
アンドレア・ピルロ【写真:Getty Images】
混迷が続くイタリア代表の新監督候補に、想定外の名前が浮上した。2006年ドイツワールドカップ優勝メンバーで、稀代のレジスタとして世界に名を馳せたアンドレア・ピルロだ。新たにテクニカルディレクターへ就任したパオロ・マルディーニが、指導者としての「伸びしろ」を高く評価しているという。しかし、監督として残してきた実績は、輝かしい現役時代と比べれば物足りない。なぜ今、漂流するアッズーリの指揮官候補にピルロの名が浮上したのか。その背景と不安材料を整理する。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]
後退した有力候補

ジョゼップ・グアルディオラ&アントニオ・コンテ【写真:Getty Images】
当初はコンテが最有力と見られていた。
マンチーニも有力視され、マルディーニとレオナルドも一定の評価をしていたようだ。
ただやはり、2023年夏、イタリア代表監督の座を辞して、破格のオファーを提示したサウジアラビア代表監督に就任していたことが、最終的な評価を下げたのだろうか。
今では、この2人は有力候補から一歩後退した模様だ。
それではグアルディオラはどうか。
スペイン人指揮官への関心は依然として高い。
しかし、マンチェスター・シティ時代の年俸は2480万ユーロと世界最高額を誇った。
世界的名将の招聘が実現すれば、新たなスポンサー獲得も期待できるものの、やはり最大の障壁は金銭面にあるようだ。
一方で、マルディーニTDは現役時代にチームメートだったピルロを高く評価している。
すでに最初の会談で、マラゴー会長にピルロを推す考えを伝えたものとみられる。
では、なぜピルロが最有力候補に浮上したのか。
マルディーニはミランの幹部時代にも、ピルロの監督招聘を構想していたという。
指導者としての実績はまだ乏しいものの、若く伸びしろの大きい指揮官と評価しており、レオナルドもその見方に同調しているようだ。
成長を待つ猶予はない

ギュレル&デ・ケテラーレ&エンバぺ【写真:Getty Images】
しかし、2か月後にはUEFAネーションズリーグが開幕する。
今のイタリア代表には「監督の成長を見守る」猶予はない。
すぐに結果が求められる逼迫した状況なのだ。
イタリアほどの深刻な危機ではないが、世界の第一線から後退したドイツは、ユルゲン・クロップを次期監督に迎える構えだ。
イタリアもやはり、ドイツのように世界トップレベルの指揮官を迎え入れる必要がある。
UEFAネーションズリーグでは、イタリア代表はリーグA・グループA1でフランス、ベルギー、トルコと同組になった。
いずれも北中米W杯出場国であり、現時点ではイタリアを上回る実力を持つ相手と言える。
フランスはキリアン・エムバペを筆頭に、個の能力では世界屈指の選手層を誇る。
ベルギーは世代交代の時期を迎えるだろうが、次世代にも才能ある選手がそろう。
トルコはグループステージ敗退に終わったものの、グループステージ最終節ではアメリカ合衆国を破って意地を見せた。
決して簡単に勝てる相手ではない。
漂流するアッズーリの命運

イタリア代表【写真:Getty Images】
初戦は9月25日、ローマのスタディオ・オリンピコでベルギーを迎え撃つ。
繰り返すが、開幕まで残された時間はわずか2か月だ。
第2戦は28日にアウェーでトルコと対戦。
第3戦は10月2日にスタッド・ド・フランスでフランスと、第4戦はボローニャで再びトルコと対戦する。
7月16日現在、イタリアはFIFAランキング15位。
2029年に始まるFIFAワールドカップ2030欧州予選でポット1入りを目指すことを考えれば、これ以上ランキングを落とすわけにはいかないのだ。
選手時代のピルロが、世界最高峰の司令塔だったことに疑いの余地はない。
だが、今のアッズーリに求められるのは、将来的な可能性ではなく、就任直後からチームを立て直せる即効性である。
マルディーニが評価する「伸びしろ」に賭けるのか。
それとも、実績を持つ別の指揮官へ命運を託すのか。
イタリアの命運を託された指揮官の発表は間もなくだ。
一体誰が、漂流するアッズーリの指揮を担うことになるのだろうか。
(文:佐藤徳和)
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