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J1 5時間前

「うれしいに決まってるでしょ」と田口泰士は語る。ジェフ千葉、17年ぶりのJ1勝利。それでも指揮官の表情が曇った理由「一概にこの勝利で…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 フリーライター photo by Getty Images

ジェフユナイテッド千葉
ジェフユナイテッド千葉【写真:Getty Images】



 開幕5連敗。前節はホームでブーイングを浴びた。それでもジェフユナイテッド千葉は、ガンバ大阪を2-0で破り、百年構想リーグを除けば17年ぶりとなるJ1での勝利をつかんだ。選手たちが歓喜する一方、小林慶行監督の表情は晴れなかった。「うれしいのが半分、あとは『どうするんだろう』」。結果を求めて戦い方を変えるのか、それとも3年間磨いてきた“ジェフらしさ”を貫くのか。待望の1勝が、かえって指揮官に突きつけた問いとは。(取材・文:菊地正典)[1/2ページ]

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明治安田J1リーグ第6節
ジェフユナイテッド千葉 2-0 ガンバ大阪
フクダ電子アリーナ

「うれしいに決まってるでしょ」

ジェフユナイテッド千葉
ジェフユナイテッド千葉はガンバ大阪を2-0で下し、17年ぶりとなるJ1勝利を手にした【写真:Getty Images】



 鈴木大輔は「やっぱり勝利っていいね」と満面の笑みを見せた。

 田口泰士は「自分がスタメンで出た試合で勝ちたい」と言いながらも、「うれしいに決まってるでしょ」と感想を聞いた記者をむしろ怪訝そうな顔で見た。

 彼らはキャプテンと副キャプテンであり、人一倍チームのことを考えている存在ではある。ただ、前者はメンバーにも入っておらず、後者は78分からの途中出場。この試合のピッチ上で起きた現象の多くには関与していない。

 それなのに、2人ともとにかくうれしそうだった。ジェフにとって、ガンバ大阪戦で手にした今季初勝利、17年ぶりとなるJ1での勝利はそれだけのものだったのだ。

 G大阪戦の4日前、9月2日のファジアーノ岡山戦は悲惨だった。

 第1節のサンフレッチェ広島戦や第2節のFC町田ゼルビア戦同様、これまで磨き続けてきた4-4-2あるいは4-2-3-1ではなく相手に形を合わせて3-4-2-1で戦った結果、自分たちの持ち味を発揮し切れず、開幕5連敗を喫した。

 ジェフとしては年に数回もないブーイングが浴びせられ、取材エリアの雰囲気も重く沈んでいた。

 千葉はチーム状況に関係なく、連戦中は練習を公開しない。だから、チームの雰囲気がどう変化したかは分からない。

 それでも、試合前から何かが変わりそうな予感はあった。

屈辱のファジアーノ岡山戦とは違う雰囲気があった

ファジアーノ岡山に敗れたジェフユナイテッド千葉
屈辱の敗北を喫したファジアーノ岡山戦とは違う雰囲気があった【写真:Getty Images】



「もうやるしかないので、やります」

 ホーム2連戦の2試合目に向けた意気込みについて、小林慶行監督は余計なことは言わず、たった一言で気持ちを表現した。

 その一方、厳しい状況の中で勝利を収めるために選手たちに求めたいこと、あるいは試合前の雰囲気作りで大切にしたいことを問われると、雄弁に語っていた。

「自分たちのペースで戦えない時間が増えているなかでも、守備の強度や連続性は前回の岡山戦において意識も高くなっていましたし、ピッチ上で表れているプレーも改善はされてきています。押し込まれた段階から自分たちが自陣でボールを奪ってもそれを前進させるっていうのは相当に難しい。自分たちが点を取るには、前向きにボールを奪うことにチャレンジはし続けないといけないのが大前提にあります。

 だからこそ、まずベースの部分としてはもうそれをやり続けることは絶対条件ですし、それをピッチ上で表現できるメンバーをしっかりと揃えていくということが一番大事だと思います」

 指揮官の言葉どおりだった。

 リーグだけでも中3日続きの3連戦目ということもあるが、岡山戦から4人が入れ替わったスターティングメンバーは、選手入場時に強くなった雨の中、試合の立ち上がりから激しくプレスをかけ、G大阪のビルドアップを引っ掛けてボールを奪えば、素早く前を目指した。

 開始20秒で先制できたのも大きかったに違いない。ただ、その先制点も、キックオフのボールを下げ、GKのホセ・スアレスが大きく前線に蹴ったボールに対し、フィールドプレーヤー全員が前に押し込もうとした姿勢によって生まれたものだった。

 さらに言えば、選手たちはウォームアップ、試合開始直前の動きからも岡山戦までとは違うエネルギーが感じさせていた。

 そんなエネルギーを出さずにはいられない理由もあったはずだ。

ボールスタッツはガンバ大阪が上回ったが…

ガンバ大阪のイッサム・ジェバリ
ジェフユナイテッド千葉はハードワークを続けた。その結果、走行距離などでガンバ大阪を上回っている【写真:Getty Images】



 アウェイ席を埋め、メインスタンドも3分の1ほど“侵食”していたG大阪のファン・サポーターもリーグ3戦勝ちなしのチームを後押しすべく、大声援をピッチに送っていた。

 一方、前節はブーイングで選手を送ったジェフのファン・サポーターも今季一番と言えるほどの大声援で選手たちを迎えていた。

 試合前から、スタジアムの雰囲気はまるで何かが懸かった決戦のような熱い雰囲気に包まれていたのである。

 その後押しをG大阪以上に味方につけたジェフの選手たちは、今季のこれまでと見違えるような姿を見せた。

 Jリーグ公式サイトによる試合後のスタッツを見れば、シュートはジェフが13本に対してG大阪が17本、ボール支配率は41%対59%、パス成功率も73%対80%といずれもジェフが下回る。

 この数字だけでは、どちらが優位に試合を進めたか分からないどころか、G大阪がペースを握ったと思われるかもしれない。

 しかし、走行距離はG大阪の115.3kmに対し、ジェフは121.1km、スプリント数は75対68でジェフが上回った。

 つまり、ジェフは走り、闘ったのである。

 百年構想リーグも含め、J1の戦いでは失点に絡むことや淡白な守備も少なくなかった一方、この試合ではダニエル・ホールとのチャレンジ&カバーが際立っただけでなく、相手のボールの位置が変わるたびに細かくラインコントロールするなど、たくましい姿を見せ続けた河野貴志が、試合前の小林監督の指示を明かす。

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