
トラブゾンスポル モハメド・サラー【写真:Getty Images】
マンチェスター・シティで長く中盤の核を担ってきたロドリが、バルセロナに加入した。試合の流れを読み、攻守のバランスを整えるスペイン代表MFの加入は、ハンジ・フリック率いるチームに何をもたらすのか。すでに多彩なタレントが揃う中盤の顔ぶれと、それぞれの役割から、新シーズンのバルセロナを展望する。(文・金山悠吾)[2/2ページ]
熱狂がクラブを狂わせる? 大型補強の危うさ

ガラタサライのサポーター【写真:Getty Images】
一方で、その熱狂がかえってクラブ経営に圧力をかけることもある。
ガラタサライ、フェネルバフチェ、ベシクタシュ、トラブゾンスポルといったビッグクラブでは、会員が参加する選挙で会長や経営陣が選ばれる。
サポーターから「即座の成功」と「スター選手」を求める声が強まれば、数年先への投資より、その場で支持を得やすい大型補強に傾く。
こうしたクラブ経営の「ポピュリズム」が短期主義につながりやすいことは、たびたび指摘されてきた。
また、英紙『ガーディアン』のジャーナリスト、リーンダー・シャーラケンスは、トルコが欧州主要リーグの「bailout fund(救済基金)」になりかねないと指摘する。
欧州の強豪は、ベテランや構想外の選手をトルコに売り、得た資金を次の補強に回す。
トルコは欧州との差を縮めるはずが、目先の補強で欧州の強豪クラブへと資金が流れ、その格差を再生産してしまっているというのだ。
過去にも、中国やロシアでも大型投資は長続きしなかった。トルコには積み重ねてきた歴史も熱狂的なサポーター文化もあるが、その熱狂が際限のない補強競争へ変われば、強みそのものが弱点になる可能性もある。
それでも「引退リーグ」と呼べない理由

ガラタサライ ヴィクター・オシムヘン【写真:Getty Images】
それでも、現在のスュペル・リグを単純なベテランの「引退リーグ」と呼ぶのは早計だろう。
決定的なのが、トルコが今もUEFAの競争圏にいることだ。
サウジアラビアや中国へ渡れば、選手はUEFAチャンピオンズリーグ(CL)から離れる。
しかしトルコなら、国内タイトルを争いながら、その先でレアル・マドリードやパリ・サンジェルマンといった欧州最高峰のクラブと公式戦でぶつかる可能性がある。
これは、欧州の外側に生まれた「金満リーグ」にはない大きな魅力だ。グリーンウッドやヴラホヴィッチのような20代の選手がトルコを選ぶ理由の一つにもなっているだろう。
ただし、欧州大会への出場は大きな収入をもたらす一方、その恩恵を受けるクラブと受けられないクラブの格差を広げる側面もある。
だからこそ重要なのは、一つのクラブだけが突出するのではなく、複数のトルコ勢が継続して欧州で結果を残せるかどうかだ。
トルコ勢は欧州の勢力図を変えられるか

フェネルバフチェのサポーター【写真:Getty Images】
では、この大型補強はトルコサッカーをどこへ導くのか。
スュペル・リグには、長い歴史と巨大な支持基盤を持つクラブが複数存在する。国内タイトルと欧州への切符をめぐって、複数のビッグクラブが競い合える土壌がある。
現在の大型補強が持続可能かどうかは分からない。
それでも、サラーやカンテらを呼び込める資金力を一過性の熱狂で終わらせず、複数のクラブが継続してCLへ進み、5大リーグの強豪を打ち負かすことが珍しくなくなれば、話は変わるかもしれない。
一つの「絶対王者」ではなく、複数のトルコ勢が欧州で存在感を示す。そうなれば、富と戦力が一握りのビッグクラブへ集中する現在の欧州サッカーに、わずかでも風穴を開けられるかもしれない。
結局、この大型補強がトルコサッカーの「飛躍」につながるのか、それとも一過性のバブルで終わるのか。答えを決めるのは、集めたスターの名前ではない。彼らを擁して、欧州でどこまで勝てるかだろう。
(文:金山悠吾)
【著者プロフィール:金山悠吾】
2001年生まれ、神奈川県出身。2026年よりフットボールチャンネル編集部に所属。3歳のころにYS横浜のサッカースクールでサッカーを始めるも、幼少期から「やるより見る派」。2006 FIFAワールドカップの録画を何度も繰り返し見て育つ。2010/11シーズンをきっかけにバルセロナに魂を奪われ、以来、ラ・リーガを中心に海外サッカーを追いかけ続けている。愛読書はサイモン・クーパーの『サッカーの敵』。フットボールの尽きない魅力に惹かれながら、日々勉強中。
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【了】
