単ではないので。あのときに感じた差やギャップ。そこは徐々に埋まってきているので、このまま続けていくだけかなと思っています。一試合一試合、一日一日が勝負だと常に思っています」

 だからこそ、本来の能力を出しきれずに敗れた、開幕戦のいわきFC戦を誰よりも悔しがり、リベンジマッチ前日には勝点3を渇望していた。

「最も悔しく情けない思いをした試合です。サポーターのみなさんもガッガリさせてしまった試合だと思いますし、自分自身、絶対に借りを返す気持ちは非常に強いです。いわき戦はホームですし、これまで積み上げてきたものを出して、何が何でも勝点3にこだわります」

 言葉の通り、劇的な展開でリベンジに成功した。

 田川がこの4カ月、特に意識して取り組んできたことが “準備の徹底〟だ。シュートが来る前の準備。クロスが来る前の準備。相手のスルーパスが出る前の準備。



 その成果の一端は、コーナーキック対応や背後のケアなど、いわきとのリベンジマッチでも確実に表れていた。

 オフには複数の選択肢があった中、「もう一段、高いレベルの選手になるため」と札幌移籍を決断。その4カ月を経て、当時の決断に確かな手応えをつかんでいる。

「成長している実感はかなりありますし、本当に今フィーリングが良いです。練習の質が高いですし、同じポジションの選手のレベルも高い。そういう環境で日々プレーできていること。そして、多くのサポーターの前で、素晴らしいスタジアムでプレーできることは自分にとってプラスしかありません」

 今後、何が起こるかはわからない。ただ、この特別シーズン以降も赤黒のユニフォームを纏い、戦うことを田川自身、希望している。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!