
ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド【写真:Getty Images】
ポルトガル代表はラウンド16でスペイン代表に敗れ、クリスティアーノ・ロナウドにとって最後のワールドカップは幕を閉じた。最後までエースを90分間信じ続けたロベルト・マルティネス監督の決断は正しかったのか。大会を通じたプレー内容やデータをもとに、その采配を検証する。(文:安洋一郎)[1/2ページ]
C・ロナウドにとって最後のW杯
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ベスト16で北中米W杯をあとにするC・ロナウド【写真:Getty Images】
「このような形でW杯を去るのは悲しい。でも昨日も言った通り、全力を尽くしたし、良心に恥じることなく去れる。これがサッカー選手の人生だ。勝つ時もあれば負ける時もある。前に進むしかない」
前日の記者会見で6度目の出場となる今大会が最後のW杯になると表明していた41歳のポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドは、母国に初のW杯優勝をもたらすことができなかった。
ラウンド16で対戦したのは因縁の相手スペイン。ロナウドにとっては通算11度目の顔合わせだった。
これまでユーロ(欧州選手権)で2回、W杯では今回を含めて3回対戦し、そのたびに数々のドラマが生まれてきた。
特に印象的だったのは2018年ロシアW杯のグループリーグ初戦だ。当時33歳だったロナウドはハットトリックを達成し、ワールドクラスの選手であることを象徴するようなパフォーマンスを見せた。
当時が全盛期だったとすれば、7月7日のスペイン戦は、キャリアの終盤を感じさせるパフォーマンスだった。
試合を通してほとんどゴールの匂いは感じなかったが、ロベルト・マルティネス監督はロナウドを交代せず。一方で、ラウンド32で決勝ゴールを記録していたゴンサロ・ラモスを投入することもなかった。
結論から言えば、ロナウドを先発で起用した判断そのものは理解できる。しかし、問題は90分間ピッチに残し続けたことだった。
数字が示したC・ロナウドの現在地

ウズベキスタン戦で2ゴールを記録したC・ロナウド【写真:Getty Images】
今大会でロナウドは5試合で3ゴールを記録。ゴール期待値(xG)は2.93であり、シュート決定率は17%と特筆して悪いスタッツを残したわけではない。
ただ、大会を通してチームを勝利へ導く存在にはなれなかった。明確に彼が勝利の立役者となったのは、2ゴールを記録した第2戦のウズベキスタン戦だけだろう。
ラウンド32のクロアチア戦では、緊迫した場面でPKを決めたが、ペナルティーエリア内でボールを触れたのはこのゴールシーンのみ。オープンプレーではほとんど存在感を示せなかった。
若い頃はウインガーとして名をはせたロナウドだが、年齢を重ねるごとにボックス内に特化したストライカーに進化していた。現在は生粋のワンタッチゴーラーであり、味方のクロスやシュートに対して、いかに良いポジションへ入り込めるかが生命線となっている。
今大会は、その動き出しの質が本来の水準には達しておらず、ポルトガルが最大の武器としてきたクロス攻撃も生かし切れなかった。
クロスが得点に結びついたのは1回のみ

北中米W杯でポルトガル代表を率いたロベルト・マルティネス監督【写真:Getty Images】
マルティネス監督のチームは昨年に優勝したUEFAネーションズリーグや今大会に向けた予選でもワイドからのクロスを多用。実際にロナウドを含め、多くの選手がクロスから得点を決めていた。
FIFA公式サイトによると、北中米W杯でも5試合で全体6位となる94本のクロスをボックス内に入れている。
しかし、ロナウドがクロスを得点に結びつけたのはウズベキスタン戦の先制点のみ。
ダイレクトで合わせて枠内へ飛ばしたシュートも上記のゴールと、同じ試合の45+6分にアブドゥコディル・フサノフにクリアされた2本しかなかった。
トータルでも、クロスを起点とした攻撃(味方が落としたボールも含む)から放ったシュートは7本のみ。ラウンド32のクロアチア戦に関しては1本もなかった。
補足をすると、チームはロナウドを生かそうとしていた。しかし、その動き出しが全盛期ほど鋭くなかったことで、多くのクロスが決定機に結びつかなかったのだ。