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コラム 6時間前

エマヌエーレ・ルッリ――トッティ、デ・ロッシから19歳新星へ。なぜ「ローマの子」はASローマを愛し続けるのか【コラム】

ASローマ エマヌエーレ・ルッリ
ASローマ エマヌエーレ・ルッリ【写真:Getty Images】



 移籍が当たり前になった現代サッカーで、なぜASローマには生え抜きの「ローマの子」が生まれ続けるのか。トッティ、デ・ロッシら歴代のバンディエーラに連なる19歳エマヌエーレ・ルッリの鮮烈なデビューから、クラブと街を結ぶ“ロマニズモ”の正体をたどる。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]

トッティ、デ・ロッシへと受け継がれてきた「ローマの子」の系譜

ASローマ フランチェスコ・トッティ
ASローマ フランチェスコ・トッティ【写真:Getty Images】


 ASローマで最も偉大な選手の一人と言われながら、イタリア代表でプレーする機会がなかったアゴスティーノ・ディ・バルトロメーイと、長髪がトレードマークだったジュゼッペ・ジャンニーニ。この偉大なカピターノの2人も、ローマ出身であった。

 そして、フランチェスコ・トッティである。ローマ市内、メトロニア門近郊で生まれたトッティは、クラブ最多出場の786試合、最多得点の307ゴールを誇る。

 それだけでなく、偉大な先人であるカピターノたちとの違いは、ワン・クラブ・マンとしてキャリアを終えたことだ。かつては、こうしたバンディエーラが数多く存在したものだが、近年は急激に減少している。

 もう一人の偉大なカピターノであったダニエーレ・デ・ロッシも、そのキャリアのほとんどをASローマに捧げている。最後は憧れだったボカ・ジュニアーズで現役生活に別れを告げたが、デ・ロッシのASローマに対する愛も計り知れないものだ。

 一方、ジャッロロッソのユニフォームを身に纏い続けることを許されなかった者もいる。昨年8月に現役引退したアレッサンドロ・フロレンツィ、アーセナルでプレーするリッカルド・カラフィオーリ、ワトフォードFCに所属するエドアルド・ボーヴェは、ASローマに残ることを希求しながらも、プレーし続けることが叶わなかった3人だ。

 いずれもローマ市内で生まれ、ローマの下部組織を経てトップチームでプロデビューを果たしている。カラフィオーリは今でも「ローマをずっと応援している。いつかローマに戻ってプレーしたい」と語っているほどだ。

なぜ彼らはASローマを愛し続けるのか

ASローマ
ASローマ【写真:Getty Images】


 なぜこれほど多くの選手たちが、ヨーロッパの中では今や決して強豪クラブとは言えなくなったこのクラブに魅了され、大きな愛を示しているのか。最後のスクデットからも、すでに四半世紀が過ぎているクラブであるにもかかわらず。

 彼らの心の中に宿り続けるもの。それは、“ロマニター”と言われる、古代ローマから受け継がれてきたローマ人としてのアイデンティティ、そしてローマという街への帰属意識、誇りであり、“ロマニズモ”と言われるローマへの愛だ。

 それらがあるからこそ、トッティは永遠の都のクラブであるASローマに残り続け、抗い、ペッレグリーニは大幅な減俸を提示されながらも、クラブに残った。

 フィオレンティーナ戦は、大切な開幕節に完勝しただけではなく、ASローマに新たな「フィッリョ・ディ・ローマ」が誕生した記念すべき一戦となった。

 ただ、これからルッリがこのクラブに残り続け、トッティやデ・ロッシのように長くプレーできるか否かは、彼自身にかかっている。しかし、ルッリのプレーからは、情熱や勇気、闘志が垣間見えた。ロマニスタたちに愛され、彼らのバンディエーラになるための必要不可欠な資質だ。

 ASローマには、「フィッリョ・ディ・ローマ」がいなくてはならない。それは、クラブのアイデンティティの一つでもあるのだから。

(文・佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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