FC町田ゼルビアの岡村大八【写真:Getty Images】
FC町田ゼルビアは8月8日、2026/27明治安田J1リーグ第1節でFC東京を1-5で下し、首位発進を決めた。東京ダービーで5得点を奪う圧巻の勝利を飾った一方、加入2年目のDF岡村大八は自身のパフォーマンスを「全然ダメですね」と振り返った。右肩の負傷から復帰したばかりの守備の中心は、開幕戦で何を感じ、何を課題として持ち帰ったのか。(取材・文:竹中愛美)[1/2ページ]
【2026/27明治安田J1リーグ第1節】
2026年8月8日 FC東京 1-5 FC町田ゼルビア
(味の素スタジアム)
月額最安値で視聴するならDMM×DAZNホーダイ[PR]
大勝の裏で、岡村大八が感じた課題「3バックのスライドのところは…」

FC東京のマルセロ・ヒアンに先制点を許すFC町田ゼルビア【写真:Getty Images】
「まだ全然、パフォーマンスが良いと言えるコンディションじゃなかったです」
試合後、FC町田ゼルビアの岡村大八は、FC東京との東京ダービーを1-5で制した自身のパフォーマンスについて、開口一番そう言った。
チームは開幕戦で圧巻のゴールラッシュを披露し、勝点3と得失点差+4を手にして、リーグ単独首位に立った。岡村自身も3センターバックの中央でフル出場し、80分にはセットプレーから追加点を奪っている。
それでも、本人にとっては“ゴールを決めたから良かった”で終われる試合ではなかった。
6月6日の明治安田J1百年構想リーグ・プレーオフ第2戦、名古屋グランパス戦で右肩を負傷。肩鎖関節を脱臼し、復帰まで6~8週間を要すると見られていた。4~5週間ほどで一度チーム練習に加わったものの、痛みが残っていたため再び別メニューに戻るなど、十分な準備期間を過ごせたわけではない。
実際、FC東京戦でも序盤から守備面で課題を感じさせる場面があった。
開始5分、FC東京のGKキム・スンギュのロングボールを佐藤恵允が競り、そのボールに反応したマルセロ・ヒアンが右足を振り抜く。町田は早々に先制を許した。
岡村の背後を狙う動きに加え、ライン間への進入にも対応しきれず、3バックのスライドやラインコントロールには課題を残した。
「もう明らかに相手が僕をつり出して、僕の背後のところを狙っているのに対して、うまく対応ができずに、いくつかピンチを招いてしまって。(谷)晃生もビッグセーブを1本してくれました」
相手の狙いは明確だった。
マルセロ・ヒアンの強さとスピードを活かしながら、岡村を動かして、その背後を突く。町田にとっては、守備の完成度を測るうえでも厳しい立ち上がりだった。
だからこそ、岡村自身も課題を具体的に口にする。
「3バックのスライドのところは、もうちょっとやらなきゃいけなかったかなと思いますし、自分の頭を超えて、すぐ戻るところはもっともっとやっていかなきゃいけないかなと思いました」
自分が前へつり出された後、背後を取られた際の戻りが遅れたこと。岡村が課題として挙げたのは、そうした守備対応だった。
だが、町田は慌てなかった。
中山雄太が示した新たな形。町田は“強み”に加えて攻撃の幅も手に

開幕節でFC東京に1-5で勝利し、首位スタートを切ったFC町田ゼルビア【写真:Getty Images】
先制を許した町田だったが、徐々にボールを握る時間を増やしていく。
27分には、中山雄太が左サイドから柔らかなクロスを送り、ミッチェル・デュークが頭で合わせて同点に追いついた。
このゴールは、今季の町田が取り組む新たな形を象徴するものでもあった。
これまでの町田は、ロングボールを起点にした速攻やセットプレーを大きな武器としてきた。しかし、今年は自陣からボールをつなぎ、相手を動かしながらゴールへ前進することにも取り組んでいる。
その中で重要になるのが、3バックの選手が攻撃に参加する形だ。
「今年は3バックの1人も、特に同サイドのセンターバックは攻撃に参加しようというところにチャレンジしている」
岡村がそう話すように、この日の中山は3センターバックの左に入りながら、攻撃時には積極的に高い位置へ顔を出した。
中山は同点弾となるデュークへのクロスだけでなく、65分のテテ・イェンギのゴールもアシスト。左サイドから2本のアシストを記録し、チームの攻撃を大きく前進させた。
「雄太がかなりきょうはチャレンジしてくれて、2アシストという本当に素晴らしい結果。彼がいてくれたから今回は勝てたと思いますし、本当に彼の良さが存分に発揮されたんじゃないかな」
町田の強さは、守って走って、セットプレーや速攻で仕留めるだけではない。
3バックの選手まで攻撃に関わりながら、自分たちからボールを動かして相手の守備を崩す。今季掲げる「攻撃パターンの多様化」は、開幕戦からその一端を示した。
38分にはFC東京のDF橋本健人が退場し、数的優位を得る。前半終了間際には新加入の明本考浩が逆転ゴール。後半に入っても相馬勇紀、イェンギ、そして岡村と得点を重ね、最終的には1-5の大勝となった。
ただ、岡村が見ているのは、そのスコアだけではない。
右肩の負傷から復帰。試合を通して取り戻すコンディション

岡村大八はダメ押しとなるチーム5得点目を奪った【写真:Getty Images】
80分、相馬のコーナーキックを明本がニアでそらすと、最後は岡村が右足で押し込んだ。
ゴールは率直に嬉しいものだっただろう。それでも、試合後に岡村が口にしたのはチームメイトへの感謝だった。
「ゴールは決めましたけど、きょうはチームメイトに助けられた、試合展開にもよりますけどね、助けられた試合だったかなというふうに思います」
その言葉の背景には、やはりコンディションの問題がある。
右肩の負傷によって、沖縄キャンプではチーム全体の練習に十分に合流できなかった。リハビリによって心拍数などの部分は比較的スムーズに戻すことができたものの、サッカーの動きそのものを取り戻すには、実戦の場数が必要だった。
「サッカーにおける動きってやっぱり違うんですよね。サッカーでやらないと、鍛えられないというか。そういったところの経験というか、場数というか、そういったところは今年はちょっと少なかった」
自身のコンディションについては「試合が1番上がると思いますし、経験できると思う」と話し、今後は試合を通して状態を上げていくつもりだ。
「シーズンは始まっているので、コンディションを上げるみたいなことを言ってられる状況でもない。もういち早くトップに持っていって、安定してパフォーマンスを出せるようにしていければいいかなと思っています」
岡村がFC東京戦でマッチアップしたのは、相手のエースであるマルセロ・ヒアンだった。
身体を張り、競り合いで激しくぶつかり、最後まで戦い続けた。しかし、本人の評価は厳しい。