
横浜F・マリノス戦の東京ヴェルディ【写真:Getty Images】
東京ヴェルディは、次のフェーズへ進もうとしていた。守備を土台に積み上げてきたチームは、攻撃力向上へ舵を切った。しかし、その試行錯誤の先に待っていたのは、横浜F・マリノス相手の0-6惨敗だった。城福浩監督が語った「攻撃はそんなに簡単に上がるものじゃない」という言葉に、現在のヴェルディが抱える本質的な課題が表れていた。(取材・文:白谷遼)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンドEAST第18節
東京ヴェルディ 0-6 横浜F・マリノス
味の素スタジアム
6失点の敗北「全ての責任が自分にある」
大ブーイングにつつまれた味の素スタジアム。これほど絶望的な試合を目の当たりにしたのは初めてかもしれない。
5月24日にホームで行われたJ1百年構想リーグ地域リーグラウンド第18節、東京ヴェルディは横浜F・マリノスに0-6の大敗を喫した。
前半に3失点を許し、後半からMF新井悠太を投入して攻撃的に出たが、後半立ち上がりすぐに4点目を奪われた。
さらにその後も簡単に失点を重ね、終わってみれば6失点かつ無得点の惨憺たる結果に。
試合前までは、4位フィニッシュでのプレーオフラウンド行きが確実視されていたヴェルディ。最終節に大量失点での5位転落という結末は、改めてチームに「厳しい現在地」を突きつけた。
惨劇とも言える0-6の大敗。このピッチ上での崩壊には、どのような原因があったのか。
チームを率いる城福浩監督は試合後、反省の弁を口にした。
「このチームが手放しちゃいけないものを手放した」
「今週の自分の準備が悪かった結果、このような試合内容にしてしまいました。
このチームが手放しちゃいけないものを手放した状態で試合をするとこうなるということを改めて深く、強く感じた試合でした。今日の試合結果については、全ての責任が自分にあります」
選手たちに話を聞くと、マリノス戦が行われた週のトレーニングでは、これまで継続して続けてきた攻守の切り替え、守備の共通認識の徹底を意識していた。
それに加え、FW染野唯月とFW寺沼星文を最前線に並べる2トップを試すなど、より攻撃にフォーカスした練習に時間を割いたという。
もちろん、指揮官を含めたコーチ陣が新たなオプションを試みたのも、チームをもう一つ上のフェーズへ押し上げるための布石。5月の6連戦で、守備に手応えを感じた上での判断だった。
ヴェルディは鹿島アントラーズ、柏レイソルに連勝して5月を迎えたが、その後は川崎フロンターレ、FC東京に連敗。ダービーから中2日で行われたアウェイのFC町田ゼルビア戦でも0-0の末、PK戦で敗れた。
それでも町田戦後の城福監督は「我々の基準を保った守備ができたと思います。そこは全員がやろうとしてくれたし、最後まで身体を張ってくれました」とクリーンシートのチームを称賛していた。
「ただ」と、指揮官はここからチームが抱える本質的な課題へと言及していく。
「簡単ではない」
「相手の前線の3枚のクオリティー、そこにボールが入った時のスイッチに苦労しました。我々は、守備は意識してできますが、やはり攻撃のクオリティーが伴わないと難しい試合になるということを感じました。攻守ともに、日々やり続けなければいけませんが、攻撃はそんなに簡単に上がるものじゃない。
ここは辛抱強く地道に選手の背中を押し続けるしかないなと。果たして今日、我々がシュートを何本打ったのかと振り返ると、道のりは決して短くない。我々が目指すところに到達する日が、簡単ではないと自覚しています」
酸いも甘いも噛み分けてきた指揮官の言葉は、クラブのいまの実力をありのままに映し出している。
守備のソリッドさを維持しながら、攻撃の破壊力を上乗せしていく作業が、どれほど時間を有する挑戦であるかは、城福監督自身が誰よりも理解していたはずだ。
しかし、同時にこれが昇降格があるリーグ戦の佳境であれば、チームには「地道に」という時間の猶予さえ与えられない。
町田戦での攻撃の威力不足を受けて、ベンチは間違いなく一つの決断を迫られていたはずだ。
いまここで、「攻撃のクオリティーを引き上げるための明確なアクションを起こさなければならない」と。


