
マンチェスター・ユナイテッドのフットボールディレクター、ジェイソン・ウィルコックス氏【写真:Getty Images】
マンチェスター・ユナイテッド所属のアルゼンチン代表DFリサンドロ・マルティネスによる首脳陣批判に、擁護の声が上がっている。英紙『タイムズ』は、選手や監督だけに責任を負わせる構造を問題視した。
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異例の首脳陣批判と強化部門の責任
ユナイテッドは現地時間13日、UEFAチャンピオンズリーグのリーグフェーズ第2節で、アトレティコ・マドリードに敵地で0-2と敗れた。
試合後、マルティネスは米動画配信サービス『プライム・ビデオ』のインタビューで「テクニカルディレクターには、もっと期待している」と今夏の補強に不満を示した。
マイケル・キャリック監督の去就を問われると「監督を代えて、代えて、代えて。でも、ほかの部門は?」と返し、上層部の責任にも目を向けるべきだと訴えた。
矛先を向けられたのは、2024年4月にテクニカルディレクターとして加入し、昨年6月からフットボールディレクターを務めるジェイソン・ウィルコックス氏だ。
選手が上層部を公然と批判するのは異例だが、『タイムズ』のマシュー・サイド氏は14日付の論説でマルティネスを支持した。敗戦のたびに矢面に立たされる監督や選手に比べ、重要な決定を下す幹部は十分に検証されないと指摘。内部批判を禁じる慣行が、責任者を守る壁になっていると論じた。
では実際のところどうなのだろう。ユナイテッドの強化責任者でもあるウィルコックス氏には育成での実績がある。
マンチェスター・シティでは育成部門を率い、若手のトップチーム昇格を支えた。2020/21〜2022/23シーズンには、U-21世代のプレミアリーグ2とU-18プレミアリーグでそろって3連覇を果たしている。
一方、ユナイテッド加入前にトップチームの強化を統括した経験は、サウサンプトンでの約9か月にとどまる。そのためマンチェスター・ユナイテッドにも指導方法や選手育成を担当する役職で加入していた。しかし、そのわずか数カ月後、当時の責任者だったダン・アシュワース氏が解任されると、より大きな責任を伴う新たな役職、フットボールディレクターの座を与えられた。
この人事に関して、英紙『ガーディアン』は今回改めて、同氏の昇進は急すぎたのではないかと疑問を呈している。
人との関わり方にも厳しい評価がある。元々は地元紙『マンチェスター・イブニング・ニュース』に勤務し、現在は英紙『Sun』でユナイテッドの番記者を担当するサミュエル・ラックハースト記者は、一部の代理人関係者がウィルコックス氏を「頑固で自己中心的」と評していると伝えた。
同記者は今年1月にも、ウィルコックス氏が自らを監督のような存在と位置づけ、当時のルベン・アモリム監督を怒らせたと報じている。
英誌『FourFourTwo』によれば、本人も昨年9月のユナイテッドOB会の夕食会で、自分は根っからの指導者だと語り、それが今の職務での強みである一方、つい現場に口を出したくなると認めていた。そもそも責任者の現場介入には賛否両論があるにもかかわらず、それを堂々と口にするのはいかがなものか。
米スポーツメディア『ジ・アスレチック』によると、このように批判の対象になっているウィルコックス氏は、いまだにマンチェスター・ユナイテッド幹部からの支持を得ているという。
なおマルティネスは14日、インスタグラムで自身の心情を補足する内容の文章を投稿。その時点では謝罪はなかった。
ただ15日の練習後にマイケル・キャリック監督や上層部と会談を行った結果、「私が情熱的な人間であり、非常に強い熱意を持ってサッカーに向き合っていることは、誰もが知っている。敗戦への苛立ちから、適切ではなかったかもしれないタイミングと場所で、自分の気持ちを口にしてしまった。そのことについて謝罪したい」と、謝罪の意を示す内容を含んだ文章を再びインスタグラムに投稿。
騒動は、ひとまず収束したとみられる。
(文・内藤秀明)
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