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コラム 7時間前

「みんな体が動いていなかった」ブラジルW杯の惨敗から12年。モンテレイ合宿を選んだ日本代表の狙いとは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 フリーライター photo by Etsuko Motokawa,Getty Images
サッカー日本代表、全体ランニング
モンテレイで事前合宿を行うサッカー日本代表【写真:元川悦子】



 FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)を目前に控え、日本代表はメキシコ・モンテレイで事前合宿を行っている。暑熱対策を最優先する今回の合宿だが、練習場変更など想定外の問題も発生。過去大会の教訓を踏まえた森保ジャパンの挑戦は、本番でどのような成果をもたらすのか。その狙いを探る。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]

「その教訓を活かしているんじゃ…」

サッカー日本代表、長谷部誠コーチ
サッカー日本代表の長谷部誠コーチ【写真:編集部】


 そのままベースキャンプ地のイトゥに赴いたが、こちらは冷涼な気候の町だった。

 アルベルト・ザッケローニ監督はそこで疲労をしっかり取って、試合会場に向かおうとしたのだろうが、コートジボワール代表戦のレシフェ、ギリシャ代表戦のナタル、コロンビア代表戦のクイアバはいずれも酷暑。筆者もクイアバに到着した瞬間、暑さで朦朧とした記憶がある。

 しかも、そのコロンビア代表とのグループステージ最終戦は15時キックオフ。気温が最も高くなる時間帯での開催だっただけに選手たちが動けなくなるのも当然のなりゆきだったのである。

「ブラジル大会の時の合宿地(イトゥ)がすごい涼しくて、初戦のコートジボワール戦のレシフェが本当に暑すぎた。その教訓を活かしているんじゃないかなと思います。

 事前で、ここで暑い中、合宿して、慣れておくっていうのは非常に大事なポイントになると思いますね」と12年前の惨敗を経験した長友佑都もしみじみと語っていたが、当時を知る長谷部誠コーチも同じ意見をスタッフ会議で出したはずだ。

繰り返してはならないブラジル大会の失敗

サッカー日本代表、長友佑都
サッカー日本代表の長友佑都【写真:元川悦子】


「そのコートジボワール戦を久しぶりに見ましたけど、20分くらいから落ちていましたね。自分としては『全然、2試合くらいやれるレベルのコンディションや』と思っていたけど、自分だけじゃなくて、チーム全体として20分くらいから落ちた。みんな体が動いていなかったんですよね」とも長友は語っていたが、同じ轍を踏むことだけは絶対に許されない。

 北中米W杯は気候や環境の大きく異なる広大な3か国での開催で、いいコンディションを保ち続けられたチームが上位に行く大会。そのためにも、モンテレイ合宿での失敗は回避しなければならない。

 森保監督や松本良一フィジカルコーチらが細心の注意を払いながら、練習場を変えたり、スタート時間を変更したりしているのも、その重要性を何よりもよく分かっているからに違いない。

 こうした中、1つ懸念要素があるとすれば、対外試合を組み込んでいないこと。2010年のコートジボワール代表戦、2014年のザンビア代表戦、2018年のパラグアイ代表戦というように、事前合宿の最後には国際親善試合が設定されるのが通例だった。

森保ジャパンが選んだ新たなアプローチ

サッカー日本代表
サッカー日本代表【写真:元川悦子】


 ところが、今回は7日にU-19日本代表との練習ゲームが組まれているだけ。

 もちろん情報漏れを防ぐ狙いもあるのだろうが、森保監督は「フィジカルコーチ、コーチングスタッフのミーティングでも何度もやりとりをした中、W杯に向けてU-19の選手たちとトレーニングをする機会もしっかり作ればコンディション的には問題ないという提案を受けて、練習試合、親善試合等はシニアのチームとはしないことに決めました」と説明していた。

 それがいい方向に転ぶかどうかは本番の戦いを見てみなければ分からない。今回は南野拓実、三笘薫という攻撃のキーマン2人を欠いており、2列目は変則的な組み合わせで挑まなければならなくなっている。

 それを踏まえると「テストマッチがあった方がよかったのではないか」という見方も根強い。

 U-19日本代表との調整試合で本番の編成にメドがつけば理想的だが、果たしてうまくいくだろうか。そのあたりをしっかりと見極めていきたいものである。

(取材・文:元川悦子)

【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。

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