フットボールチャンネル

J2 48分前

「何か力になりたい」北海道コンサドーレ札幌の梅津龍之介、福島凱旋の誓い。「満男さんや柴崎さんのように…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images,hiroto kurokawa
北海道コンサドーレ札幌 梅津龍之介

2026/27シーズンから北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まっている梅津龍之介【写真:Getty Images】



 法政大学の現役大学生でありながら、特別指定選手としてJリーグで着実に出場機会を伸ばしている北海道コンサドーレ札幌の梅津龍之介。梅津が出場した試合は5戦全勝。19年ぶりの7連勝を記録した札幌の浮上曲線と歩調を合わせるように、その存在はチームに大きな力をもたらしている。5月16日の福島ユナイテッドFC戦は梅津にとって、地元・福島への凱旋となる特別な一戦でもあった。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]

明治安田J2・J3百年構想リーグ・地域ラウンド第17節
福島ユナイテッドFC 0-3 北海道コンサドーレ札幌
とうほう・みんなのスタジアム

7連勝の一因に梅津龍之介の存在あり?

4月25日のいわきFC戦でJリーグデビューとなった北海道コンサドーレ札幌 梅津龍之介

4月25日のいわきFC戦でJリーグデビューを果たした北海道コンサドーレ札幌の梅津龍之介【写真:Getty Images】

 4月下旬の北海道コンサドーレ札幌加入内定発表から1カ月。すでにリーグ戦で5試合に出場し、本人も確かな手応えを口にする一方、守備者らしく、自らを律することも忘れない。

「プロの舞台でもやれる手応えは日頃の練習から感じています。でも、それが慢心や過信になってしまうと、違った形で出てしまうので、決して勘違いせずにやっていきたいと思います」

「7連勝の一因に梅津龍之介の存在も大きいのでは」と問うと、梅津らしい返答が返ってきた。

「それは自分の加入したタイミングが、たまたま重なっただけだと思っています。7連勝もチーム全員が一戦一戦を戦った結果に尽きます。目の前の試合に勝つ。その積み重ねが今につながっているだけだと思います。サッカーの結果は少しの運や流れで変わるので、今は運も含めて、その流れに乗れていると思います」



 本人は謙遜するが、プロの舞台でも即座にアジャストする力は見事の一言だ。かつて梅津は「センターバックにとって一番大事なのは周囲に安心感を与えること」と語っていた。

 その言葉通り、早くもプロの舞台で攻守両面に安心感を漂わせている。

 ビルドアップでは長短の正確なパスで相手のプレスを剥がし、攻撃のスイッチ役となる一方、守備では対人能力の強さや高い予測力を随所に発揮。どの年代でも早くからスタメンを掴んできた理由をそのプレーが証明している。

 2試合連続でスタメンフル出場を果たし、前節はプロ初ゴールも記録した梅津だが、福島ユナイテッドFC戦後も至って冷静だった。

川井健太監督も称賛の梅津龍之介の強み

5月16日 福島ユナイテッドFC戦 北海道コンサドーレ札幌 イレブンショット

福島ユナイテッドFC戦に臨む北海道コンサドーレ札幌イレブン【写真:Getty Images】

「良いシーンもありましたけど、まだまだ攻撃で前に配球できるタイミングもありましたし、チームが前にアクションしていく中でもっと適切な選択もできたと思います。改善の余地はまだまだありますね」

 この日は福島対策として、これまでの4バックから3バックへとシステムを変更して臨んだ札幌。

 梅津は自身の強みでもある高い戦術理解度を遺憾なく発揮し、川井健太監督から「守備はパーフェクトに近い出来だった」と言わしめるほど、守備陣のパフォーマンスを牽引した。

 もっとも、本人に急なシステム変更への驚きや動揺はまったくなかったという。



「システム変更についても特に驚きはなかったです。自分のやるべきことも与えられた役割もはっきりしていたので問題ありませんでした。前半は難しい展開でしたけど、耐えながら1点が取れたことは大きかったですね」

 当初の予定では、前節終了後に一度、大学の活動に戻るはずだった。

 しかし、チーム状況なども踏まえ、梅津自身が希望し、働きかけたことで帯同延長が実現した。

ピッチ内外でも“安心感”を与える梅津龍之介

北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった法政大学 梅津龍之介

北海道コンサドーレ札幌へ来季加入内定が決まっている法政大学4年の梅津龍之介【写真:黒川広人】

「自分の考えを尊重してもらいました。大学側に自分の意見を伝えて、検討していただいた上で了承してもらった形です。クラブが動いたというより、自分が動きました。大学には本当に感謝しています」

 梅津の自己管理能力の高さはピッチ上だけにとどまらない。大学3年時点で卒業に必要な単位を取得済み。日頃からやるべきことを積み重ねてきたからこそ、今回の帯同延長も実現した。

「単位はしっかり取り切っていて、すでに卒業見込みの状態なので大丈夫です。そういう部分も念頭に入れて、入学当初からちゃんと考えて動いてきたので。安心してください(笑)」

 ピッチ内外でも“安心感”を与える梅津。彼にとって、地元・福島で行われた一戦は特別な意味を持つものだった。



「今日の試合はプロの舞台で初めて母親が見に来ていました。まだ何も話せてないですけど(笑)。プロとして地元でプレーできたことは感慨深かったですね」

 忘れられないのは、やはり2011年3月11日のことだ。

「郡山の幼稚園にいた時に地震が起きました。かなり揺れましたね。すぐに、校庭に避難して、親が迎えに来た人から帰っていった。でも、当然家には戻れなくて。本当に体一つでそのまま、避難所となっていた救急病院に向かいました。自宅に戻れたのも1週間以上経ってからでした」

 当時6歳。小学校入学を目前に控えた時期だった。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!