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ペップの時代から“次のマンチェスター・シティ”へ。完璧な補強の裏に残るエース依存の懸念【プレミアリーグ識者が考える補強診断】

マンチェスター・シティ
マンチェスター・シティ、補強診断【写真:Getty Images】



 マンチェスター・シティにとって、今夏は単なる戦力補強の場ではなかった。10年間チームを率いたジョゼップ・グアルディオラ監督が退任し、ロドリやベルナルド・シウバ、ジョン・ストーンズらもチームを去った。まさに一つの時代が終わったタイミングで、クラブは大規模な世代交代に踏み切ったのだ。その中で、今夏の移籍市場ではどのような立ち回りを見せたのだろうか。「獲得」「放出」「計画性」「バランス」「コスパ」の5項目を各20点、計100点満点で採点する。(文:安洋一郎)[1/2ページ]


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「ポスト・ペップ」における中盤の再構築

アイユーブ・ブアディ、エリオット・アンダーソン、エンソ・フェルナンデス
マンチェスター・シティの新たな中盤【写真:Getty Images】


 ペップと同じく10年間マンチェスター・シティでプレーしたDFジョン・ストーンズを筆頭に、2024年にバロンドールを受賞したMFロドリ、主将のMFベルナルド・シウバもチームを去った。

 さらに、FWオマル・マルムシュやFWサヴィオ、MFタイアニ・ラインデルス、MFニコ・ゴンザレス、GKジェームズ・トラッフォードら、ポテンシャルを十分に発揮できなかった選手たちの「放出」も決断。余剰戦力の整理を進め、トータルで3億3702万ユーロ(約674億円)の移籍金を得ている。

 そして、得た資金を早くも再投資する形で、移籍市場に多額の資金を投じた。特に大規模な補強を行ったのがロドリとベルナルド・シウバが去った中盤で、選手のキャラクターを入れ替えることで再設計を図った。

 彼ら個人の後継者を連れてくるのではなく、配球と3列目からの攻撃参加で違いを作るMFエンソ・フェルナンデス、トランジションで攻守に強みを発揮するMFエリオット・アンダーソン、プレス回避と将来性に期待できるMFアイユーブ・ブアディという、異なる特徴を持つ3人を加えた点も重要だ。

 これは「ロドリの穴を誰が埋めるか」という発想ではなく、ロドリとベルナルド・シウバが担っていた役割を複数の選手に分散させ、中盤そのものを再構築するアプローチと言える。

 他にもワイドのアタッカーとしてFWイリマン・エンディアイエとFWアランを獲得。前者はトップ下を含む2列目の複数ポジションに対応できる汎用性を備えている。

 その中でも特に大きな補強となったのが、デッドラインデーにプレミアリーグ史上最高額タイとなる1億2500万ポンド(約250億円)の移籍金で加わったエンソ・フェルナンデスだ。

 これは単なる大型補強ではない。マレスカ監督が自身の要求を最も理解している選手の一人を、就任直後の新チームに連れてきたことになる。監督交代によって生じる戦術面の断絶を、選手の獲得によって埋める狙いも見て取れる。

 言い換えれば、監督を代えたことで生じるリスクを、補強によって最小限に抑えるアプローチだ。彼の加入によってシティは今季のプレミアリーグ優勝候補の一角に名乗りを上げたと言っても過言ではない。

残された唯一の懸念点

マンチェスター・シティ アーリング・ハーランド
マンチェスター・シティのアーリング・ハーランド【写真:Getty Images】


 ただ、懸念点を挙げるとすれば、エースのFWアーリング・ハーランドにかかる負担があまりにも大きいことだ。

 開幕後の公式戦全5試合でフル出場。昨季以前からフルタイムでの出場が多い選手ではあるが、今季はさらに替えの利かない存在となっている。

 というのも、マルムシュが昨季まではストライカーの控えを務めていたものの、移籍市場の最終盤に退団したことで、最前線の層が明らかに薄くなったからだ。

 昨季はハーランド不在時に2トップの一角のような形で出番を得ていたFWアントワーヌ・セメンヨは、もともとストライカーの選手だが、ボーンマス時代にワイドへコンバートされたことで才能を開花させた。ワントップでは試合から消えがちで、ヘディングでのシュートも極端に少ないなど、ハーランドの代役を一人で担えるほどの適性があるとは考えにくい。

 シェフィールド・ユナイテッド時代に2トップの一角として大車輪の活躍を見せたエンディアイエも、隣にオリバー・マクバーニーというターゲットマンがいたからこそ生きた選手だ。ハーランド加入前にゼロトップで活躍していたMFフィル・フォーデンも、いまだ本来のコンディションを取り戻せていない。

 9月7日の会見でこの点について問われたマレスカ監督は、「シーズンは非常に長いので、アーリング(・ハーランド)を守る必要がある。休養が必要な試合が出てくる」と話し、コンディションを見ながら起用していく考えを明かした。

 その上で控えのプランについては、「試合とゲームプラン次第ではあるが、アントワーヌ(・セメンヨ)は9番としてプレーできる。フィル(・フォーデン)は偽9番としてプレーしたこともある」と語っており、現状ではこの2人をハーランドの代役として計算しているようだ。

 もっとも、この選択は意図的なものだった可能性もある。ハーランドの控えとして一定の出場機会を保証できるストライカーを獲得すれば、セメンヨやフォーデンらの起用法にも影響する。前線の選手層を増やすことが、必ずしもスカッド全体の最適化につながるとは限らないからだ。

 しかし、今季はFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)を終えた直後のシーズン。過密日程が予想されるだけに、この編成には少なからずリスクがあると考える。

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