サッカー日本代表は28日、キリンチャレンジカップ2026でベネズエラ代表と対戦し、2-1で逆転勝利を飾った。この試合で違いを見せつけたのは、途中から出てきたFIFAワールドカップ2026(北中米W杯)メンバーたちだ。とくに、1アシストを記録した伊東純也の存在感は別格。チーム最年長の33歳だが、まだまだ進化を遂げるのではないかと思わされるほどのものだった。
伊東純也はシャドーでも躍動
「イナズマ」の愛称で知られる伊東の最大の武器は圧倒的なスピードだ。一瞬で相手を置き去りにし、サイドからチャンスを作っていく。日本代表は同選手の個人能力に何度も救われてきた。
伊東はすでに33歳で、今シリーズに臨む日本代表では最年長。4年後には37歳と大ベテランになる。鍛え上げられたサッカー選手とはいえ、年齢による衰えは避けられず、いつスピードという武器が失われてもおかしくはない。
しかし、伊東にかんしてはスピードが失われても、第一線で生き残っていくことができるのではないか。そう感じさせられたのが、ベネズエラ戦のパフォーマンスだ。
後半途中から出場した伊東は、1点ビハインドで迎えた49分、相馬勇紀からのパスを受けると、すぐに目線をボックス内に移し、動き出しを見せた上田綺世にピンポイントパス。これを背番号18がダイレクトで押し込み、同点ゴールをお膳立てした。
伊東はウルグアイ戦でも上田へのアシストを記録している。DFも、飛び出してきたGKも触れない絶妙な位置にグラウンダーのパスを流し込み、ゴールへとつなげている。
FWの動きを見逃さず、そこへ一寸の狂いもないパスを届ける。伊東はスピードを失ったとしても、“パサー”として十分に生き残っていけるのではないか。
何よりベネズエラ戦はシャドーでの起用だった。サイドよりスペースがない分、スピードという武器は発揮しにくいが、それでもアシストという結果を残したことが、パサーへの可能性を示している。サイドでは常に前線の動きを見ながらプレーしたため、もはやそれはどのポジションに移っても癖づいているのだろう。
伊東のパスの凄みは、ただ正確に味方へ届けるだけでなく、味方がワンタッチで次のプレーに持っていけるような質であること。事実、ウルグアイ戦、ベネズエラ戦ともに、上田は伊東からのパスをダイレクトでゴールに流し込んでいる。強弱と利き足に届ける精度がパーフェクトと言っていい。
サイドアタッカーから中盤のゲームメーカーに変貌を遂げた選手がいる。元ウェールズ代表でマンチェスター・ユナイテッドのレジェンド、ライアン・ギグスだ。若手時代はサイドを切り裂くドリブラーだったが、年齢を重ねてからは中央でプレーし、ボールを持って相手を抜くのではなく、ボールを動かして試合を操るようになった。伊東が同じような道をたどっても不思議ではない。
近年のサッカーはフィジカル志向となり、テクニックと創造性で観る者を魅了したファンタジスタや、遠藤保仁や中村憲剛のようにパスで変化をもたらすパサーは絶滅危惧種になりつつある。
しかし、すでにベテランの伊東が、また新たな風を吹き込むかもしれない。
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