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コラム 2026.10.14 18:00

「ナカタ」の衝撃から28年。あの名門ペルージャは今? 2度の破産、名物会長の転落…約20年ぶりにガウッチ家が帰還へ【カルチョを読む】

ACペルージャ
かつて1998/99シーズンから6シーズン連続でセリエAに在籍したACペルージャ【写真:Getty Images】



 1998年、中田英寿が衝撃のセリエAデビューを飾ったACペルージャ。その中田を獲得し、クラブの黄金時代を築いたのが、名物会長ルチャーノ・ガウッチだった。しかし、その栄光は長く続かず、クラブは2度の破産を経験。セリエAの舞台からも遠ざかった。そして今、約20年の時を経て、ガウッチ家がクラブ経営に復帰しようとしている。一族が築いた栄光と転落の歴史、そして再建への新たな挑戦を追う。(文:佐藤徳和)[2/2ページ]

栄光から一転、クラブは2度の破産。一つの時代の終焉

ACペルージャ
2020年に亡くなった元会長ルチャーノ・ガウッチを追悼するペルージャのサポーター【写真:Getty Images】



 しかし、ガウッチの時代は長くは続かなかった。2005年、クラブが破産。詐欺的破産を目的とした犯罪組織への関与の疑いで捜査を受け、同年から中南米のドミニカ共和国へ逃れていた。そこで逃亡者として身を隠していたガウッチは、詐欺的破産および税務犯罪について、司法取引により3年の刑を受けたが、その後、恩赦の対象となったため、刑に服することはなかった。

 刑が消滅した後の2009年、一時的にイタリアへ戻ったが、その後は再びドミニカ共和国のサントドミンゴに定住。そして、2020年2月1日、この世を去った。享年81歳だった。

『Il Gauccismo(ガウッチ主義)』を2021年12月に上梓したラッファエーレ・ガリネッラは、著書の中でルチャーノをこう評している。

「頑固で、寛大で、直感的で、決して諦めようとしない男であった。(中略)ルチャーノは、地方の一サッカークラブの会長だっただけではない。何よりも、一人の人間だった。

 すべての人間と同じように、何かを間違えたこともあっただろう。しかし、彼は常にACペルージャへのあまりにも強い愛情に突き動かされ、ビアンコロッシ(ペルージャの愛称)のサポーターへの敬意を胸に行動していた」

 筆者も一度、レナト・クーリのメインスタンドでルチャーノを見かけ、写真を一緒に撮ってもらったことがある。気さくな対応とこぼれるような笑顔は、今も忘れられない。

 ガウッチの時代の終焉とともに、ACペルージャは斜陽の時を迎えた。2003/04シーズンにセリエAからの降格を余儀なくされると、2005年にはクラブが破産し、セリエC1からの再出発となった。

 セリエBにすら復帰できないシーズンが続くと、2010年には2度目の破産に陥り、セミプロであったセリエDへと降格した。それでもACペルージャは徐々に復調を果たし、2014/15シーズンにはセリエBに復帰。2016/17シーズンには4位に入り、プレーオフに駒を進めたが、準決勝で5位のベネヴェント・カルチョに敗れ、昇格の夢は潰えた。もはや20年以上、トップリーグの興奮を味わうことなく、現在はセリエCでの戦いを強いられている。

約20年ぶりに帰ってくるガウッチ家。名門ペルージャ再建への挑戦

ACペルージャ アレッサンドロ・ガウッチ
約20年ぶりとなるACペルージャの会長に就任するとみられるアレッサンドロ・ガウッチ【写真:Getty Images】



 今は2024年9月7日から会長職を務めるアルゼンチン人のハビエル・ファローニがトップに立つが、間もなく新会長を迎えることになる。ファローニはペルージャの株式100%を『アレナクーリ』社に売却することで合意しており、同社にはルチャーノの長男アレッサンドロ・ガウッチが関わっている。

 イタリア・メディア『La Nazione』によると、すでに会長交代に向けた予備契約は8月3日に締結され、最終的な株式譲渡は数回にわたって延期されているものの、アレッサンドロの会長就任に向けた動きが進んでいる。

 アレッサンドロはルチャーノの後を継ぎ、2004/05シーズンにもACペルージャの会長を務めており、正式に就任すれば、約20年ぶりに会長職へ復帰することになる。

 指揮官は、今夏に就任したアイモ・ディアーナ。現役時代にはサンプドリアなどで活躍した48歳だ。今季もセリエCを戦うACペルージャは、8試合を終えて4勝1分け3敗の勝ち点13で6位に位置する。一方、首位スペツィア・カルチョは勝ち点22を積み重ねており、すでに大きく水をあけられている。

 直接昇格はわずか1枠。厳しい状況ではあるが、アレッサンドロが父ルチャーノと同じように「決して諦めようとしない」精神を持ち合わせているならば、セリエB昇格を目指す戦いを最後まで諦めることはないだろう。

(文:佐藤徳和)

【著者プロフィール:佐藤徳和】
1998年にローマでの語学留学中に、地元のアマチュアクラブ「ロムーレア」の練習に参加。帰国後、『ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典』(小学館)の制作に参加し、イタリア語学習書などの編集、校正、執筆に携わる。2007年から、フリーランスとして活動し、主にイタリア・サッカー記事のライティングに従事。2014年には、FC東京でイタリア人臨時GKコーチの通訳を務める。IL ROMANISTA、日本特派員。『使えるイタリア語単語3700』(ベレ出版)、『イタリア語基本の500単語』(語研)を共同執筆。日伊協会では、カルチョの記事を読む講座を開講中。X:@noricazuccuru

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【了】

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