フットボールチャンネル

J1 3時間前

「想像していないこと」を成し遂げた16歳。横浜F・マリノスの三井寺眞、6万人の前で鮮烈J1デビュー「ゴールも取れたっすけど…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 竹中愛美 photo by Getty Images,Kenzaburo Matsuoka,Editor
横浜F・マリノス 三井寺眞 J1デビュー戦で初ゴール

横浜F・マリノスの三井寺眞【写真:Getty Images】



 横浜F・マリノスの16歳、三井寺眞が、これ以上ないJ1デビューを飾った。8月7日の鹿島アントラーズとの開幕戦で史上最年少となる16歳4カ月5日で先発すると、開始7分に先制ゴール。その後も2つのゴールに絡み、チームの全3得点に関与した。足をつって61分で交代したものの、プレーでは堂々たる姿を披露。試合後には高校1年生らしい初々しさも覗かせた16歳の鮮烈な一夜を追った。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ] 

【2026/27明治安田J1リーグ第1節】
2026年8月7日 横浜F・マリノス 3-4 鹿島アントラーズ(MUFGスタジアム)

JリーグはDAZNで全試合ライブ配信!
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]

16歳のルーキーが、開幕戦の主役に

26/27明治安田J1リーグ開幕節 横浜F・マリノス対鹿島アントラーズ 写真撮影より

三井寺眞(前列一番左)はJ1開幕戦で先発に抜擢された【写真:松岡健三郎】


「これからもみんなが想像していないことを成し遂げられるように頑張っていきたいなと思います」

 まさに、有言実行だった。

 もちろん、自分自身はこうなることを想像していたのかもしれない。それでも、6万3960人の観客と、その試合を見つめた多くの人を、想像もしなかった場所へ連れて行った。

 三井寺眞(みいでら・しん)、16歳。J1開幕戦という大舞台で、その名を一気に知らしめた。

 横浜F・マリノスの三井寺は8月7日、鹿島アントラーズとの2026/27明治安田J1リーグ開幕戦で、16歳とは思えない堂々たるプレーを披露した。

 秋春制に移行する新シーズンの開幕カードに選ばれたのは、1993年のJリーグ開幕以来、トップカテゴリーで戦い続ける“オリジナル10”同士の一戦。24年ぶりとなる地上波ゴールデンタイムでの全国生中継も行われ、全席種のチケットが完売。Jリーグ最多となる6万3960人が国立競技場に詰めかけた。

 新指揮官、スティーブ・コリカ監督のもとで名門復活を目指すマリノスと、昨季王者として連覇、そしてアジア制覇を狙う鹿島。これ以上ないほど注目を集めた舞台で、視線をさらったのは16歳の新鋭だった。

 2列目の左サイドで先発に抜擢された三井寺は、J1開幕戦に16歳4カ月5日で先発デビュー。クラブの期待を背負ってピッチに立った。

「アップのときは緊張より、なんかワクワクが大きかったんですけど、やっぱり試合前、入場したときにはすごく緊張していました」

 それでも、キックオフの笛が鳴ると――。

「まあ、いつも通りって感じでした」

 その言葉通り、立ち上がりから物怖じしなかった。

 開始7分、知念慶が鈴木優磨からボールを奪うと、右サイドの近藤友喜へ。近藤が仕掛けて折り返したボールに、三井寺が左足で押し込んで先制ゴールを奪った。

 16歳4カ月5日での得点は、2004年の森本貴幸が記録した15歳11カ月28日に次ぐJ1史上2番目の年少記録。開幕節に限れば最年少となり、2013年の石毛秀樹が持っていた18歳5カ月9日の記録を更新した。

 さらに、秋春制移行後のJリーグで最初のゴールという記念すべき一撃にもなった。

 ただ、本人は「近藤選手の個人技がすべてだったかなと思うので、あとは自分はクロスに合わせるだけだったかなと思っています」と、淡々と振り返る。

 大観衆を沸かせた16歳の初ゴール。その瞬間について聞かれると、「いろんな人から『お前、決めそうだな』みたいに言われていて、良いところにボールが転がってきたので、すごく嬉しかったです」と笑った。

