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Jリーグ 16時間前

ガンバ大阪、橋本篤&山下純司マネージャーの入念な準備がクラブを強くした。「『優勝したいなら…』」意識を変えたある男の言葉【ACL2優勝記念/スタッフ戦記第3回】

シリーズ:ガンバ大阪 スタッフ戦記 text by 高村美砂 photo by Getty Images,Misa Takamura

ガンバ大阪
ガンバ大阪でマネージャーを務める橋本篤&山下純司【写真:高村美砂】



 ガンバ大阪がAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)を制覇した。選手、監督はもちろんのこと、スタッフ陣の貢献も、クラブがアジアの頂点を取る上で欠かせなかった。そこで本稿では、ピッチ外でガンバを支える“仕事人”たちにフォーカス。現地サウジアラビアで取材した高村美砂氏が、その奮闘を綴る。第3回はマネージャーの橋本篤、山下純司について。(取材・文:高村美砂)[1/2ページ]

「クラブがこのような体制を作ってくれていることに感謝」

ガンバ大阪
2008年にもアジアの頂点に立ったガンバ大阪。その時と違うことは…【写真:Getty Images】



 長きにわたりガンバ大阪のマネージャーとして、チームを裏方として支えてきた橋本篤、山下純司の二人にとって『タイトル』は15年以来、11年ぶり。『アジア』でのタイトルに至っては2008年以来だった。

 その08年と違ったのは、二人揃って決勝が行われたサウジアラビア・リヤドで『タイトル』の瞬間を迎えたこと。

 08年当時は、マネージャーが二人しか在籍しておらず、どちらか片方は必ず大阪に残って、遠征に帯同しないメンバーのサポートを行っていたが、21年からマネージャーが3人体制になったからだろう。AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2) 2025/26のアウェイ戦には常に橋本、山下が揃って帯同。23年に同職についた人見俊輔は、その都度「勝てますように、と心を込めてみんなのスパイクを磨いて送り出した」上で、大阪に残ったメンバーのサポートに回ってきた。

「今回のACL2は21年に出場したACL以来の『アジア』でしたが、ACLということでは初めて純司(山下)にアウェイ戦時に現地の事前視察を行う下見グループに入ってもらいました。これまでも運営の方などから情報はいただいていましたが、マネージャーが直接現場を見ることで、よりチーム目線での準備がしやすくなるからです。

 その間、チームの練習は僕とシュン(人見)でフォローできますし、実際の試合ではシュンが大阪に残って遠征しない組のサポートをしてくれた分、僕と純司の二人が遠征に帯同することができました。08年にACL初制覇をした時代に比べて近年は選手やスタッフの人数も増えていますし、それに伴って仕事も増えているからこそ、現地をマネージャー1人でフォローしようと思うとどうしても賄いきれないところが出てきてしまいます。

 そう考えても、クラブがこのような体制を作ってくれていることに感謝していますし、だからこそ、僕たちマネージャー組は、よりいろんなところに目を行き届かせて仕事をしようと心掛けてきました」(橋本)

 実際、マネージャーが下見グループに加わって現場目線でチームが利用する宿泊ホテルや練習場、試合会場を確認できたことで、試合に向けて準備するものもより明確になったという。

 前担当から引き継いで、昨年10月のベトナム、ナムディンFC戦から下見グループに入った山下が振り返る。

入念な準備。食事に関しては…

ガンバ大阪
食事面も強く意識。そうした入念が準備がガンバ大阪をアジアの頂点に導いた【写真:Getty Images】



「ノックアウトステージのラーチャブリー戦はグループステージでも一度戦っていたので視察の必要がなかったのと、情勢的に下見ができなかった決勝のサウジアラビア以外は事前に現地へ足を運びました。それを踏まえて暑さ、寒さに応じて持っていくウェアの枚数を調整したり、スタッフなどにヒートテック等々、各自でも用意して欲しいと伝えたり。練習場に何があって、何がないのかを確認して持参するトレーニング器具やケア用品の数も調整しました。

