
ジェフユナイテッド千葉でプレーする前貴之【写真:Getty Images】
史上初の明治安田J1百年構想リーグEASTにて、ジェフユナイテッド千葉の最下位が決まった。昇降格こそないものの、この半年間の戦いで募った悔しさはある。それでも、千葉のサポーターは選手を鼓舞し続けた。その光景に、前貴之は次なる戦いへ決意を固めていた。(取材・文:石田達也)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンドEAST第17節
ジェフユナイテッド千葉 0-2 鹿島アントラーズ
フクダ電子アリーナ
「この人たちのために結果を出さないと…」

ジェフユナイテッド千葉のサポーター【写真:Getty Images】
『俺たちの誇り ジェフユナイテッド 何も恐れずに 共に戦おう』と、試合後にはサポーターの応援歌(チャント)である『PRIDE』がスタジアムに響き渡った。
それは敗戦を喫したチームと選手の背中を強く押し、そして励ました。
MF前貴之は気持ちを奮い立たせながら言う。
「やっぱり、この人たちのために結果を出さないといけないと思いますし、その感謝の気持ちを忘れずに、ピッチに立てば責任とプライドを持って、これからも戦いたいと思います」
明治安田J1百年構想リーグにおいてホーム最終戦でもあり、この結果次第ではEASTグループ最下位が決まってしまう。連敗脱出のためにも意地を見せ、何としても勝利をサポーターに届けたい一戦でもあった。
真夏を思わせるような33度超えの気温の中で試合は始まる。
開始1分、MF荒木遼太郎のパスを受けたFWレオ・セアラがボレーシュートを放ち、千葉ゴールを脅かす。
続く5分にはFW鈴木優磨が起点となり、またもレオ・セアラがフィニッシュシーンを作る。12分には40番のクロスに飛び込んだレオ・セアラにヘディングシュートを打たれるなど序盤の主導権は鹿島が握った。
千葉は飲水タイムを機に守備を整理。少しずつセカンドボールを拾えるようになり、カウンターでのチャンスとCKへとつながる回数も増え、その中で前が相手のパスをカットしボールを前進させていく。
「守備の部分では粘り強く、攻撃の部分では…」

ジェフユナイテッド千葉の指揮を執る小林慶行監督【写真:Getty Images】
一見すれば千葉が流れを引き寄せたかのように思われたが43分、鈴木優磨にペナルティーエリア内でボールを奪われると、ボールは荒木に渡り、千葉DFはパス交換で翻弄されると荒木にシュートをねじ込まれハーフタイムを迎えた。
前はゲームコントロールができていた事実を踏まえつつ、失点シーンについて次のように振り返る。
「セカンドボールを拾って、2次攻撃のところで押し込めた部分はあります。ブロックを作られた中でも、ゴールに迫れたシーンはありました。前半ラストの失点だったので、かなり痛い失点だったと思っています」
ビハインドを背負った千葉は61分、FWカルリーニョス・ジュニオが2枚目のイエローカードを提示されて退場に。残りの30分、数的不利を強いられることとなった。
ここで小林慶行監督は前を呼びホワイトボードを使って指示を出すと、前をアンカーとした[4-3-2]の布陣を取った。
前は長短のパスを織り交ぜながらボールを動かし、時には鹿島ディフェンスラインの裏を狙うと中盤のスペースを埋めては相手アタッカーに体をぶつけていく。
「守備の部分では粘り強く、攻撃の部分では隙あらばっていう形でした」
10人になっても足を動かし相手選手に食らいついていく。固く結ばれたチェーンようにお互いがお互いを補完しあい、互角の戦いを演じていた。
万能型MF前貴之の“ボランチ観”

体を張ってプレーする前貴之【写真:Getty Images】
だが、88分にロングボールを起点にFW師岡柊生が抜け出すと、一度はシュートをGKホセ・スアレスが阻んでみせたが、跳ね返ったボールを押し込まれ、そのまま試合は0-2でタイムアップの笛が鳴った。
淡々と振り返りながらも、前が複雑な感情を抱いていることは、そのコメントから窺えた。
「チャンスが作れていない訳ではなかった。そういう部分を含めてポジティブなことは多いんですけど、結果に繋げられていない。その過程は無意味ではないけどショックはでかい、自分たちのサッカーができた中でも結果が出てこないっていうのは…そういう感じです」
前は、ここまで15試合に出場し、安定感あるプレーを披露。ポリバレントな能力を生かしボランチ、そして左SBでプレー。高いサッカーIQを持つマルチロールプレイヤーでもある。
本人曰く「どのポジションでも、面白さ、楽しさ、やりがいがありますし、どこでもできる自信がある」と語る。
特に今シーズンの主戦場となっているボランチでのプレーについては「相手が嫌がる立ち位置を取りながら、自分がどうボールを受けるか。受けた時に、どう展開するのか、良い中継役になれるか」を強く意識しているという。
その上で「ボールを前に付けること、ターンをして前に行くことなど、自分のプレースタイルの幅をどんどん広げていきたいと思っています」と心得る。