
U-21日本代表の土屋櫂大【写真:Getty Images】
アジア競技大会のグループステージを3連勝、12得点無失点で首位通過したU-21日本代表。得点者に注目が集まる中、最終ラインでチームを支えたのが土屋櫂大だ。U-23キルギス代表戦とU-23タイ代表戦に続けて先発し、無失点に貢献。素早い攻守の切り替えと的確なカバーリングに加え、ボールを前へ運ぶ力も示した。
コンビが変わっても揺るがない安定感
9月23日のU-23タイ代表戦を3-0の勝利で終え、アジア競技大会のグループステージを首位で突破したU-21日本代表。3試合で12得点を挙げた攻撃陣の陰で、チームを支えたひとりがDF土屋櫂大だ。
初戦のU-23ホンコン・チャイナ代表戦は出場機会がなかったが、U-23キルギス代表戦、U-23タイ代表戦と2試合連続でセンターバックとして先発し、いずれも無失点に貢献した。ゴールやアシストこそないものの、攻守に安定したプレーを見せている。
キルギス戦では永野修都と、タイ戦では主将の市原吏音とコンビを組んだ。パートナーが変わっても、プレーはぶれなかった。土屋は自らボールを持ち出し、攻撃の起点となった。それでいて無理に前進せず、味方へ確実につなぐ判断の速さも光った。
真価が表れたのは、チームがボールを失った直後の対応だ。キルギス戦の39分、横山夢樹がボールを失うと、土屋が即座にプレスをかけて奪い返した。そこから日本は細かくパスをつなぎ、大関友翔へとボールを届ける。大関のシュートは一度ポストに阻まれたが、自ら跳ね返りを押し込んだ。
土屋の素早い切り替えが、得点につながった場面だった。
抜群の危機察知能力
タイ戦では、3点リードで迎えた63分に見せ場が訪れた。保田堅心の落としたボールを相手に狙われ、ロングカウンターを受けかけた場面だ。土屋は相手が大きく前進する前に、タイミングよくクリア。点差が開いても集中を切らさず、キルギス戦の得点につながった場面と同様、ボールを失った直後に素早く対応した。
セットプレーでも存在感を示す。キルギス戦ではコーナーキックの流れから中島洋太朗のクロスに合わせてゴール前に入り、ヘディングでゴールを狙っている。身長181cmの土屋は、空中戦でも攻撃に加わった。
カバーリングでも的確な判断が光った。キルギス戦の44分、相手のゴールキックを大関がクリアしきれず、ボールが日本の最終ラインまで流れた。オーバーエイジのカイ・メルクが突破を図ったが、土屋が落ち着いてカバーに入り、ピンチを防いだ。
タイ戦の9分には、相手のスルーパスを先読みしてカット。その後、こぼれ球を小杉啓太が収め切れず、再び相手に渡ったものの、スルーパスによる突破を阻んだ土屋の読みと対応は的確だった。
こうした安定感の背景には、福島ユナイテッドFCで積んだ実戦経験がある。土屋は2023年のU-17ワールドカップを経験するなど、年代別代表に継続して選ばれてきた。一方、プロ1年目の2025年は、川崎フロンターレでのJ1リーグ出場が1試合にとどまった。
転機となったのが、2026年の福島への育成型期限付き移籍だ。J2・J3百年構想リーグでは16試合に先発フル出場し、2得点を記録。移籍期間は2027年6月まで延長され、2026/27シーズンもJ3で出場を重ねている。継続して得ている出場機会が、代表で見せる判断の速さや安定したプレーにもつながっているのかもしれない。
永野修都との違いが広げる、共存の可能性
一方、キルギス戦では永野との特長の違いも見えた。どちらもボールを前に運べるCBだが、相手のプレスを受けながら持ち上がる場面では、永野の力強さが際立った。
74分に市原が入ると、永野はアンカーへ移り、土屋は市原とCBコンビを組んだ。最終ラインを整えつつ、永野の持ち運ぶ力を中盤で生かせる配置となった。84分には、その永野が相手のプレスを受けながら突破し、嶋本悠大を介して横山のシュートにつなげた。日本は市原の投入、および永野アンカー起用後も2点を追加している。
クラブでのデータにも、それぞれの特長がうかがえる。『Sofascore』によるJ2・J3百年構想リーグのデータでは、藤枝MYFCで17試合に出場した永野のドリブル成功数は11回。福島で16試合に出場した土屋は3回だった。90分あたりのロングボールも、永野が5.37本、土屋が3.31本。永野はドリブルや長いパスを使ってボールを前へ送るプレーで、より多くの数字を残した。
一方、パス成功率は土屋が88.1%、永野が82.3%。空中戦勝率は土屋が67.1%、永野が56.4%で、90分あたりのクリアも土屋が4.65回、永野が2.60回と、土屋の数値が高い。ファウルも土屋は永野の半分以下だった。両者が直接対戦した5月6日の試合でも、土屋は空中戦で7勝2敗を記録している。
所属チームでの役割や試合展開が異なるため、これらの数字だけで能力の優劣は決められない。それでも、今大会で見せたプレーと合わせれば、推進力が光る永野と、堅実な対応が光る土屋という特長の違いが見えてくる。
土屋と永野の二者択一ではなく、市原を含む3人を同時起用したキルギス戦の16分間強のプレーも、オプション以上の価値があるように見えた。
準々決勝の相手はU-23北朝鮮代表。ここからは、ひとつのミスが敗退に直結しかねない。派手さはなくても、相手の攻撃に素早く反応し、ピンチを未然に防ぐ。そんな土屋の存在は、さらに大きな意味を持つはずだ。
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