
W杯を戦うスウェーデン代表【写真:Getty Images】
FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)グループリーグ第2節・オランダ戦でスウェーデン代表が採った【5-3-2】という布陣は、一見すると大胆な守備的戦術に映った。しかしその本質は「北欧チームが北米の酷暑でいかに生き残るか」という切実な問いへの答えだったのかもしれない。日本の次なる相手の実像に迫る。
今だけお得なキャンペーン実施中のDAZNで視聴する[PR]
延期を推奨する水準?
北中米W杯が開幕して以来、ピッチ上の戦術と同程度に多くの議論を呼んでいるのが「暑さ」だ。スポーツメディア『ESPN』が現地時間6月21日に配信した特集記事によれば、開催試合の約4分の1が「WBGT26℃を超える環境」で行われる可能性があるという。
暑さ指数(WBGT:Wet-Bulb Globe Temperature)とは、気温、湿度、風速、日射量を考慮した熱ストレスの指標だ。28℃に達した場合、選手組合であるFIFPROは試合の延期を推奨する。
スポーツ科学者のリンジー・ハント博士はESPNの取材に「熱は選手を不快にさせるだけでなく、試合の生理学そのものを変える。体温と皮膚温が上昇するにつれ、皮膚が熱を発散しようと筋肉から血液を奪う。その結果、高強度の走行量が減り、スプリントの繰り返しが難しくなり、とくに前後半の終盤のテンポが落ちる」と述べている。
極端な場合、酷暑は「身体能力を最大20〜30%低下させる可能性がある」という。
『ESPN』は、スコットランド代表対ハイチ代表のあとのベン・ドークの発言に着目する。スコットランドの1-0勝利に貢献した20歳のアタッカーは、以下のように語った。
「両ふくらはぎの筋肉が、僕より先にスタジアムを去ろうと決めたみたいで。ちょっと痙攣してしまったんだ。椅子に座れたのは本当にありがたかったよ」
この文脈でスウェーデンのオランダ戦を振り返ると、非保持【5-3-2】という布陣の真意が見えてくるのではないか。スウェーデンは前線にアレクサンデル・イサクとヴィクトル・ギェケレシュという世界屈指の2トップを残し、残りの8人を守備ブロックに充てた。
強豪オランダ相手に無謀とも映ったこの選択は、実は消耗を最小限に抑えながら2トップのカウンターに賭けるという、暑熱対策を組み込んだ生存戦略だった可能性がある。
しかし5-3-2の戦術は結果的に機能しなかった。ブライアン・ブロビーの2ゴールにより17分で2失点を喫し、最終的に1-5と大敗。守備の省エネ化を図ったはずの布陣が、失点を重ねることで逆に体力を消耗させる悪循環を生んだ。
現地時間6月25日に行われる日本戦のダラススタジアムは空調と屋根付きの競技場だが、平年6月のダラスの気温は約30℃。37℃以上を記録した年もある。
決勝トーナメント進出を引き寄せるため、恐らくスウェーデンはより前のめりで来ると予想される。だが、オランダ戦同様にどこかで割り切ったポイントを置くことも考えられるはずだ。
【関連記事】
英国人が見た日本代表対チュニジア代表「ブラジルもモロッコも勝てる! でも選ぶなら⋯」
日本代表、グループリーグ突破しても待ち受けるのは“優勝候補”の絶望 ラウンド32ではブラジルorモロッコが濃厚
サッカー日本代表、マジで強すぎ! 歴代最強戦士の評価は?【チュニジア戦どこよりも早い採点/北中米W杯】
【了】
