
サッカー日本代表の冨安健洋と吉田麻也【写真:Getty Images】
サッカー日本代表に、冨安健洋が帰ってきた。長らく怪我に悩まされてきたが、2年ぶりに国際Aマッチの舞台で躍動する姿は、これまでの鬱憤を晴らすような迫力があった。1-0で勝利したアイスランド代表との国際親善試合で、自身の復活を証明した。この日共にピッチに立った吉田麻也も、日本の最終ラインを「22番」に託す。[2/2ページ]
吉田麻也語る「一番嬉しかった」こと

サッカー日本代表DDF吉田麻也【写真:Getty Images】
87分に菅原由勢の精度の高いクロスを小川航基が打点の高いヘッドで決め切り、1−0で勝利。吉田麻也をいい形で送り出すとともに、冨安も白星で自身の復活を示すことができたのだ。
「自分が19歳で代表に入ってから、ずっと麻也さんの隣で学ばせてもらいながらプレーさせてもらった。今日こうして同じピッチにいられたことが本当によかったなと思います」
試合後の取材ゾーンで、冨安はまず単独でメディアに対応。偽らざる偉大な先輩に感謝の念を口にした。
その後、吉田が話している後ろを通ろうとすると、「冨安がもう22番をこれから10年くらい続ける予定だよな」といきなり声をかけられ、2人で掛け合いをすることになった。
「僕が代表を外れた後、トミが電話で『22番をつける』と言ってくれたのが一番嬉しかった。これからもチームを引っ張ってくれるでしょうし、もう22番は今日からトミなんで」
吉田は冨安の前で直々にそう語ったが、彼は本当の意味で大先輩から最終ラインを託されたのである。
となれば、日本を2026年W杯で高みへ導くしかない。2022年カタールW杯の冨安はケガ続きで別メニューを強いられている期間が長く、先発フル出場したのは最後のクロアチア戦だけだった。
「初めて『抜かれるな』と正直に思いました」

カタールW杯、日本代表対クロアチア代表の模様【写真:Getty Images】
その試合も相手を完璧に抑えることができず、最終的にPK負け。「なんでこんなにうまくいかないんだろう」とため息交じりに話した姿が実に痛々しかった。
そういう挫折を経て、ケガを乗り越え、吉田から守備リーダーを託されて2度目の大舞台に挑むのだから、絶対に満足いく大会にしなければいけない。
可能であれば、オランダ、チュニジア、スウェーデンとのグループリーグ全試合に出て、最終ラインの大黒柱に君臨するくらいの存在感を示してほしい。もともと冨安はそれだけの能力を備えた人材なのだ。
「僕、今までずっと代表でやってきて、若い人がどんどん入ってくるじゃないですか。そういう中で『抜かれるな』とは一回も感じたことがなかったけど、トミが19で入ってきた時に初めて『抜かれるな』と正直に思いました。
それが日本が成長するうえで正しい道のりだし、実際に欧州ビッグクラブでプレーする扉を開いてくれた。まだまだ頑張ってほしいです」
ここまで絶賛してくれた吉田のためにも、冨安は日本が過去7大会で果たせなかったベスト8進出のキーマンになるべき。
残り2週間で最大限コンディションを上げ、試合勘を取り戻し、史上最高成績を手にすること。それが背番号22を引き継いだ男に託されたタスクである。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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