 6万3960人が見守る大歓声には「いやあ、気持ちよかったっす」と思わず、笑みがこぼれていた。

 三井寺が観客を沸かせたのはゴールだけではない。

2点目の起点となった絶妙なトラップは「たまたまっす」

横浜F・マリノス 三井寺眞 開幕戦でデビューし初ゴール

J1開幕戦最年少ゴールを決めた横浜F・マリノスの三井寺眞【写真:松岡健三郎】


 1-1で迎えた18分、諏訪間幸成からのロングフィードを左足のアウトサイドで巧みにコントロールすると、背後から寄せてきた日本代表経験者の植田直通をかわして前進。スタンドからどよめきが起こった。

 そのまま天野純へつなぎ、天野のクロスから谷村海那がワンタッチで決めて、マリノスの勝ち越しに成功。三井寺のプレーが得点につながった。

 絶妙なトラップに関しては「たまたまっす」と謙遜したが、「(植田が)来ていたので、後ろのスペースが空いてるかなと思ってトラップしたら、なんか良い感じになったっす」と振り返る。

 本人は「アウトサイドのところに当たった」というが、その一瞬の判断で日本代表経験者を置き去りにした。

 さらに58分。ルベン・ブランコのロングフィードを谷村が左サイドで受けると、天野、三井寺とつなぐ。三井寺は縦へパスを通し、天野の折り返しから谷村が再びゴール。

 チームの3点目も、三井寺のパスが起点となった。

「自分がキープしたときに(天野)純くんがすごく良いランニングを何回もしてくれていたので、純くんのおかげかなと思っています」と3点目に関しても自身のプレーを大きく誇ることはなかった。

 開幕戦で3得点すべてに絡んだ16歳。スティーブ・コリカ監督も、そのパフォーマンスを高く評価した。

「デビュー戦でファーストゴール、そしてその他2つのゴールに関しても関与している、本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思います」

 さらに指揮官は「私にとって年齢というのは関係ありません。16歳であろうと、パフォーマンスが良ければ試合には出ることができます。非常に素晴らしいプレシーズンを送ってきた中できょうのチャンスがあったと思います」と強調した。

 チームメイトからも称賛の声が相次いだ。

「すごい選手」周囲を驚かせたプレー。それでも残ったのは悔しさ

三井寺眞

ゴール後は感情を爆発させたが、残ったのは喜びだけではない【写真:Getty Images】


 2点目の起点となったトラップを見た天野は「うまかったですね」と評価し、「眞に関しては中でも外でもボールを受けられる」と、その技術を評価。

 谷村も「敵を外すところは今のJ1選手に負けないくらいある」と称え、諏訪間は自身がロングフィードを送った際の三井寺のトラップに「あれはびっくりした。あそこから行けちゃうんだっていうのは思った」と驚きを口にした。

 右サイドでプレーした近藤も「活躍したことに驚きはない感じです」と語り、「正対したときのドリブルやボールタッチだったり、自分が高校1年生のときだったら、スピード感とか、体のフィジカル的な部分とか、考えられないので本当にすごい選手だなと思います」と評している。

 もっとも、鮮烈なデビューには、苦い結末も待っていた。

 マリノスは3-1とリードしながら、終盤に3失点。3-4で鹿島に逆転負けを喫した。

 三井寺も61分、足をつって途中交代。これまで一度も足をつったことがなかったという。

「まさか60分でつるとは自分の中でも思っていなかったんですけど、やっぱり自分が思っている以上に緊張が大きかったのか」と振り返り、こう続けた。

「60分でつっていたら、90分の試合なので、これから使われる回数は少なくなってくると思うので、そこは今後の課題にしたいなと思っています」

 自身の課題も口にしたが、試合後に何より強く残った感情はゴールの喜びではなかった。

「ゴールも取れたっすけど、やっぱり勝てなかったので、自分の中では悔しい気持ちが大きいかなと思っています」

 シーズン最初のゴールを決めても、Jリーグ最多の観客の前でプレーしても、勝利には届かなかった。それらすべてが16歳の視線を次へと突き動かす。

 その一方で、ピッチを離れれば、まだ高校1年生らしい一面もある。

1 2

KANZENからのお知らせ

scroll top