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「ずっと見ていた」北海道コンサドーレ札幌で描く未来。ティラパットが感じている成長。「正直、この5カ月は…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 黒川広人 photo by Getty Images

北海道コンサドーレ札幌 ティラパット・プルートン

北海道コンサドーレ札幌のティラパット・プルートン【写真:Getty Images】



 今年1月、タイから北海道コンサドーレ札幌に加入したティラパット・プルートン。育成前提の素材型と思いきや、出場するたびに結果を残してきた。「パオ(ティラパットの愛称)は試合になると、力をより発揮する」とチームメイトも認める勝負強さで、19年ぶりに7連勝した札幌攻撃陣の“矢”になっている。才能あふれる19歳の期限付き移籍期間は現状6月30日まで。去就にも注目が集まる中、その胸中を聞いた。(取材・文:黒川広人)

タイ代表19歳が北海道コンサドーレ札幌の武器に

北海道コンサドーレ札幌 ティラパット・プルートン

3月21日のヴァンフォーレ甲府戦で初先発し、初アシストをマークしたティラパット・プルートン【写真:Getty Images】

 微笑みの国から異国の地・札幌へやってきたティラパット・プルートン。

 Jリーグ初スタメンとなった第7節・ヴァンフォーレ甲府戦では得意のドリブル突破から初アシストを記録。

 それを皮切りに、ゴール、アシスト、PK獲得と、出場時間に対するゴール関与が急増している。その活躍が評価され、6月の代表ウィークでは10代ながら早くもタイのフル代表に初選出された。

 激動の5カ月を本人はこう振り返る。

「正直、この5カ月は練習して寝る。練習して寝るの繰り返しでした(笑)」

 その笑顔には10代らしい幼さものぞかせる。だが、その武器であるドリブルの推進力と、アタッキングサードで見せるゴールへ向かうプレーは今の北海道コンサドーレ札幌にとって貴重な武器となっている。



 福島ユナイテッドFC戦では、これまでとは異なるウイングバックを任され、暑さに苦しむ場面も見受けられた。

 それでも、精度の高い左足を活かしたコーナーキックのサインプレーで先制点を完璧にアシストした。

「前日の練習でああいう形はやっていたので、狙っていたサインプレーです」

 さらに、55分の長谷川竜也の追加点もティラパットの球際での粘りが起点となった。最後は左足で正確なクロスを送り込み、ゴールを演出。直近3試合で1ゴール3アシストを記録するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 そんなティラパットと札幌の出会いは、「Consadole Attacker Search powered by MIZUNO」という、タイの次世代タレント発掘プロジェクトがきっかけだった。

「タイではみんなが札幌を知っています」

かつて北海道コンサドーレ札幌で活躍したチャナティップ(写真右から2番目)と現在、札幌でプレーするスパチョーク(写真右)

“タイのメッシ”こと、チャナティップ(写真右から2番目)と“タイの至宝” スパチョーク(写真右)【写真:Getty Images】

 タイと札幌の強い結びつきは、かつて札幌で活躍したチャナティップや、現在、札幌でプレーするスパチョークを通じて築かれてきた。

 その流れの中で新たな才能を発掘すべく実施された同プロジェクトにおいて、札幌のアカデミーダイレクターの石川直樹氏らから高い評価を受けたティラパットは優秀選手に選出された。

 2025年6月には札幌のトップチームおよびアカデミーチームのトレーニングにも参加し、その後、札幌入りの正式オファーが届いた。

 札幌移籍の決断に迷いはなかったのか。

「全く迷いはありませんでしたし、すぐに行きたいと思いました。練習に参加してから札幌でプレーしたいとずっと思っていたので、オファーをいただいたときはすぐに『行きます』と伝えました」

 偉大な先輩たちの存在も、その決断を後押しした。



「札幌のことは、ずっと見ていたので元々知っていました。チャナティップ選手の影響でタイではみんなが札幌を知っています。僕も自然と札幌を知りました」

 自身が憧れを抱くのも、そのチャナティップだ。先日、来日した際には直接言葉を交わす機会もあったという。

「『頑張れ』と言ってもらいました。多くを話したわけではないですけど、自分にとってはすごく嬉しい言葉でした」

 チャナティップが切り開いた、タイと札幌の特別な関係。その流れに導かれるかのように、札幌で戦うことになったティラパット。とはいえ異国での生活に苦労はなかったのかと尋ねると、「何か絞り出したいですけど、ないです(笑)」と笑って答えた。

 そんな快適な札幌生活を支えているのが札幌在籍5シーズン目を迎えた先輩・スパチョークと複数のJクラブでタイ人選手の通訳を務めてきたジャムパリー・ナリットの存在だ。

「日本では普通かもしれないですけど…」

北海道コンサドーレ札幌 ティラパット・プルートン

直近3試合で1ゴール3アシストをマークする北海道コンサドーレ札幌のティラパット・プルートン【写真:Getty Images】

「ずっと助言をしてくれる存在が近くにいるのは自分にとってすごく大きいです。練習の中でも、どう動けばうまくいくのかを教えてくれます。ピッチ内外でいつもサポートしてくれるナリットさんやスパチョークがいるので安心して過ごせています。2人のおかげで充実していますし、札幌での生活はすごくハッピーです」

 当初はJリーグ特有のスピード感に戸惑いもあったという。それでも、着実にアジャストを続けている。成長を感じる部分はプレー面だけではない。 

「日本では普通かもしれないですけど、食事などのコンディションの整え方が変わりました。これまではそこまで意識してこなかったので、そこは成長できたと思います」

 現状、BGパトゥム・ユナイテッドFCから6月30日までの期限付き移籍となっているティラパット。その去就にも注目が集まっており、札幌に関わる多くの人々が新シーズンも共に戦うことを願っている。本人の想いもシンプルだ。

「今後のことはまだわかりませんが、サポーターが残って欲しいと思ってくれているのは僕にとってすごく嬉しいですし、そのような気持ちを糧にして頑張りたいと思っています。個人的にも札幌に残って、コンサドーレの力になりたいですし、J1昇格に貢献したいと思っています」



 偉大なレジェンドの背中を追いかけるように札幌へやってきたティラパット。5カ月の時間の中で、確かな進化を遂げている。

 無限の可能性を秘めた19歳はここからどこまで進化を続けていくのか。その成長を、まだまだ見届けていきたい、それが札幌に関わる人々の総意だろう。

 ティラパットら期限付き移籍で躍動する選手たちの新シーズンに向けた動きも着実に進んでいる。

 ティラパット・プルートン。その若き才能の未来が楽しみでならない。

(取材・文:黒川広人)

【著者プロフィール:黒川広人】
北海道出身。大学卒業後、フジテレビで番組制作を担当。2018年よりDAZNにてJリーグ関連の番組制作に携わる。2022年からは株式会社dscに所属し、Jリーグ、Jクラブ、WEリーグをはじめとする各種スポーツ団体の映像ディレクション業務を担当。また、地元・北海道を中心に学生年代の取材活動も精力的に行う。

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