
ナッシュビルでのトレーニングを行ったサッカー日本代表【写真:Getty Images】
ナッシュビルに移動した日本代表は、いよいよ最終調整に突入した。限られた期間の中でコンディションを整えながら、初戦となるオランダ代表戦に向けた最終確認が急ピッチで進められている。攻守にタレントを揃える難敵を相手に、どこまで準備の精度を高められるか。スタートダッシュを左右する重要な局面に入っている。(取材・文:元川悦子)[2/2ページ]
オランダ代表攻略の鍵となるのは…

W杯初戦の相手となるオランダ代表【写真:Getty Images】
彼らの背後に位置する右MFのライアン・フラーフェンベルフ、左MFのフレンキー・デ・ヨングも技術とアイディアがあり、パスセンスにも優れている。
さらに、アンカーに入るタイアニ・ラインデルスもビルドアップ能力に長けた選手で、最終ラインと連動しながら組み立てに関与してくる。そのため、日本はボールを保持される時間が長くなる展開も想定される。
そうした相手の攻撃陣をまずはしっかりと抑えるところから、日本の戦いは始まるだろう。
日本の3バックの構成はまだ確定していないが、これまでの流れを踏まえると、中央に谷口彰悟、右に冨安健洋か渡辺剛、左に伊藤洋輝という陣容で臨む形が有力とみられる。もちろんGKは、鈴木彩艶が最後尾から全体を統率する役割を担う。
そしてウイングバックでは、右の堂安律は確定。左に関しては、フラーフェンベルフと右サイドバックのデンゼル・ダンフリースにも対応しなければならず、守備負担の大きい局面が想定される。そのため、中村敬斗ではなく前田大然、あるいは鈴木淳之介を起用するプランも選択肢として浮上しそうだ。
そのあたりも7日のU-19日本代表とのテストマッチでトライしていると見られる。とはいえ、失点を最小限に抑えながら時間を進め、後半勝負に持ち込むためにも、森保監督は守備力重視のメンバー編成を模索するのではないか。
勝負を分ける初戦のマネジメント

サッカー日本代表の森保一監督【写真:元川悦子】
さらに言うと、オランダ代表はセットプレーでの得点力も非常に高い。フィルジル・ファンダイクの高さと迫力は世界最高レベルであり、少しでも隙を与えたら、簡単にゴールを奪われてしまいかねない。
そのあたりも日本の分析スタッフは検証しているはずで、その情報をいかにしてチーム全体に落とし込み、決定的なシーンを作らせないかが重要になる。10〜12日のトレーニングでは、そういった部分を詰めることも徹底していくことになる。
強固な守りを徹底したうえで、日本はファンダイクを中心とした4バックを打ち破る攻めを構築していく必要がある。
現状ではアイスランド代表戦で先発した前線5人がスタートから行きそうだが、中村敬斗をシャドウに据え、伊東純也をジョーカーに回すといった工夫も選択肢として考えられる。そういった組み合わせを最後の最後まで森保監督は追求するに違いない。
「勝負の神様は細部に宿る」という言葉を多くの指揮官が口にするが、今の指揮官はその言葉を脳裏に刻み込みながら、やるべきことを整理しているはずだ。
W杯は初戦の入りが悪いと巻き返すのが難しくなる。ゆえに何としても勝ち点1以上を確保するゲーム運びをしなければならない。
そのための策を選手たちに叩き込み、パーフェクトな戦いができるような準備を入念に進めていくしかない。
(取材・文:元川悦子)
【著者プロフィール:元川悦子】
1967年、長野県生まれ。94年からサッカー取材に携わり、ワールドカップは94年アメリカ大会から2022年カタール大会まで8回連続で現地に赴いた。「足で稼ぐ取材」がモットーで、日本代表は練習からコンスタントに追っている。著書に『U-22』(小学館)、『黄金世代』(スキージャーナル)、「いじらない育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(NHK出版)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)などがある。
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