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コラム 20時間前

日本代表、若手を並べても機能した“従来の形”。それでも残ったW杯からの課題【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ベネズエラ代表に勝利した日本代表
ベネズエラ代表に勝利した日本代表【写真:Getty Images】



 日本代表はベネズエラ代表に2-1で勝利し、第3次森保ジャパンで2連勝を飾った。ウルグアイ代表戦から先発を大幅に入れ替え、佐藤龍之介や齋藤俊輔ら若手を起用した一戦。フレッシュな顔ぶれも従来の戦い方に適応し、後半には主力組の投入で攻撃のテンポも上がった。一方で、W杯から続く課題もまた顔をのぞかせている。勝利の中で見えた収穫と、残り2試合で修正すべきポイントとは何か。(文:西部謙司)

ベースの戦い方に若手は違和感なく適応

サッカー日本代表、佐藤龍之介
佐藤龍之介はひと味違うプレーを見せていた【写真:Getty Images】



 ウルグアイ代表戦から大幅に先発メンバーを入れ替えて臨んだベネズエラ代表戦。1トップに後藤啓介、2シャドーに佐藤龍之介、齋藤俊輔のフレッシュな3人を前線に起用した。

 ひと味違うと感じさせたのは佐藤。特別に速いようにはみえないが、ボールタッチと動きに無駄がなく、攻撃のリズムを作り出していた。

 Jリーグではウイングバックに起用されたこともあったが、プレー判断の速さはインサイドハーフの適性が高い。この試合後に所属のバレンシアへ戻ることになったが、ポジションの序列を変えうる才能だろう。

 齋藤も両足を駆使したキレのあるドリブルと鋭いクロスボールで爪痕を残している。

 キャプテンマークを巻いた鎌田大地は余裕のあるボール捌きで落ち着きを与えた。ボランチでコンビを組んだ熊坂光希がわずか6分で負傷交代してしまったのは残念だが、交代で入った田中聡もそつのないプレーぶり。

 鋭い前線へのパスと1対1の強さで守備を統率した瀬古歩夢を中心とした3バックも安定。前半アディショナルタイムにベネズエラの決定機があったが、GK小久保玲央ブライアンの好守もあって0-0で折り返す。従来のベースとなる戦い方に、若手選手はさほど違和感なく適応していた。

相馬勇紀はアジア杯で戦力になる

相馬勇紀
左ウイングで先発出場した相馬勇紀【写真:Getty Images】



 編成上の課題はウイングバックだと思う。攻守の負荷が大きく、交代が必要なポジションになっているからだ。

 左サイドは相馬勇紀が起用された。ハードワークをこなし、51分にはワンタッチで上田綺世をフリーで抜け出させるパスも供給するなど活躍。4年後のFIFAワールドカップ(W杯)はともかく、当面の目標であるAFCアジアカップ出場に向けてのメドはつけられそうである。

 右に起用された中野就斗は持ち味のシュート力を見せる機会こそなかったが、コンタクトプレーの強さや攻撃のサポートなど、ハードワークは十分。ただ、足の間を抜かれて突破を許し失点に直結している。

このチームのウイングバックは攻守のハードワークだけでなく、攻め込んだ際にはスペシャルな能力を発揮することが期待されているので、その点はやや物足りなかったかもしれない。

 戦術上の改善点である自陣でのビルドアップについては、ウルグアイ戦に続いて怪しい場面が見られた。

ミスが毎試合のように発生するようでは…

サッカー日本代表 森保一監督
日本代表はビルドアップからのミスをどう改善していくのか【写真:田中伸弥】



 前半アディショナルタイムにGK小久保からパスを受けた渡辺剛が処理に手間取ってCKを与え、そこからヘディングシュートされている。小久保の好守で事なきを得たが、危ないところだった。

 後半から登場の鈴木彩艶は距離感がバグる長い縦パスを上田に届ける破格の能力を示す一方で、田中聡へのパスがずれて奪われ、ミドルシュートを打たれた。鈴木が防いだこぼれ球を至近距離から狙われたが枠外で助かっている。

 ビルドアップする以上、この手のミスはどうしても起こる。ただ、毎試合のように発生するようでは勝てる試合も勝てなくなる。

少しのずれが大きなピンチになるだけに修正できるところは修正しておきたい。

 後半から鈴木彩艶、上田綺世、田中碧、伊東純也、久保建英のコアメンバーを一挙に投入。後半開始早々にベネズエラに先制されたが、49分に伊東のディフェンスラインの背後へ通したライナー性の鋭いクロスを、オフサイドぎりぎりで飛び出した上田が合わせてゴール。すかさず追いついた。

 左シャドーでプレーした伊東のスペシャルな右足キックと、上田の得点感覚による防ぎようのない得点だった。

 攻撃のテンポが上がり、素早いコンビネーションからゴールに迫る。71分には堂安律、中村敬斗が入ってウイングバックを交代。このタイミングで瀬古も伊藤洋輝と交代した。

 81分には谷村海那を投入。田中碧のアンカー1枚にしての攻撃増強システムに切り替えた途端、渡辺剛が負傷退場。すでに交代枠を使い切っていたため10人となった日本は谷村を左サイドハーフに回しての4-4-1で残り7分間をプレーしなければならなくなった。

 アディショナルタイムは2分。久保がボックス内で倒されたが笛は鳴らず、カウンターに出たベネズエラが攻め込みPKを得た。

 しかし、VAR介入の結果、久保へのファウルがPKであったとして日本にPKが与えられる。これを上田が決めて土壇場で2-1の勝利をもぎとった。

 ウルグアイ戦に続いて勝負強さを見せたわけだが、PKを得たと思ったら逆だったベネズエラにとっては、仕方ないとはいえ気の毒な幕切れになった。

 メンバーを替えながら従来の基盤となる戦い方を確認。続く2試合ではそこから進化したところを見せてほしい。

(文:西部謙司)

【著者プロフィール:西部謙司】
1962年9月27日生まれ、東京都出身。学研『ストライカー』の編集記者を経て、02年からフリーランスとして活動。95年から98年までパリに在住し、ヨーロッパサッカーを中心に取材。現在は千葉市に住み、ジェフ千葉のファンを自認し、WEBスポーツナビゲションでは「犬の生活」を連載中。サッカーダイジェスト、フットボリスタなどにコラムを執筆中。『ちょいテク 超一流プレーヤーから学ぶちょっとスペシャルなワザ』監修(カンゼン)、「サッカー右翼サッカー左翼」(カンゼン)、近著に『戦術リストランテⅣ』(ソル・メディア)、「ゴールへのルート」(Gakken) 、共著の『サッカー日本代表の戦術が誰でも簡単に分かるようになる本』(マイナビ)、『FCバルセロナ』(ちくま新書)がある。

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【了】

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