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『Copa City』が切り開く新たなサッカー体験。「試合運営」を描く異色のサッカーゲーム【イベント体験コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 フリーライター photo by Getty Images
Copa City
「試合運営」を描く異色のサッカーゲーム『Copa City』【画像:(C) 2026 triple espresso. All Rights Reserved.】((C) 2026 triple espresso. All Rights Reserved.】



 2026年6月17日、サッカーを題材にした経営シミュレーションゲーム『Copa City』がリリース(対応プラットフォーム:PlayStation®5 / Xbox Series X|S / Epic Games/PC (Steam)される。これまでのサッカーゲームと言えば、選手としてピッチに立つか、監督として戦術を組み立てるものが主流だった。しかし、本作が焦点を当てるのは「試合運営」。スタジアムの外側に広がる“マッチデー”そのものを体験できる、異色の作品となっている。 (文:安洋一郎)[1/1ページ]

試合運営を疑似体験できるゲームの誕生

Copa City

ベシクタシュ
『Copa City』ではファンゾーンの構築が求められる【画像:(C) 2026 triple espresso. All Rights Reserved.】((C) 2026 triple espresso. All Rights Reserved.】


 サッカー界に新たな視点をもたらすゲームが誕生する。

 その名も『Copa City』。これまでのサッカーゲームは「選手」や「監督」にフォーカスしたものが多かったが、本作は「試合運営」という新たなテーマを扱っている。

 リアルなクラブ運営においても、選手や監督をはじめとするチーム作りは重要だ。しかし、ピッチ内で理想のチームを築くためには、ピッチ外での努力が欠かせない。

 その一つが「試合運営」である。サッカークラブは、ファンやサポーターの存在なしには成り立たない。

 スタジアム周辺のインフラ整備、サポーターへの還元、新規ファン獲得の施策、老若男女が楽しめるエンターテインメント要素。さらに、それを支える試合当日のボランティアスタッフも含め、さまざまなアプローチが試合運営を支えている。

 これまでは現場に立つ人間しか、マッチデーを支える仕事の奥深さや難しさ、やりがいを体験することができなかった。

 しかし、『Copa City』では、それをゲーム上で疑似体験できる。サッカーを支える側の視点を楽しめる点こそ、本作最大の特徴と言えるだろう。

 では、具体的に本作ではどのようにマッチデーの裏側を疑似体験できるのだろうか。

『Copa City』で体験できる「試合運営」


『Copa City』は、「City Captain(都市の主催者)」としてトップクラブから試合運営を任される経営シミュレーションゲームだ。成功には「試合開催準備度」を高めることが欠かせない。

 本作では、ベルリンやワルシャワ、リオデジャネイロという大都市を舞台に、アーセナル、バイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムント、オリンピック・マルセイユ、ベシクタシュ、フラメンゴといった世界中に多くのサポーターを抱える伝統的クラブの運営が可能となっている。

 長い歴史の中で積み上げられてきた伝統や哲学、ファン文化をリスペクトしながら、試合当日に向けて街を整備していく。施設やスタジアムを管理しつつ、ファンにエンタメや飲食、セキュリティを提供して準備を進める。

 試合当日には、観客動線の混雑や交通渋滞、トラブルなどにリアルタイムで対応する必要がある。限られたリソースの中で、どこを優先して対処するかの判断が求められる点に、本作の面白さがある。

 クラブ運営やサポーターに対するリスペクトを強く感じることができ、細部までこだわり抜かれている点も、本作の大きな特徴だ。

 公共交通網をはじめとするインフラ面を整備し、サッカー熱に沸く街を訪れるファンの満足度を高める。一方で、その熱狂を歓迎しない地元住民への配慮も必要となるため、双方のバランスを考えながら都市を管理しなければならない。

