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コラム 4時間前

フランコ・バレージ、66年の生涯に幕――栄光の影に隠された壮絶な少年時代、ミラン一筋を貫いた不屈のリベロ【コラム】

フランコ・バレージ
フランコ・バレージ【写真:Getty Images】



ミラン一筋でプレーし、6度のスクデットと3度の欧州制覇を成し遂げたフランコ・バレージが、7月31日に66歳でこの世を去った。イタリア代表でも世界一を経験した“不屈のリベロ”は、14歳で母、17歳で父を失った悲しみを胸に、数々の苦難と向き合い続けた。ミランの永遠のカピターノが歩んだ、栄光と苦難の生涯をたどる。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]

14歳で母、17歳で父を失った少年時代「悲しみや怒りの上に築かれたキャリア」

フランコ・バレージの葬儀
ミラノ市内で行われたフランコ・バレージの葬儀【写真:Getty Images】


 バレージという人物を見ていると、常に悲壮感を漂わせ、何かを背負いながらプレーしている。そんな印象を抱いていた。

 イタリア人とは思えないほど口数が少なく、笑顔を見せることも珍しかった。

 バレージは2021年9月、自伝『Libero di sognare(夢見る自由人〈筆者訳〉)』を上梓した。バレージは14歳の時に母を、17歳の時に父を亡くしている。

 それゆえ、姉のルチーアや長兄のアンジェロ、親戚たちの支えによって、フランコだけでなく、2歳年上の兄ジュゼッペもプロサッカー選手への道を歩むことができた。バレージは自伝の中で、こう綴っている。

「私は両親を亡くしたことを考えないよう、言い聞かせてきた。両親を思うと、あまりにも強い感情に駆られてしまうからだ。今こうやって書いているだけで苦しいが、もう目を背けるわけにはいかない。過去を振り返ってみると、私のキャリアは、悲しみや怒りの上に築かれてきたのだと感じる」

 バレージは、壮絶な人生を歩んできた。言葉では表現しきれないほどの苦難を乗り越えてきた。そうした過酷な少年時代の経験が、彼のプレーににじみ出ていたのかもしれない。常に覚悟を感じさせるプレーだった。

 ミラノ市内で最も古い歴史を誇る教会の一つ、バジリカ・サンタンブロージョは8月4日、燦々と降り注ぐ陽光とは対照的に、深い悲しみに包まれた。

 葬儀には、多くの盟友や戦友が足を運んだ。教会周辺には多くのサポーターも集まり、「俺たちのキャプテンは一人だけだ!」というチャントが何度も響き渡った。

 バッジョ、マルコ・ファン・バステン、アレッサンドロ・コスタクルタ、クラレンス・セードルフ、インテルCEOのジュゼッペ・マロッタ、イタリア代表テクニカルディレクターのクラウディオ・ラニエーリ、スポーツ大臣のアンドレーア・アボーディらが駆けつけた。

「寂しくなるよ、カピターノ」マルディーニが綴った最後の別れ

イタリア代表 パオロ マルディーニ フランコ・バレージ
イタリア代表 フランコ・バレージ【写真:Getty Images】


 バレージ引退後、その後継者となったパオロ・マルディーニも夫人とともに葬儀に参列し、腹心の友の死に涙した。

 もう一人の偉大なカピターノであり、バンディエーラであったマルディーニは、自身の『Instagram』に別れのメッセージをしたためた。

「どんな理由であれ、私は今日、あなたが私たちと一緒にピッチに立てなかった時と同じような感覚を感じている。『俺たちのカピターノがいないのに、一体どう戦えばいいんだ』と。あなたは私に、最後の最後まで戦い抜くこと、ユニフォームへの忠誠心、そして真のリーダーであることの意義を教えてくれた。口数は少なくても、誰よりも行動でそれを示してくれた。

 まだ子供だった私を周囲から守り、10代の頃は導き手として、大人になってからは生き様を見せてくれた。あなたは、私が共にプレーする光栄に授かった中で、最も偉大なサッカー選手だった。ご家族、特に妻のマウラ、そして子供たちのエドアルドとジャンアンドレーアに心からの愛を込めて。寂しくなるよ、カピターノ。けれども、あなたの星の輝きは、これからも永遠に私たちと共にあり続ける」

 マルディーニが語るように、言葉は少ないが、プレーそのもので仲間を牽引するカピターノであった。

 66歳。あまりにも早すぎる別れだった。ワールドカップ決勝へ劇的に返り咲いたように、バレージは最後まで病に立ち向かったが、その闘いに打ち勝つことはできなかった。両親を早くに亡くしていただけに、バレージにはもっと長く生きてほしかった。

(文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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