 また食事についても、実際に足を運んで料理を試し、かつ、現地のキッチンスタッフと直接コミュニケーションを図ることで日本から持ち込む食材の量や内容に反映させました。といっても、大会初期の段階で、意外とうちの選手は偏食が少なく、現地の食べ物も楽しんで食べるとわかったので、そこまで日本食をたくさん持ち込んだわけではなかったです。

 唯一、決勝のサウジアラビアだけは現地の食事が想像し難かったことや、ホテルから提供される食事が明確ではなかったため、いつもより多めに日本食を持ち込みました」(山下)

 今回のACL2を通して、アウェイ遠征に持ち込んだ食材は、白米、カレー、牛丼、親子丼、中華丼のレトルトパウチをはじめ、そば、ふりかけ、刻み葱、キムチ、納豆、海苔、梅干し、福神漬け、冷凍鰻など。それ以外に「味変ができるように」と醤油、わさびといった調味料やいろんな種類のドレッシングも持参したという。

 うち、白米については炊飯器を持参して昼食時と夕食時にと毎回、約5キロをクラブスタッフが炊き、ビュッフェに並べた。結果的にリヤドでは、トータル60キロもの白米を消費したそうだ。

「ベトナムのフォーとか、タイのパッタイみたいにライブキッチンがある時は、選手は必ず列を作っていましたし、誰か一人が『これ美味しい!』と言うとみんなが群がる、みたいな光景もよく見かけました。

 結果的にリヤドも世界各国の人に万人受けしそうなメニューが多かったのでみんなしっかり食べていましたけど、いつもより遠征日数が長かったのもあって、持ち込んだ日本の食材も上々の売れ行きでした(笑)。どの遠征でも人気だったのはカレーと親子丼。リヤドでは、現地スタッフでざるそばも作りましたが、これも人気が高くあっという間になくなりました」(山下)

 そうした食材を含め、決勝に向けて飛行機に乗せた荷物は150個弱。08年のACL決勝を知る橋本によれば「時代の変化も影響してか大幅に増えた」という。

逞しくなった選手の姿「僕らが何も言わなくても…」

ガンバ大阪の倉田秋
倉田秋らベテランが率先して荷物の運搬を手伝う。その姿を見て若手選手たちも積極的に動いたようだ【写真:Getty Images】



「単純に選手の人数が増えたのもありますが、当時とはメディカルの部分でケアのやり方や、利用する器具も変わったし、単純にメディカルスタッフ、テクニカルスタッフなど、担当ごとに持ち込みたいものが増えたことが、荷物の増加につながっているところもあります。

 もちろん、現地での移送を考えると、無駄に運搬用のトラックの台数を増やせないため、何でもかんでもとはいかないですが、僕らもできる限り要望通りに持ち込めるよう、コンパクトな荷造りを意識して準備にあたりました。というか遠征の場合、僕らマネージャーの仕事は、日本を旅立つまでの事前準備が8~9割を占めるので、純司がフィードバックしてくれた情報を元に徹底してやり切りました。

 アウェイ連戦が続いた時期はオフもほとんどなかったし、3月のラーチャブリー戦は試合が延長に及んだこともあって寝る時間がないまま、持ち帰った荷物の整理と、帰国準備に追われたこともありましたけど、選手、スタッフに負けじと僕らも自分たちの持ち場で戦いました」(橋本)

 その中では、試合を重ねるごとに、選手が逞しくなっていく姿も確認できたそうだ。

「空港でも、現地でも、必要な荷物をトラックやバスに運ぶ際はスタッフ、選手が総出で助けてくれました。というかうちではACL経験の多い、秋(倉田)らベテランが率先して動いてくれる分、僕らが何も言わなくてもそれを見習って若手選手も続いてくれたし、そういったピッチ外のシーンを含めて、試合を重ねるほどみんながアウェイ戦にも慣れて、逞しくなっていきました」(橋本)

 そんなふうにACL2の戦いを進めてきた中で、今年に入り、橋本がより意識していたことがある。「過去にとらわれないこと」だ。

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