
マンチェスター・ユナイテッドを率いるマイケル・キャリック監督【写真:GettyImages】
マンチェスター・ユナイテッドが、今季公式戦7試合で2勝と苦戦している。データ分析サイト『Opta Analyst』は8日、マイケル・キャリック監督のチームに生じた戦術的な変化と、その問題点を分析した。プレミアリーグで最も高い割合でハイブロックを採用している一方、高い位置でのボール奪取は20チーム中15位。なぜ積極的に前から守ろうとしても、成果につながらないのか。
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ハイブロック採用率は42%、しかしプレスの実効性は?/h2>
同サイトのライアン・ベンソン記者は、現在のユナイテッドにハイブロックが適していない可能性を指摘している。
今季のプレミアリーグ開幕5試合で、ユナイテッドが非保持時にハイブロックを敷いた割合はリーグ最多の42%。昨季のキャリック監督就任後の26%から大幅に増加した。
ただし、守備位置を高く設定することと、効果的なプレッシングを実行することは同じではない。
相手に許したパス数を守備アクション数で割った指標であるPPDAは12.1で、リーグ平均の12.5と大差がない。オープンプレーで相手ゴールから40m以内の位置でボールを奪った回数も26回にとどまり、20チーム中15位だった。
高い位置からプレッシャーをかけようとしているものの、相手のビルドアップを十分に妨害できていないことが数字からうかがえる。
問題の一つは前線の連動だ。キャリック監督は、期限付き移籍先から復帰したイングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードを左サイドで、ブラジル代表FWマテウス・クーニャを最前線で起用している。
しかし、第5節のフラム戦では、2人の寄せが遅れ、相手GKにパスの出しどころを与える場面があった。
さらに、相手選手がボールを持っていない局面で、その動きを追走するランが非保持時のラン全体に占める割合は32.4%。ユナイテッドはこの指標でもリーグ最下位だった。
前線で相手を追い込めず、プレスをかわされた後の帰陣にも課題がある。高い位置に守備ブロックを構えても、十分なボール奪取につながっていない。
中盤と最終ラインの機動力不足も問題に
ハイブロックの実効性を左右するのは、前線だけではない。中盤と最終ラインが連動し、適切な距離を保てるかどうかも重要になる。
中盤の機動力にも課題がある。非保持時のスプリント回数は、イングランド代表MFコビー・メイヌーが90分当たり4.0回、ベルギー代表MFユーリ・ティーレマンスが4.7回。今季プレミアリーグで90分以上出場したセントラルMFと守備的MFの57人中、それぞれ39位と33位だった。
2人とも技術面に優れた選手だが、広範囲を動き続けてスペースを埋めることを最大の特徴としているわけではない。
加えて、最終ラインの機動力も十分とはいえない。前線が高い位置まで出ていく一方、DF陣が同じようにラインを押し上げられなければ、中盤との距離が広がってしまう。
実際に『Opta Analyst』の集計では、ユナイテッドがミドルサードでかけたプレッシャーの割合は39%で、リーグで3番目に低かった。
こうした状況では、相手に前線のプレスを突破された際、中盤と最終ラインの間にスペースが生まれやすい。積極的に前へ出る守備を採用しているにもかかわらず、その背後を守るための連動が十分に機能していないのである。
代表ウィーク明けには、新加入のカメルーン代表MFカルロス・バレバが公式戦デビューする可能性がある。22歳のMFが中盤の強度を高めることは期待できるが、一人の加入だけで守備組織全体の問題が解決するとは限らない。
もっとも、今季のユナイテッドはリーグ戦5試合で8失点を喫している一方、被xGは6.8にとどまる。被シュート数も53本とリーグで少ない部類に入り、必ずしも結果ほど守備の内容が悪いとは言い切れない。
昨季のキャリック体制と比較して明らかな変化が生じているのは事実だが、ハイブロックへの転換そのものが失策だったと判断するには、まだ試合数が少ない。
問われるのは、現在の選手たちの特徴に合わせて戦術を修正できるかどうかだ。前線のプレス強度、中盤のカバー範囲、最終ラインの押し上げをどう連動させるのか。キャリック監督には、守備位置を高く設定するだけではない、具体的な改善が求められている。
(文・内藤秀明)
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