118年の歴史で、インテルに所属したイングランド人選手はわずか3人。それが今夏だけで、一気に倍増した。ジョン・ストーンズ、ジェド・スペンス、カーティス・ジョーンズ。いずれもプレミアリーグの第一線で戦ってきた実力者で、今季のネラッズーロはさながら“インテル・イングレーゼ”だ。なぜインテルは、これほど大胆な補強に動いたのか。かつてクラブを彩った「ドイツ人トリオ」の歴史も紐解いていくと、その先にはジュゼッペ・マロッタが追い求める悲願のチャンピオンズリーグ制覇が見えてくる。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]
ミランはオランダトリオ。インテルのトリオと言えば…
ルート・フリット、マルコ・ファン・バステン、フランク・ライカールトの3人は「オランダトリオ」の愛称で親しまれ、トヨタカップ(インターコンチネンタルカップ)への出場で来日したこともあり、日本でも高い人気を誇った。
トヨタカップでは1989年から連覇を果たすなど、圧倒的な強さを誇った。
そして、インテルにも、3人の同国籍選手が在籍した時代がある。
ジョヴァンニ・トラパットーニが指揮を執っていた1988/89シーズン。当時、在籍していたのがアンドレアス・ブレーメとローター・マテウスのドイツ人2人で、インテルは13度目となるセリエA優勝を遂げた。
当時のセリエAでは外国人枠が3人に制限されており、インテルは1989年夏、アルゼンチン人のラモン・ディアスに代えてユルゲン・クリンスマンを獲得。ここにドイツ人トリオが形成されることとなった。
ドイツ人3人は1991/92シーズンまでインテルに所属。その間、スーペルコッパ・イタリアーナとUEFAカップを制した。
また、ドイツ代表としては1990年のW杯・イタリア大会で優勝。3人がその栄冠の原動力となった。
インテルがこれほどまでの補強を行った背景には、取締役会会長兼CEOを務めるジュゼッペ・マロッタの強い意向があるのだろう。69歳のマロッタは、今年6月に『ラ・ガッゼッタ』のインタビューで、こう語っている。
CL優勝へ本気
「目標はチャンピオンズリーグと言えば、あまりにも簡単すぎる答えだろう。もちろん、インテルで優勝したいと思っている。私のチームは4度決勝に進んだが、すべて敗れている……」
ゼネラルマネージャーを務めたユヴェントスで2度、そしてインテルでも2度、マロッタのチームはチャンピオンズリーグ(CL)決勝の舞台に足を踏み入れながらも、涙を呑んでいる。
「1965年にインテルがベンフィカを破って2度目のチャンピオンズカップを制したとき、私はサン・シーロにいた。ジャイル(・ダ・コスタ)のゴールで勝ったあの試合だ。そう、もしチャンピオンズリーグで優勝できたら、私はもう身を引いてもいいかもしれない……」
8月27日、CL・リーグフェーズの対戦相手が決まった。ジョゼ・モウリーニョ率いるレアル・マドリードやリヴァプールFCとの対戦となったが、比較的抽選には恵まれる結果となった。優勝を狙うのであれば、こういった相手にも当然勝利を手繰り寄せなければならない。
マロッタはイタリアでも指折りのスポーツディレクターであり、したたかな男だ。2027年には会長職を退く意向を示しているが、それはおそらく、欧州の頂点に立つという条件があってのことだろう。
今夏のインテルの補強劇は、マロッタが本気でCLを獲りにきていることを感じさせるものだ。
(文:佐藤徳和)
【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru
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