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トッテナムは補強の「優先順位」を間違えた。約677億円を投じても残る2つの穴【プレミアリーグ識者が考える補強診断】

トッテナム、補強診断
トッテナム・ホットスパー、補強診断【写真:Getty Images】



 2シーズン連続で17位に終わったトッテナム・ホットスパーが、クラブ史上最大規模の大型補強を行った。総額3億6635万ユーロ(約677.4億円)にも及ぶ支出で、果たして昨季からの課題は解決されたのだろうか。「獲得」「放出」「計画性」「バランス」「コスパ」の5項目を各20点、計100点満点で採点する。(文:安洋一郎)[1/2ページ]


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クラブ史上最大規模の大型補強

トッテナム
新加入したヤン・ポール・ファン・ヘッケとサヴィーニョ【写真:Getty Images】


 一昨季の17位と昨季の17位の意味は違う。2025/26シーズンのトッテナム・ホットスパーは明確に残留争いに巻き込まれていた。

 終わってみれば18位ウェストハム・ユナイテッドと勝ち点2差での残留であり、仮に最終節に敗れていた場合は降格となっていた。

 ギリギリとも言える残留を果たしたスパーズは、今夏にクラブ史上最大規模の大型補強を行った。移籍金の総額は3億6635万ユーロ(約677.4億円)にも及び、ローン移籍やフリートランスファーを含めて10人の新戦力を加えている。

 この大型補強の狙いは、3月から監督を務めるロベルト・デ・ゼルビが重視する、CBとボランチを経由したビルドアップの完成度を高めることだった。

 昨季のイタリア人指揮官は残留という目標に向けて、自らの哲学とは異なるフットボールを展開した。無理にボールをつなぐことなく、ジョアン・パリーニャやコナー・ギャラガーのような非保持で強みを出せる中盤の選手を重宝。彼らの強度を軸に戦っていた。

 デ・ゼルビはブライトン時代も相手を最終ラインに引きつけてからの加速で攻撃的なフットボールを展開しており、疑似カウンターの精度を高めるための補強が今夏のテーマだった。

 古巣ブライトンでの共闘経験があるDFヤン・ポール・ファン・ヘッケや、球出しに定評があるDFマルコス・セネシに加え、中盤での高い技術が期待できるMFマテウス・フェルナンデスやMFサンドロ・トナーリを加えた。

 マンチェスター・シティからはFWサヴィーニョとFWオマル・マルムシュを獲得。手薄だったワイドのアタッカーの質も高めることに成功し、昨季との比較では戦力アップに成功したと言えるだろう。

「最前線」と「最後尾」に残った課題

ドミニク・ソランケ
ドミニク・ソランケ【写真:Getty Images】


 多くのポジションでアップデートに成功したが、失敗に終わったポイントが2つある。それがGKとストライカーだ。

 フットボールにおいて最重要とも言える「最後尾」と「最前線」をアップデートできなかったのは、今夏の大きな失策だろう。「補強の質が低かった」のではなく、「補強の優先順位を間違えた」という見解だ。

 昨季の終盤に抜擢される形で正GKに定着したアントニーン・キンスキーだが、セービングに関する不安は大きい。現状では、プレミアリーグで上位争いに食い込むチームのGKと比べて明確に劣る部分があり、すでに開幕2試合でトップレベルのGKであれば防いでほしい場面もあった。

 最前線では、リシャルリソンがプレミアリーグの登録メンバーから外れる形で構想外となっており、現状ではドミニク・ソランケが一番手になるだろう。

 昨季はけがに泣いたソランケのような、ボールを一度収められる選手がデ・ゼルビの疑似カウンターには必須だ。マティス・テルやマルムシュもできるが、彼らはポストプレーよりも背後へのアクションを得意としているため、指揮官が求めるストライカー像からは少し離れる。

 そのため、ソランケが昨季のように離脱することになれば、苦戦は避けられない。クラブ史上初となる開幕4試合無得点という屈辱的な結果に終わっている中で、このままソランケに依存する形で、彼以外に計算できるストライカーがいないとなれば、今後も厳しい戦いを強いられるだろう。

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