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【岩政大樹が語る(4)】日本は「マインドが新興国」。W杯優勝経験国は「トーナメントで全然変わるから」

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Shinya Tanaka,Getty Images

北中米W杯 ブラジル×日本 試合に敗れた日本は肩を落とす

ブラジル代表に敗れ、決勝トーナメント1回戦で北中米W杯を去ることになった日本代表【写真:Getty Images】



 「日本全体としてマインドが新興国なんですよね」――。日本代表がブラジル代表に敗れ、FIFAワールドカップ2026(北中米W杯)を終えたあと、岩政大樹氏が最後に語ったのは、戦術やシステムではなく、日本サッカーが築くべき「文化」だった。勝者のメンタリティーとは何か。歴史を積み重ねるとはどういうことなのか。そして、この敗戦を見た子どもたちへ何を残せるのか。世界の頂点を目指すために必要なものを、日本サッカーの未来という視点から語った。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]

【単独インタビュー/取材日:6月30日】 

「子供たちが午前2時から見た思い出を持ってサッカーに取り込むわけですよ」

北中米W杯 ブラジル×日本 先制ゴール 佐野海舟

日本代表がブラジルに一矢報いたという記憶は次の世代に刻まれただろう【写真:田中伸弥】


ーー確かにそうですね。そうした差が勝敗を分けたのかもしれませんね。

「そうですね。W杯、もしくはサッカーというか、全部の勝負事がそうですけど、その試合で勝負がつくというよりも、僕はもう少し、強化だったり、育成だったり、その国の歴史だったり、みたいなものが表れるなといつも思うので、それがいろんな形で出た。

 これを見た僕たちが次の経験に活かすだけですし、プラス、一番大きいのはこれを見た子供たちですね。僕らは子供のときに初出場するか、ドーハの悲劇を見て育っている世代なので、今の子供たちが、この試合を午前2時から見た思い出を持って、サッカーに取り込むわけですよ」

ーー原体験として残っていくかもしれません。

「その子たちがブラジルに勝つぞって言って、臨む20年後ぐらいの2040年代の日本で行われるであろうW杯は楽しみですよね」

ーーそうですね。本当にそうしたサイクルですよね。この試合を見た子供たちが次の代表を目指す存在になっていく。それこそが歴史の時間、積み重ねでしかない、という。

「その積み重ねでしかないですよね。ただ、W杯全体を見ていて、持たなきゃいけない危機感もやっぱりあって。日本は成長しているなと思うし、どんどん良くなっているし、いろんな選手がどんどんレベルアップをして、これからもヨーロッパで活躍する選手が出てくるんですけど、この領域に入るまではたぶんそんなに難しくなくて。

 日本も今、力的には世界のベスト16に入っていると思うんです。今回32で終わりましたけど、ここから(ベスト)8に入っていく、4に入っていくとなると、ブラジルでさえ、最近は優勝ほぼしていないわけで、こことの差が結構あるんですよ」

ーーそれはあると思います。

「この下は今回のノルウェーとか、コートジボワールとかもそうだし、アフリカでセネガルとかあの辺もみんなそうですけど、まあまあこの辺にはみんな来るんですけどね。ここからその上のトップ4、トップ8に入ろうとすると、まあまあ成長度を早くしていかないと。そこに臨もうとしている第2グループ、第3グループみたいなところに入ったとは思いますけど、他の国もまあまあ入ってきてるなっていうところも同時に感じます」

ーー各国ともにレベルが上がってきていますよね。

「特に、アフリカ勢は身体的な能力があるから、さっき言った1人で守れるとか、1人で攻めれる領域が広いので。そこに戦術的なところが、ヨーロッパでプレーして、積み上がっているやつらが出始めて、結構成長が早い感じがする。
 
 その先を描きやすい感じがするんですけど、日本は今回、海舟もそうだし、(上田)綺世もそうだし、彩艶もそうだけど、身体的に動ける選手じゃないとここから上のレベルは難しいですよね。その動ける選手をどう作っていくかという領域は結構大事な気がしますよね」

日本サッカーが本当に議論すべきこと

北中米W杯 ブラジル×日本 円陣

岩政大樹氏はブラジル戦を「日本のサッカーの分岐点になる試合だった」と語る【写真:田中伸弥】


ーーなるほど、それはやはり、個の能力は上であればあるほど越したことはないですもんね。

「ないと無理でしょう。だから、今の戦いの延長の中で、僅差に持ち込んで、1発勝てるかも、みたいなところまで行けた部分はあると思いますけど、ここからどう歩みを進めるか、特に、そういう選手を輩出するためには時間がかかるから。

 そこは僕たち指導者がやっていくとして、とはいえ、今の現場のプロの監督さんとか、代表、JFAとかは、今の日本でどう勝つかというところの命題をちゃんと示していかないと。そこは結構いろんな議論があってしかるべきだと思いますし、いろんな考え方があると思う」

ーーそこは非常に重要ですね。

「日本のフットボールをちゃんと研究して考えて、進めるのが誰なのっていう。そういう人材が全然いない。そもそも日本のフットボールとしてどう考えるかとか。Jリーグのクラブもそうですけどね。フロント側が考えなきゃいけないことを現場がやらなきゃいけなくなっていて」

ーーそうなんですね。

「それによって監督選びって変わるよね。みたいなところは、今回も勝ったからとか、グループリーグ突破したから森保さん続投じゃない?とか。いやいや、もう毎回これを繰り返していますけど、結果、勝ち上がったからオッケー、予選で負けたからダメだったみたいな議論で全部終わるから。

 本当の分析をみんなしない感覚が僕はしていて、それをしないまま、なんとなくの空気で次の監督も決まってってとか、また始まっていくと、アジアの戦いで日本はまた勝つから、なんとなくまた日本のサッカーが盛り上がっているみたいなムードになっていく。今回めちゃめちゃ視座に富んだ試合だったはずなので、これをどうするのっていう議論を真面目にできる人たちでした方がいいと思う」

ーーなるほど、確かに今回のブラジルとの試合はそういう意味ではポジティブに捉えたいですね。いろんな観点からみていく必要がある、というか。

「マジでそうです。同じものをだって、日本中のサッカー人たちはみんな見たわけだから。この試合を見て、いろんな人の、いろんな捉え方があって、それを同じ教材で同じ絵の中で語れるのは、すごい良いですよね」

ーーそうですね、今後の日本サッカーのためにも議論していきましょう!

「これだけのグッドファイトをしてくれたからこそ見えた、日本のサッカーの分岐点になる試合だったと思うので。それは間違いないし、それをやり通そうとしたスタッフ陣も含めて見せてくれたものがあるので、これはもう、ずっと語り継がれる試合になったのは間違いないですね」

ーーそうですね、貴重なお話をありがとうございました!

(取材・文:竹中愛美)

【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。

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【了】

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