
マンチェスター・シティ、補強診断【写真:Getty Images】
マンチェスター・シティにとって、今夏は単なる戦力補強の場ではなかった。10年間チームを率いたジョゼップ・グアルディオラ監督が退任し、ロドリやベルナルド・シウバ、ジョン・ストーンズらもチームを去った。まさに一つの時代が終わったタイミングで、クラブは大規模な世代交代に踏み切ったのだ。その中で、今夏の移籍市場ではどのような立ち回りを見せたのだろうか。「獲得」「放出」「計画性」「バランス」「コスパ」の5項目を各20点、計100点満点で採点する。(文:安洋一郎)[2/2ページ]
マンチェスター・シティ、補強総合評価
補強評価:A(87点/獲得18・放出19・計画性18・バランス15・コスパ17)
マンチェスター・シティの補強診断は「A評価」とした。
ロドリやベルナルド・シウバら中盤の核が去ったにもかかわらず、その穴を特定の一人に背負わせるのではなく、複数の選手で役割を再配分した点は大きく評価できる。エンソ・フェルナンデス、アンダーソン、ブアディと複数のトップレベルMFをそろえたのだから、中盤の補強には文句のつけようがない。
他にも複数のポジションで計算できるエンディアイエに加え、当初はパルメイラスが非売品としていたアランのような有望なアタッカーを加えた点も高く評価できる。
地味ながら大きな補強となったのが、9年ぶりに復帰したGKヘロニモ・ルジだ。ビジャレアル時代にはウナイ・エメリ、マルセイユ時代にはロベルト・デ・ゼルビから重宝され、ボールを扱う技術やパスによる組み立てに長けている。マレスカ監督の戦術には前任のトラッフォード以上に相性が良いだろう。
シティはペップ時代から選手の「放出」を得意としており、サヴィオを筆頭に余剰戦力を高値で売却してきた。退団した選手の穴を感じさせていないことを考えれば、ほぼ完璧に近い移籍市場での立ち回りだったと言える。
ただ、先述した通り、ハーランドの控えという点では「バランス」をやや低く評価した。理想を言えば、チェルシーにおけるFWダニー・ウェルベックのような経験豊富なストライカーを加えたかったところだが、ここはマレスカ監督の手腕が問われることになる。
偉大な監督の退任後に苦戦を強いられるクラブは少なくないが、彼らが異なるのは、フロントの質が世界最高峰であること。「獲得」「放出」という分かりやすい部分に加えて、アカデミーでの育成と選手売却など、常に中・長期的な視点でプランを描いている。
ペップ時代の成功は、偉大な戦術家の手腕だけで築かれたものではない。監督が去っても、選手を獲り、育て、売却し、次の世代へつなげていくクラブの仕組みは残る。
今夏のシティが示したのは、ペップの後継者を探すことではなく、「ペップがいなくても強いシティ」を作るための準備だったのかもしれない。
新監督のマレスカに求められているのは、ペップ時代を再現することではない。すでにクラブが用意した「次のシティ」を、自らのサッカーで完成させることだ。
(文:安洋一郎)
MANCHESTER CITY
マンチェスター・シティ
移籍情報2026/27
※移籍情報はプレミアリーグ公式サイトをもとに作成。
【著者プロフィール:安洋一郎】
1998年生まれ、東京都出身。高校2年生の頃から『MILKサッカーアカデミー』の佐藤祐一が運営する『株式会社Lifepicture』で、サッカーのデータ分析や記事制作に従事。大学卒業と同時に独立してフリーランスのライターとして活動する。現在は『フットボールチャンネル』をはじめ複数のwebメディアや欧州名鑑などに寄稿。12歳からアストン・ヴィラを応援し、プレミアリーグを中心に海外サッカー全般を追っている。Xアカウント:@yoichiro_yasu
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【了】

