
日本代表は北中米W杯決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に敗れ、ベスト32で敗退した【写真:Getty Images】
スペイン代表の優勝で幕を閉じたFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)。日本代表の森保一監督は「スペインのようにボールも握りながら局面でも勝っていけるチームを目指すべき」と語った。その言葉を受け、本サイトで大会期間中に特別解説を務めた岩政大樹氏は、「日本が考える『個』とスペインが育てる『個』は違う」と感じたという。日本サッカーが次の一歩を踏み出すために、本当に考えるべきこととは何か。(取材・文:竹中愛美)[2/2ページ]
「評論するのは誰でもできる」。10年後、20年後のW杯は、今日の育成で決まる

日本サッカー協会は「2050年までにW杯優勝」という目標を掲げているが、日本は果たしてその目標にどこまで近づいているのか【写真:GettyImages】
「今の日本は、どちらかと言うと、1人でできる領域をどんどん増やして、その上で最後はチームのために団結しようという作り方なんです。でも、スペインって、そういう作り方をしているのかなって。僕は違う気がするんです」
スペインでは、育成年代から2人組、3人組でプレーする中で「個」が育まれていく。
だからこそ、日本も「個を伸ばそう」という言葉だけで終わってはいけないという。
「そもそも育成の段階から2人組、3人組の連係を積み重ねる中で個が培われている。となると、トレーニングをどうすべきなのか、育成をどうするのかという話になるんです。
評論するのは誰でもできるんですよ。『やっぱり個が必要だよね』、『プラス組織も必要だよね』と。それはそうなんです。でも、それって具体的にどういうことなのか。現場ではそこまで踏み込んで考えなきゃいけない」
北中米W杯を通して、改めて実感したことがあるという。
「みんなW杯で盛り上がるのはいいんですけど、一歩引いていろんなことを冷静に見ると、結局その10年、20年前にその国が『こういうフットボールにしよう』として動いたものが、今の代表になっているんですよ。
今のスペインを作っているのは10年前の育成なんですよね。アルゼンチンもそう。イタリアは10年前、20年前の育成がうまくいかなかったから、勝ち上がれていない」
日本が2050年のW杯優勝を本気で目指すのであれば、議論すべきなのは代表チームの戦い方だけではないはずだ。
「日本は10年前、20年前まで育成から、特にJリーグができた後からどんどん先を見据えてきて、ここまでは良かったです。
2050年の優勝というマイルストーンを置いたんだったら、そこまでに日本が優勝するフットボールは、本当にその身体能力で、個人で打開できる選手をたくさん増やして、団結力をそこに加えていけば勝てます、ということなのかどうかみたいなことは議論が必要だと」
もっとも、岩政氏は自身の考えを「これが正解だ」と主張したいわけではない。
「みんなに訴えたいわけじゃないんです。成功すれば、みんなそれを習うようになるので。そういう育成を確立していけるようにしたいな、と僕は思ったという感じですね」
北中米W杯は、日本に「もっと個を」という課題だけを突きつけた大会ではなかった。
「個」とは何なのか。
どう育てれば、その「個」は世界一につながるのか。
岩政氏が投げかけた問いの答えは、4年後の日本代表ではなく、今まさに全国のグラウンドでボールを追う子どもたちの育成の中にあるのかもしれない。
(取材・文:竹中愛美)
【著者プロフィール:竹中愛美】
1990年、北海道生まれ。Jリーグ開幕で世の中がサッカーブームに沸いていた幼少期、「入会したらヴェルディ川崎のボールペンがもらえる」の一言に釣られて地元のクラブでサッカーを始める。以降、サッカーの魅力に憑りつかれた日々を送ることに。ローカルテレビ局時代に選抜甲子園や平昌冬季五輪、北海道コンサドーレ札幌などを取材し、2025年よりカンゼンに所属。FWだったからか、この限られた文字数でも爪痕を残したいと目論むも狭いスペースの前に平伏す。ライターとして日々邁進中。
歴代最強!? 4年後のW杯サッカー日本代表メンバー案
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