
マンチェスター・ユナイテッドのJJガブリエル【写真:GettyImages】
マンチェスター・ユナイテッド所属の15歳FW、JJ・ガブリエルがクラブに登録解除を求めている。英公共放送『BBC』は9月15日、ガブリエルが自身の登録を即時解除するよう正式に通知したと報じた。クラブ史に残るほどの逸材として特別な育成を受けてきたにもかかわらず、なぜ15歳で退団を求める事態に至ったのか。出場機会をめぐる本人側の不満に加え、父親兼代理人の発信やクラブとの関係も注目を集めている。
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退団要求の背景と父親の関わり
ガブリエルは昨季、クラブの年間最優秀若手選手に贈られるジミー・マーフィー賞を史上最年少で受賞した。今季はU-21でもプレーし、9月10日のUEFAユースリーグ、サバ戦ではハットトリックを達成している。
英メディア『スカイ・スポーツ』のウィリアム・ビティビリ記者も、その技術や年齢離れした成熟度、得点能力を高く評価している。
それだけに、今回の退団要求はクラブにとっても想定外だったようだ。
『BBC』によると、ガブリエルは家族とクラブの関係に問題が生じる中、先週後半にトップチームの練習へ参加しなかった。現在の契約は今季終了まで残っており、クラブ側はまだ事態の解決を諦めていない。CEOのオマール・ベラダ氏とフットボールディレクターのジェイソン・ウィルコックス氏も、家族との協議に直接関わっているという。
では、なぜ15歳のガブリエル側は、これほど早い段階で環境を変えることを求めたのか。
『スカイ・スポーツ』は、その理由の一つとして出場機会への不満を挙げている。ガブリエルがプレシーズンにトップチームでプレーしたのは8分間だけで、本人側には、ほかの若手ほどチャンスを与えられていないとの認識があるという。
一方、ユナイテッド側にもガブリエルを軽視していたとは言い切れない事情がある。
同メディアによれば、クラブは9月16日に行われたカラバオカップのブライトン戦でガブリエルをメンバーに加えることを検討していた。しかし、登録解除を求める通知を受け、最終的に招集されなかった。
ガブリエル本人も、退団要求が報じられる数日前に自身のインスタグラムからユナイテッド関連の投稿を削除していた。
そして今回、本人と同時に注目されているのが父親のジョー・オセアルイル氏だ。
父親はアーセナルとプロ契約を結び、ブライトンなどでもプレー。アイルランド代表としても2試合に出場した元DFで、英紙『サン』によれば現在は息子の代理人も務めている。
英紙『スタンダード』は、父親がXで息子のゴール動画のほか、非公開の練習や試合の映像を頻繁に投稿してきたと報じている。
父親が息子への評価をめぐってXユーザーと対立
さらに『サン』は、父親が息子への評価をめぐってXユーザーに反論した過去も紹介した。
今年、ガブリエルをほかの選手と変わらないと評したユーザーに対し、父親はアーセナル所属のイングランド代表FWブカヨ・サカについて、17歳当時は現在ほど突出した存在ではなかったとの趣旨を主張。そのうえで、息子をネイマール、ラミン・ヤマル、リオネル・メッシと比較したという。該当する投稿は現在削除されている。
『スタンダード』は『マンチェスター・イブニング・ニュース』の報道を引用し、父親について対応の難しさを指摘する関係者の声があることも伝えている。
もちろん、それだけで今回の退団要求が父親主導だったと断定することはできない。
ただ、15歳のガブリエルが自らの現在地をどう捉えているのかを考えるうえで、周囲の環境は無視できない。
ガブリエルは7月24日のローゼンボリとの親善試合でベンチ入りしながら出場機会がなかった際、自身のインスタグラムのストーリーズにユニホーム姿の写真とともに「Patience(忍耐)」と投稿していた。
まだ15歳。それでもすでにトップチームのベンチに入り、U-21やUEFAユースリーグでも結果を残している。一方で、本人側にはより早い段階からトップチームでの機会を求める思いがあるとみられている。
そこに、クラブ側との時間軸のズレがあるのかもしれない。
実際、ブライトン戦後にガブリエルについて問われたマイケル・キャリック監督は、15歳の選手であることを強調し、本人の福祉やケアを最優先にしながら慎重に扱う必要があるとの考えを示した。
世界有数のクラブでトップチームが目前に迫りながら、15歳で環境を変えることを求めたガブリエル。その判断が本人にとって最善なのかは、現時点では誰にも分からない。
だからこそ、本人の才能だけではなく、クラブと家族を含めた周囲の大人たちが、その成長をどのように支えていくのかが問われている。
(文・内藤秀明)
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