 また、3つのファン層(ウルトラス、コアサポーター、ファミリー)のニーズに応えながら試合当日に向けた準備を進めることで、「試合開催準備度」を最大限に高めていく。偏りなく、多角的な視点からアプローチする必要がある点は、現実のクラブ運営にも通じる部分だ。
 
 実際にプレーして感じたのは、本作が単なる都市開発ゲームではなく、「サッカー文化」そのものを再現しようとしている点である。

 ファン層によって求めるものが異なり、街全体の空気も変化していく。単なる試合準備ではなく、サッカーが街に与える高揚感そのものを再現しようとしている印象を受けた。

佐藤寿人氏が語る、ゲームの中にある“リアル”

佐藤寿人
『Copa City』のイベントにゲストとして登壇した佐藤寿人氏【写真:編集部】


 先行試遊会にゲストとして登場した元日本代表FW佐藤寿人氏は、サンフレッチェ広島に所属していた当時、選手やスタッフとともに新スタジアム建設を呼びかける活動を行っていた。

 その活動は、2024年に開業したエディオンピースウイング広島の建設へと繋がり、佐藤氏自身もファンを意識したスタジアム作りに関わった経験を持つ。

 イベント前にゲームを試遊した感想を問われると、「『Copa City』はゲームですが、一つひとつレンガを積み上げていくような作業があります。これは実際にも行われていることなので、改めてマッチデーをもっと大事にしていかなければいけないと感じました」とコメント。ゲームの中にも現実と重なる部分があることを明かした。

 その一つが、試合運営に欠かせないボランティアスタッフの存在だ。

 彼らは自分たちの時間を割きながら、試合前の清掃や看板設置、試合開催中のスムーズな誘導、試合後の撤収作業などを、奉仕の精神で支えている。

『Copa City』でも、ボランティアスタッフは試合準備における重要な要素として位置付けられており、序盤のチュートリアルでは募集を行う場面もある。

 実際にプレーした佐藤氏も、「試合運営においてボランティアスタッフは大切な存在」と改めて語っており、こうした細かな部分までリアルに再現されていることが、本作の魅力の一つだと熱弁していた。

『Copa City』の楽しみ方


 普段は見えにくいクラブ運営の裏側に光を当てる『Copa City』は、サッカーゲームの新たな楽しみ方を提示している。

 これまでのサッカーゲームにはなかった「試合を運営するシミュレーションゲーム」としての面白さは、新たな楽しみ方を生み出すきっかけになるだろう。

 また、サッカーに興味がなかった人にとっても、都市運営や街づくりという切り口から、新たな関心を抱く入口になるかもしれない。

 その上で、ゲームを通してリアルなクラブ運営に注目が集まることは、サッカー界にとってもポジティブな意味を持つ。実際の運営に携わりたいと思う人が増える可能性もあるだろう。

 ファンにとってサッカー観戦はエンターテインメントであり、その楽しみ方は人それぞれだ。

 試合結果による感情までは運営側でコントロールできない。しかし、試合前後の催しやスタジアムグルメ、ストレスの少ない導線設計などによって、「満足度」を高めることはできる。

 だからこそ、『Copa City』では多様なニーズを持つ人々に配慮しながら、街全体を管理していく必要がある。

 ファン満足度を高めながら、地元住民への配慮やインフラ整備まで同時に進めなければならない点は、現実のクラブ運営とも重なる部分だ。サッカー観戦体験そのものの見え方が変わる人もいるかもしれない。

 本作は、サッカーを観るものとしてだけではなく、支えるものとして捉え直させてくれる。勝敗だけでは見えない、マッチデーを作り上げる人々の存在に光を当てた点こそ、『Copa City』ならではの魅力と言えるだろう。

(文:安洋一郎)

【著者プロフィール:安洋一郎】
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。現在は『フットボールチャンネル』をはじめ複数のwebメディアや欧州名鑑などに寄稿。12歳からアストン・ヴィラを応援し、プレミアリーグを中心に海外サッカー全般を追っている。Xアカウント:@yoichiro_yasu

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