北海道コンサドーレ札幌への加入内定が決まった関西大学の真田蓮司【写真:黒川広人】
高い技術と豊富な運動量を武器に、中盤で攻守をつなぐ潤滑油となれる存在。それが真田蓮司だ。東山高校時代には全国高校サッカー選手権で得点王に輝き、準優勝に貢献。関西大学でも全日本大学選抜の常連として活躍し、大学界屈指の司令塔へと成長した。そんな真田のもとにはJリーグ3クラブから正式オファーが届く。その中で、なぜ北海道コンサドーレ札幌を選んだのか。決断の理由と胸中に迫った。(取材・文:黒川広人)[1/2ページ]
大学界注目の真田蓮司が北海道コンサドーレ札幌を選んだ理由

北海道コンサドーレ札幌の練習に参加する関西大学の真田蓮司【写真:黒川広人】
2026年4月末、北海道コンサドーレ札幌で約1週間の練習参加を終えた真田蓮司は、笑顔でこんな感想を口にしていた。
「先輩たちも優しくて気さくでしたし、スタッフの方々も積極的に話しかけてくれて、めちゃくちゃ雰囲気が良かったですね。気候も涼しくて過ごしやすい。サッカースタイルも自分に合っていて、めちゃくちゃ楽しかった。『自分に合っている』というのが真っ先に出る感想です」
あれから3カ月弱。真田は慎重に吟味を重ね、複数クラブの練習にも参加した。その上で「他の選択肢もあった中で、やっぱり札幌にしようと思いました」と、自らの肌感覚を信じて札幌入りを決断した。
その理由とは、何だったのか。
「実際に練習をして、札幌がやっているサッカーをすごく好きだと感じたことが一番大きかったです。自分のプレースタイルに合っていると感じましたし、自分を一番必要としてくれているのが札幌だと感じられたことも大きかったですね。また、川井(健太)監督は自分の考えにはないものを持っていて、すごい勉強にもなりますし、めちゃくちゃ面白いとも思いました」
練習参加を通じて、川井健太監督が指揮する札幌のどこに自身がフィットすると感じたのか。
「中の選手が流動的に動き続けながら崩していくサッカーだったり、少ないタッチ数でテンポよくパスをつなぎながら崩していく形は自分が好きなサッカーです。そういった部分で自分に合うと思いました。
その後もスカウトの方を通じて、スタッフの皆さんや監督から『待っている』というような言葉をかけてもらいました。スカウトの方だけでなく、現場のスタッフからも評価してもらえているんだと感じられたことも大きかったです」
札幌のフットボールと自身の特徴がマッチする。それが決断の大きな要素となったが、真田を札幌へ引き寄せた理由はほかにもあった。
「蓮司にも札幌に来てほしい」真田蓮司が札幌入りを決めたもう一つの理由とは

北海道コンサドーレ札幌のサッカーは「自分が好きなサッカー」だという真田蓮司【写真:黒川広人】
「食事や寮の部分も大きかったですね。札幌では、すごくおいしくて、栄養のある食事を出してもらえるので。1年目は、そういった食事の部分も絶対に大事になると思っていました。それに、ウメがいたことも大きかったです」
「ウメ」とは、一足先に札幌への加入内定を決めていた同学年の梅津龍之介(法政大学)のことだ。実は、真田が札幌入りを決断するまでの過程を語る上では、梅津の存在は欠かせない。
2人の関係が一気に深まったのは、全日本大学選抜として活動した3月の韓国遠征だった。
「話すようになってから、まだ半年くらいなんですけどね。なんか波長が合うんですよ。全日本大学選抜の日韓戦で初めて一緒にやって、すごく話しやすくて、すぐに仲良くなりました」
当時、梅津も札幌と他クラブからオファーを受け、進路を検討している最中だった。互いの進路について情報交換を重ねる中、梅津は真田のプレースタイルが札幌のフットボールに合うのではないかと考え、スカウトにその名前を伝えたという。
「ウメが札幌からオファーを受けている状態で、『蓮司にも札幌に来てほしい』と言ってくれて(笑)。ウメがスカウトの方に僕のことを話してくれたみたいなんです。そのときはウメ自身も、まだどこへ行くか決めていなかったんですけど、『札幌はすごく良いよ』ってずっと言っていましたね」
もともと真田を高く評価していたクラブ側も、梅津の後押しを受けて練習参加の機会を整えた。そこで見せたプレーを現場スタッフも高く評価し、ほどなくして札幌から正式なラブレターが届いた。
長らく真田を見てきた上本大海スカウトも、かつてベガルタ仙台でともにプレーした名手の名前を挙げながら、真田の強みを語る。
「インテリジェンスがあって、本当に気が利く選手ですね。ライン間でボールを受けて攻撃をつなぎ、周囲を活かすことに長けています。ボランチでもインテリオール(インサイドハーフのこと)でもプレーできて、味方にいるとチーム全体がうまく循環する。僕が仙台で一緒にプレーした梁勇基さんを彷彿とさせるタイプですね」
真田が進路を吟味している最中も、援護射撃を送った梅津は冗談混じりにこんなことを語っていた。
さらなる援護射撃「札幌に来てくれたら、アドバイスもできるよ」

真田蓮司が北海道コンサドーレ札幌移籍を決断するにあたって、同学年の梅津龍之介の存在も大きかったという【写真:GettyImages】
「蓮司は絶対、札幌に来ますよ。だって俺が札幌にいるんで(笑)」
実際に、梅津の“予告”通り、真田は札幌入りを選択した。盟友に同僚となることを伝えた際、梅津はどのような反応を見せたのか。
「めちゃめちゃ喜んでくれました(笑)。実際に彼の存在が札幌入りを決める上で大きかったのは間違いないです(笑) 。ウメの存在は本当に大きかったです。(西野)奨太も含めて、同級生がいてくれるだけで安心感は違いますよね」
さらに、真田の決断を後押しする出来事があった。ある関西学生サッカーリーグの試合で、観戦に訪れていた札幌の「One Hokkaido Nexus Organizer」を務める小野伸二氏と、言葉を交わす機会もあったのだ。
「『両足を使えるのがいいね。良かったよ』と褒めてもらいました(笑)。『札幌に来いよ』という感じではなく、自分に合ったクラブを選ぶようにという助言をいただきました。
ただ、『札幌に来てくれたら一緒にボールを蹴れるし、プレースタイルも似ているからアドバイスもできるよ』と言ってくださって。その上で、『蓮司が行きたいところへ行くのが一番だよ』と話してくれましたね。今から一緒にボールを蹴れるのが楽しみですね」
関西大学で、真田はサイドハーフを主戦場としているが、本人が希望するのは小野氏とポジションの近い中盤の中央だ。
「ボランチかトップ下で勝負したいと思っています。自分の特徴は走れることと、ボールを持っても失わないこと。あとはターンで相手を剥がせるところです。チームをつなぐというか、潤滑油のような役割を担えることが一番の強みです。
スタミナもある方だと思いますね。小学校のときからマラソン大会でずっと1位でしたし、中学時代にセレッソ(大阪)でめちゃくちゃ走ったので、それが一番大きいかなと思っています」
大学で本職ではないサイドでのプレーを経験したからこそ、成長できた部分もある。